引っ越しを終えたあと、家具に大きな傷がついていることに気づきました。作業中に申告できなくても、業者に修理代を負担してもらえるのでしょうか?
国が定める標準引越運送約款では、荷物の損傷について原則として荷物を引き渡した日から3ヶ月以内に通知しなければ、業者の責任が消滅するとされています。ただし、時間がたつほど「引っ越し作業でできた傷」と証明しにくくなるため、発見したらできるだけ早く連絡しましょう。
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作業員が帰った後に気づいても補償を求められる可能性がある
作業終了の確認書にサインしたというだけで、直ちに「もう何も言えない」と考える必要はありません。
国民生活センターは、引っ越し作業で家具に傷を付けられた場合について、国が定めた標準引越運送約款では事業者が必要な注意を怠らなかったことを証明しない限り、事業者が責任を負うと説明しています。
たとえば午後5時に引っ越し作業が終了し、夜に段ボールを片付けていると、ダイニングテーブルの側面に大きな擦り傷を見つけたとします。
作業中には気づかなかったとしても、その日のうちに業者へ連絡すれば、補償について話し合える可能性があります。こうした補償を巡るトラブルは、引っ越しに関する相談の中でも多くみられます。
国民生活センターによると、2024年度の「引越」に関する相談2345件のうち、「補償」に関するものは1060件(45.2%)で、相談内容別では最も多くなっています。また、「傷」に関する相談も385件(16.4%)ありました。なお、相談内容は、1件の相談が複数の項目に該当し得る「複数回答」で集計されています。
まず傷を見つけた状態のまま写真を撮りましょう。家具全体、傷の拡大写真、家具が置かれている場所など、複数の角度から撮影します。可能なら引っ越し前の写真も探してください。旧居で家具を撮影した写真に傷がなければ、「引っ越し前にはなかった」ことを説明する材料になります。
標準約款では損傷の連絡は原則3ヶ月以内とされている
現在、多くの引っ越し業者が国の標準引越運送約款を使用しています。
国土交通省の標準約款では、荷物の一部の紛失や損傷について、荷物を引き渡した日から3ヶ月以内に通知しなければ、原則として業者の責任が消滅すると定めています。
国民生活センターも2026年の案内で、家具の傷に気づいたら引っ越し作業当日から3ヶ月以内に申し出るよう説明しています。
ただし、「3ヶ月あるから、2ヶ月後でいい」という意味ではありません。時間がたてば、日常生活の中でできた傷なのか、引っ越し作業中にできた傷なのか判別しにくくなります。翌日に気づいたなら翌日、1週間後に気づいたならその日に、できるだけ早く連絡することが大切です。
なお、業者によっては国土交通大臣の認可を受けた独自の約款を使用している場合があります。契約時にもらった見積書や約款を確認し、補償の申告期限や連絡方法を確かめましょう。
修理する前に業者へ確認してもらう
大きな傷を見つけると、すぐ家具修理店へ持ち込みたくなるかもしれません。
しかし、補償を求めるなら、修理する前に引っ越し業者へ状態を確認してもらうのがおすすめです。先に自分で修理すると、元の傷の程度が分からなくなり、費用を巡って話が難しくなることがあります。
業者へ連絡するときは、「○月○日の引っ越しで運んでもらったテーブルに、搬入後大きな傷があることに気づきました。写真があります」と具体的に伝えましょう。業者が現物確認をした後、修理業者を手配する場合や、自分で見積もりを取るよう求められる場合があります。
なお、傷が付いたからといって、購入時の代金をそのまま全額もらえるとは限りません。標準約款では、荷物の損傷によって直接生じた損害を賠償するとしています。家具などの破損では修理が原則で、修理できない場合は、購入時からの経過期間などを踏まえた時価相当額での賠償が検討されます。
まとめ
引っ越し作業が終わってから家具の傷に気づいても、その場で申告できなかったという理由だけで補償を諦める必要はありません。
標準引越運送約款では、家具などの損傷について、原則として荷物の引き渡しから3ヶ月以内に業者へ通知する必要があります。
ただし、3ヶ月ぎりぎりまで待つのは避けましょう。時間がたつほど、傷が引っ越し作業によってできたことを確認しにくくなります。発見したらすぐ写真を撮り、業者へ連絡してください。修理や廃棄も、業者が状態を確認する前には行わないほうが安全です。
引っ越し前後の写真や家具の購入資料があれば、補償の話し合いもしやすくなります。新居に着いたら、段ボールだけでなく大型家具や家電もできるだけ早く確認する習慣をつけると、万一の傷にも対応しやすくなります。
出典
独立行政法人国民生活センター 消費者トラブルFAQ【引っ越し】引っ越しの作業で家具に傷をつけられた。補償を求めたい。
国土交通省 標準引越運送約款(平成二年運輸省告示第五百七十七号)最終改正 令和七年 国土交通省告示第百九十三号
独立行政法人国民生活センター 引越トラブルにご注意(令和8年2月4日)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
