「未婚シングルマザー」の友人は手厚い給付金をもらえているのに、夫と「死別」して必死に働く私は所得制限で1円ももらえません。同じひとり親なのに待遇が違いすぎて驚いています。私でも追加でもらえる給付金はないのでしょうか?

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「未婚シングルマザー」の友人は手厚い給付金をもらえているのに、夫と「死別」して必死に働く私は所得制限で1円ももらえません。同じひとり親なのに待遇が違いすぎて驚いています。私でも追加でもらえる給付金はないのでしょうか?
未婚のシングルマザーの友人は給付金を受け取っているのに、夫と死別した私は所得制限で対象外。そんな疑問を持つ人に向け、児童扶養手当、児童手当、遺族年金、ひとり親控除など、未婚と死別で制度上どこが違うのか、所得制限を含めて分かりやすく解説します。
小山英斗

CFP(日本FP協会認定会員)

1級FP技能士(資産設計提案業務)
住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
未来が見えるね研究所 代表
座右の銘:虚静恬淡
好きなもの:旅行、建築、カフェ、散歩、今ここ

人生100年時代、これまでの「学校で出て社会人になり家庭や家を持って定年そして老後」という単線的な考え方がなくなっていき、これからは多様な選択肢がある中で自分のやりたい人生を生涯通じてどう実現させていくかがますます大事になってきます。

「未来が見えるね研究所」では、多くの人と多くの未来を一緒に描いていきたいと思います。
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制度ごとに要件を確認することが大切

ひとり親向けの制度には、婚姻歴を問わず利用できるものがある一方、所得制限が設けられている制度もあります。また、税金の控除では「死別」と「未婚」で取り扱いが異なるケースがあります。そのため、制度ごとに要件を確認することが大切です。
 

児童扶養手当は「未婚」と「死別」のどちらも対象になり得る

まず確認したいのが、ひとり親家庭を代表する給付制度である児童扶養手当です。
 

未婚の母も死別した母も対象になり得る

児童扶養手当は、父母の一方と生計を同じくしていない子どもを育てる家庭を対象に、生活の安定や自立を支援する制度です。
 
支給対象には、父母が婚姻を解消した子どもだけでなく、「父または母が死亡した子ども」や「婚姻によらないで生まれた子ども」なども含まれます。つまり、夫と死別したシングルマザーと、未婚で子どもを育てるシングルマザーは、どちらも要件を満たせば児童扶養手当の対象になり得ます。
 
そのため、「未婚だから児童扶養手当がもらえて、死別だからもらえない」という制度上の区別があるわけではありません。
 

所得制限によって支給額が変わる

一方、児童扶養手当には所得制限があります。前年の所得が一定水準を超えると、全部支給ではなく一部支給となったり、支給対象外になったりします。図表1は、扶養する子どもの人数に応じた所得限度額です。
 
図表1

図表1

出典)こども家庭庁「『児童扶養手当』に関する大切なお知らせ」(2024年7月31日発表)より筆者作成
 
2026年4月分からの児童扶養手当は、図表2のとおりです。実際の支給額は、所得や扶養する子どもの人数などによって決まります。
 
図表2
図表2

出典)神奈川県「ひとり親家庭のお子さんのために(児童扶養手当)」
 
したがって、「必死に働いて収入が増えた結果、所得制限にかかって給付金を受け取れない」というケースは十分にあり得ます。
 

児童手当には現在、所得制限がない

児童手当は、ひとり親家庭に限らず利用できる制度です。0歳から高校生年代までの子どもを養育している人すべてが対象で、現在は所得による支給制限がありません。
 
支給額は、3歳未満なら月1万5000円、3歳以上高校生年代までは月1万円です。ただし、第3子以降は月3万円となります。
 
そのため、「未婚のシングルマザーだけが児童手当を受け取り、死別したシングルマザーは所得制限で対象外になる」ということはありません。もし「友人はもらっているのに自分はもらっていない」という場合は、児童手当ではなく児童扶養手当など、別の制度を比較している可能性があります。
 

死別した場合に確認したい「遺族年金」

配偶者が亡くなった場合、条件を満たせば遺族基礎年金や遺族厚生年金を受け取れる可能性があります。
 
特に子どものいる配偶者は対象になりやすく、亡くなった人の加入状況によっては両方を受給できることもあります。生計を維持されていない未婚のシングルマザーは遺族年金の対象にはなりませんが、死別したひとり親であればまず確認すべき制度です。
 

税金では「未婚」と「死別」で違いが出ることも

給付金だけでなく、税金の負担も確認しましょう。
 

ひとり親控除は未婚でも死別でも対象になり得る

所得税には「ひとり親控除」があり、一定の要件を満たせば35万円の所得控除を受けられます。ポイントは、現在婚姻していないこと、生計を一にする子どもがいること、合計所得金額が500万円以下であることなどです。
 
したがって、一定の要件を満たせば、未婚のシングルマザーも夫と死別したシングルマザーも対象になります。ただし、所得が500万円を超える場合などは、ひとり親控除の対象外となります。
 

死別した女性には「寡婦控除」が関係する場合もある

一方、夫と死別した女性には「寡婦控除」という制度もあります。寡婦控除は、ひとり親控除に該当しない人を対象とする制度で、夫と死別した後、婚姻しておらず、合計所得金額が500万円以下であることなどが要件です。控除額は、27万円です。
 
ただし、子どもがいて一定の要件を満たす場合は、寡婦控除ではなく、より優先される「ひとり親控除」の対象になることがあります。つまり、税制については「未婚だから有利、死別だから不利」と一概にはいえず、家族構成や所得によって適用される控除が変わります。
 

給付金以外にも確認したい支援制度がある

ひとり親家庭を対象に、子どもの医療費や親の医療費の助成、保育料の軽減、就業支援、資格取得支援、日常生活のサポートなどを実施している自治体があります。
 
例えば、国の「ひとり親家庭等日常生活支援事業」では、修学や病気などの際に、保育や子どもの生活・食事の世話、掃除、買い物などの支援を受けられる場合があります。ただし、具体的な実施内容や利用条件は自治体によって異なります。
 
そのため、「児童扶養手当がもらえない=ひとり親向けの支援が何もない」と考えるのは早計です。
 

まとめ

未婚のシングルマザーと夫と死別したシングルマザーでは、利用できる制度が完全に同じとはかぎりません。ただし、主要な制度の多くは「未婚か死別か」だけで給付の有無を決めているわけではありません。
 
特に児童扶養手当では、未婚によって生まれた子どもも、父または母が死亡した子どもも支給対象になり得ます。一方、所得制限があるため、同じひとり親でも所得の違いによって実際の受給額に大きな差が生じることがあります。
 
また、児童手当は所得制限がなく、未婚・死別にかかわらず要件を満たせば受給できます。税制では、未婚・死別のどちらもひとり親控除の対象となり得る一方、死別した女性には寡婦控除が関係する場合もあります。
 
さらに、夫と死別したシングルマザーの場合は、「遺族年金」を忘れずに確認しましょう。亡くなった夫の年金加入状況や保険料の納付要件、子どもの年齢などによって、遺族基礎年金や遺族厚生年金を受け取れる可能性があります。
 
「私は所得制限で1円ももらえない」と感じている場合は、児童扶養手当だけでなく、児童手当、遺族年金、ひとり親控除、自治体の医療費助成、保育・教育関連の支援、就業・資格取得支援などを横断的に確認してみましょう。
 
給付制度は所得だけでなく、子どもの年齢、人数、世帯状況、自治体によっても変わるため、市区町村の窓口で現在の状況をしっかり伝えて確認することが大切です。
 

出典

こども家庭庁 「児童扶養手当』に関する大切なお知らせ
神奈川県 ひとり親家庭のお子さんのために(児童扶養手当)
こども家庭庁 児童手当制度のご案内
日本年金機構 遺族年金
国税庁 No.1171 ひとり親控除
国税庁 No.1170 寡婦控除
こども家庭庁 ひとり親家庭等日常生活支援事業について
 
執筆者 : 小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)

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