結婚式の前日「1万円札をアイロンがけ」して後悔…「新札みたいになる」と聞いたのに、それは“昔のお札の話”!?「ただのシワ伸ばし」が偽札騒動に発展する理由
このとき「アイロンでシワを伸ばせば新札みたいになるかもしれない」という悪魔のささやきが、頭をよぎる人もいるのではないでしょうか。しかし、新しい1万円札へのアイロンがけは、絶対にやってはいけないNG行動です。
「少しシワを伸ばすだけ」のつもりが、大切な3万円が一瞬でただの紙切れになり、最悪の場合は偽札と疑われてしまうリスクすらあるのです。今回は、知らずにやりがちな新紙幣への「アイロンがけ」に潜む絶望的なわなと、急な慶事での正しい対処法を解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、第一種/第二種電気工事士、医療情報技師、2級ボイラー技士、ボイラー整備士
1万円札が溶ける!? 最新ホログラムを破壊する熱のわな
2024年7月、新紙幣の発行が開始されました。この新しい1万円札や5000円札には、偽造防止のために高精細な3Dホログラム技術が採用されています。お札を傾けると肖像画が立体的に動いて見える、世界初の最新技術です。
偽造防止の観点からは非常に優れた技術ですが、実はこのホログラム部分、熱に対して非常に脆(もろ)いという弱点を持っています。
もし、シワを伸ばそうとして100度を超えるアイロンを直接当ててしまったらどうなるでしょうか。キラキラと輝くホログラム部分は一瞬で溶け、黒く変色したり、熱で縮んで剥がれてしまったりします。
「昔のお札ならアイロンをかけても平気だった」という感覚で安易に熱を加えると、取り返しのつかない事態を招きます。なけなしのお小遣いから用意した3万円が、自分の手でゴミと化す絶望感は計り知れません。
「ただのシワ伸ばし」が偽札騒動に発展する地獄
では、ホログラムが溶けてしまった1万円札はどうなるのでしょうか。見た目が不自然に変形したお札は、結婚式の受付で不審に思われるだけでなく、ATMや自動販売機などの機械に通すと高確率ではじかれます。
機械が「偽造券の可能性がある」と判断すれば、エラー音とともに吐き出され、ただでさえ少ないお小遣いが使えなくなるという致命傷を負うのです。
熱で変形したり損傷したりしてしまったお金は、日本銀行の本店や支店に持ち込めば、残っている面積などの基準に応じて新しいお金と引き換えてもらうことができます。
表・裏の両面が具備されており、面積が3分の2以上残っていれば全額と引き換えてもらえる基準となっていますが、これには大きな壁があります。
日本銀行の窓口が開いているのは平日の9時から15時までです。郵送での引換えは受け付けておらず、原則として事前予約をしたうえで直接窓口へ足を運ぶ必要があります。
日々の業務に追われる会社員が、自分の不注意で溶かしたお札を交換するためだけに有給休暇や半休を取り銀行へ向かうのは、哀愁という言葉では片付けられないほど痛すぎる現実です。削り損のわなに自らハマりに行くようなマネは、絶対に避けるべきです。
新札がない! ピンチを乗り切る正しい裏ワザ
どうしても翌日までに新札が必要な場合、現実的な方法がいくつかあります。
1つ目は、結婚式場やホテルのフロントに相談することです。多くの式場では、ゲストが新札を用意し忘れたときのために、あらかじめ交換用の新札を準備してくれているケースがあります。ただし、必ず在庫があるとは限らないため、過度な期待は禁物です。
2つ目は、友人や親族に「ご祝儀の3万円を立て替えてくれないか」と頼み込み、後でスマホの送金アプリなどを使って返金する方法です。少し恥ずかしい思いをするかもしれませんが、偽札扱いされるリスクを背負ってアイロンをかけるよりは確実な選択です。
もし「どうしても手元のシワシワなお札をきれいにしたい」という場合は、霧吹きなどで軽く水分を含ませたあと、絶対にホログラム部分を避け、低温に設定したアイロンでハンカチなどの当て布をして慎重にシワを伸ばすようにしてください。
それでも、少しでも手元が狂えば一巻の終わりです。休日の大切な時間をトラブル対応でつぶさないためにも、結婚式に出席の予定がある人は、ある程度の新札を自宅にストックするなど早めに準備をしておくのがいいかもしれません。
執筆者 : 西村和樹
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、第一種/第二種電気工事士、医療情報技師、2級ボイラー技士、ボイラー整備士
