10年住んだ賃貸を退去したら、畳の交換費「6万円」を請求されて困惑…。目立つ傷や汚れはなく“日焼け”しただけですが、それでも全額支払う必要があるのでしょうか?
この記事では、10年間の居住による畳の変色を例に、貸主と借主の費用負担の境界線を分かりやすく解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
畳の日焼けや通常使用による擦り切れは誰が負担? 原状回復の考え方
国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、経年劣化や日焼けなどによる価値の減少と、通常使用による畳の擦り切れなどは、原則として賃借人の負担にはならないという考え方が示されています。
これは、通常の生活による建物や設備の価値の減少分は、賃料に含まれていると考えられているためです。10年間普通に生活した結果、畳が日焼けして変色しただけであれば、借主の不注意による損傷とはいえません。
原状回復に関する一般的な考え方では、日光による変色や家具の重みによるへこみ、年月の経過に伴う畳の擦り切れなどは、原則として貸主負担とされています。したがって、今回の6万円が単に日焼けした畳を新しくするための費用であれば、借主が当然に全額を支払うものとは考えにくいでしょう。
ただし、借主の不注意で損耗が拡大した場合や、有効な特約がある場合はこの限りではありません 。
焼け焦げやカビなどがあれば借主負担になることも
同じ畳の変色でも、その原因によって費用負担は変わります。例えば、タバコやアイロンによる焼け焦げ、ペットが付けた傷や臭い、水をこぼしたまま放置して発生したカビなどは、借主の不注意や手入れ不足による損傷と判断される可能性があるのです。
国土交通省のガイドラインでは、借主が負担する畳の補修範囲について、原則として損傷した畳の枚数分としています。
1枚だけに焦げ跡があるなら、部屋にある畳すべての交換費ではなく、その1枚の裏返しや表替えに必要な費用が基本です。色をそろえるためにほかの畳も交換する場合、その費用まで借主負担にするものではないという考え方も示されています。
請求額6万円は相場内でも「借主が払う金額」とは限らない
畳の裏返しは1枚約3000~6000円、表替えは1枚約4000~1万3000円、新調する場合は1枚約1万~2万5000円が相場です。
6畳の部屋で計算すると、裏返しは約1万8000~3万6000円、表替えは約2万4000~7万8000円、畳を新調する場合は約6万~15万円となります。ただし、「実際に工事へ6万円かかること」と「借主が6万円を全額負担すること」は別の問題です。金額が相場内だからといって、日焼けによる交換費まで借主へ請求できるとは限りません。
請求を受けた場合は、新調・表替え・裏返しのどの作業を行うのか、対象となる畳の枚数や材料費、処分費など、請求の内訳を確認しましょう。借主の責任とされている傷や汚れについても、具体的な箇所と根拠を示してもらうことが大切です。
日焼けだけなら6万円をすぐに全額支払う必要はないと考えられる
10年間の通常使用で畳が日焼けしただけであり、焼け焦げやカビ、破れなどがなければ、交換費は原則として貸主側が負担するものと考えられます。まずは契約書の特約と6万円の内訳を確認し、どの畳にどのような損傷があると判断されたのか、管理会社や貸主に説明を求めましょう。
入居時や退去時の写真があれば、単なる日焼けなのか、借主の過失による損傷なのかを判断する材料になります。請求書の金額だけを見て支払うのではなく、劣化の原因、契約内容、工事の範囲を確認したうえで負担の必要性を判断しましょう。
出典
国土交通省住宅局 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
