カーシェアで「少し擦っただけ」でも“警察”を呼ばないと大赤字!?「黙っていればバレない」と思ったら“17万円の請求”に絶望…事なかれ主義による「全額自己負担の地獄」
週末のまとめ買いや子どもの送迎などにとても便利なカーシェアですが、もしショッピングモールの狭い駐車場で、バンパーをポールに少し擦ってしまったらどうしますか。
「ほんの少しの傷だし、次に乗る人も気づかないだろう」「警察を呼ぶと大げさになるし、せっかくの休日が台無しになる」などと考え、そのままステーションに返却するのは絶対にやってはいけない行為です。
実は、どんなに小さな傷でも警察と運営会社に連絡しないと、後日絶望的な請求書が届くことになります。維持費や保険料を気にせず手軽に乗れるメリットがある反面、利用するときのルールには非常にシビアな一面があるのです。
今回は、カーシェア利用時にやってしまいがちな「事故の無申告」が招く、痛すぎる現実について解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、第一種/第二種電気工事士、医療情報技師、2級ボイラー技士、ボイラー整備士
「少し擦っただけ」でも警察への連絡は必須
カーシェアの利用料金には、基本的に自動車保険の料金が含まれています。万一事故を起こしても、対人や対物の賠償、車両の修理費用などは保険でカバーされる仕組みです。
しかし、この保険を適用させるためには、「警察への届け出(事故証明)」が絶対に必要になります。駐車場でポールに擦っただけの自損事故であっても同じです。「警察を呼ぶと面倒だ」と勝手に判断して連絡を怠ると、規約違反とみなされて保険や補償がすべて適用されなくなります。
保険適用外のペナルティは全額自己負担の地獄
警察や運営会社への連絡を怠り、保険が適用されなくなった場合、車の修理費用はどうなるのでしょうか?
答えは「全額自己負担」となります。現代のカーシェア車両には高精度なドライブレコーダーが標準装備されており、衝撃を検知して運営会社に自動で通知がいくシステムも導入されています。つまり、「黙っていればバレないだろう」という考え自体が通用しない時代なのです!
バンパーの交換や再塗装となれば、中に組み込まれたセンサー類の調整も含め、車種によっては10万円から15万円ほどの修理代を請求されるケースは珍しくありません。
毎月のお小遣いを3万円に切り詰め、なんとかやり繰りしているなかで、突然15万円もの出費が発生すれば、夏のボーナスが丸ごと吹き飛ぶほどの大ダメージではないでしょうか。
追い打ちをかけるNOC(ノンオペレーションチャージ)
高額な修理代を全額負担するだけでも冷や汗が出ますが、請求はそれだけではありません。事故や汚損によって車両を修理・清掃する必要が生じた場合、「NOC(ノンオペレーションチャージ)」というペナルティが容赦なく加算されます。
NOCは、車両が使えなくなったことに対する営業補償の一部です。傷を隠して返却し、後から運営会社に発覚した場合、以下の金額が請求されるのが一般的です。
・車両が自走可能で、予定のステーションに返却された場合:2万円
・車両が自走できず、ステーションに返却されなかった場合:5万円
つまり、傷を隠したまま自走して返却したとしても、15万円の修理代に加えて2万円のNOCが上乗せされ、合計17万円もの請求が来る可能性があるということです。数千円の利用料を節約するつもりが、1回の自己判断で取り返しのつかない赤字を生み出すことになります。
図表1
筆者作成
最悪の場合は強制退会という厳しい現実
金銭的な大赤字に加えて、事故の無申告という重大な規約違反を犯したことで、カーシェアの会員資格を取り消されるリスクもあります。
生活の足としてカーシェアに頼っていた家庭にとって、二度とサービスを利用できなくなるのは死活問題でしょう。ほかのカーシェアサービスに入会しようとしても、自宅の近所にステーションがないなど、非常に不便な思いをすることになるかもしれません。
万一擦ってしまったときの正しい手順
焦って逃げ出したくなる気持ちは痛いほどわかりますが、まずは深呼吸をして、以下の手順を必ず踏んでください。
・周囲の安全を確認し、車を安全な場所に停車する。
・警察(110番)に連絡し、事故の届け出を行う。
・カーシェア運営会社の事故受付センターに連絡する。
警察を呼び、運営会社に正直に申告すれば、保険が適用されるため、高額な修理代は免除されます。利用者が負担するのは、NOCの2万円(自走不可の場合は5万円)のみで済むケースがほとんどです。
正直な申告こそが家計を守る防波堤
カーシェアは、車の維持費を大きく削ることができる素晴らしいサービスですが、利用ルールを破ったときのペナルティは非常にシビアです。
「これくらい平気だろう」と自己判断せず、トラブルが起きたときこそ迅速かつ正直に行動することが、大切な家族のお金を守ることにつながります。
執筆者 : 西村和樹
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、第一種/第二種電気工事士、医療情報技師、2級ボイラー技士、ボイラー整備士

