「日本国旗にバツ印」のデモ動画に、SNS「国旗損壊」「捕まえろ」の声が…実は「リアルタイムで損壊」でなければ“問題なし”?「意味のない法律」の指摘もあるが、それでも施行された理由とは

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「日本国旗にバツ印」のデモ動画に、SNS「国旗損壊」「捕まえろ」の声が…実は「リアルタイムで損壊」でなければ“問題なし”?「意味のない法律」の指摘もあるが、それでも施行された理由とは
「国旗損壊罪」が2026年8月13日から施行されましたが、その翌々日の8月15日、靖国神社周辺で行われたデモの様子がSNSで拡散され話題になりました。このデモではバツ印がつけられた日本国旗が掲げられていたことから、「国旗損壊ではないのか」「なぜ逮捕されないのか」といった声が多く集まりました。
 
実は、「国旗の損壊等の処罰に関する法律」は、バツ印がついた国旗を掲げているだけでは、処罰の対象にならない可能性があります。では、どのような行為が処罰されるのでしょうか。本記事では、新しく施行された法律の内容や罰則について解説します。
渡辺あい

FP2級、防災士

国旗を「公然と損壊する行為」が処罰される

「国旗の損壊等の処罰に関する法律」は、2026年7月24日に公布され、8月13日に施行されました。この法定刑は、2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金です。この法律では「人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法」により、公然と国旗を損壊、除去、汚損した場合を処罰対象としています。
 
「損壊」とは、例えば国旗を引き裂いたり、切り刻んだり、燃やしたりする行為で、「除去」は、掲揚されている国旗を引き降ろす行為などを指します。また「汚損」には、墨汁を塗ったり、泥のついた靴で踏みつけたりする行為などが含まれます。
 
さらに、「公然と」とは、不特定または多数の人が認識できる状況を意味します。そのため、人前で国旗を燃やす場合だけでなく、インターネットでライブ配信しながら損壊する場合も、処罰対象になる可能性があるのです。
 

「バツ印の国旗を掲げるだけ」なら対象外?

今回話題になったデモでは、すでにバツ印がついた国旗が掲げられていました。「国旗を損壊した」ように思える行為ですが、国会審議では、事前に損壊・汚損した国旗を街頭演説などで掲げる行為について、「処罰の対象にはならない」と説明されています。
 
つまり、自宅で国旗にバツ印をつけ、その国旗を後からデモ会場で掲げた場合、会場の現場で国旗を「損壊・汚損」しているわけではありません。デモ参加者が大勢の前で国旗にバツ印を描いていた場合は、「公然と汚損した」と判断される可能性がありますが、今回の場合は「公然と汚損していない」ので、処罰の対象にならないのです。
 
また、自宅で国旗を損壊する様子を撮影し、その動画を後からSNSへ投稿した場合も、投稿したこと自体は処罰対象になりません。ただし、ライブ配信しながら損壊すれば「公然と」に該当する可能性があります。同じ映像がSNSに掲載されていても、損壊時の状況によって扱いが異なるのです。
 
また、誤って国旗を破ってしまった場合などは対象になりません。国旗損壊等罪は、故意に行った場合を対象としています。
 

なぜ「掲げるだけ」まで処罰しなかった?

「事前にバツ印をつけるケースが罰されないなら、法律を作った意味がないのでは」と感じる人もいるかもしれません。実は、法律を作る過程では、自ら国旗を損壊した動画を後から配信する行為についても処罰対象とする案が検討されていましたが、各党による協議などを経て、最終的には「公然と損壊等する行為」に処罰範囲が限定されました。
 
背景の1つにあるのが、「表現の自由」です。同法第3条に、法律を適用する際には、表現の自由など日本国憲法が保障する自由や権利を不当に侵害しないよう留意することが明記されています。
 
また、この法律が作られた理由として、日本では外国国旗の損壊に関する処罰規定があるものの、自国の国旗について同様の規定がなかったという背景があります。国旗を大切に思う国民感情を守りつつ、表現の自由にも配慮するというバランスを取った結果、現在の処罰範囲になったといえるでしょう。
 

「バツ印=即逮捕」ではないことを知っておこう

新しく施行された国旗の損壊等の処罰に関する法律では、国旗を人に著しく不快感などを与える方法で「公然と損壊・除去・汚損する行為」が処罰対象です。
 
そのため、バツ印のついた国旗を掲げているだけで、直ちにこの法律に違反するとは限りません。また、法律には施行後3年をめどとした見直し規定も設けられています。損壊された国旗を公然と掲げる行為や、損壊する映像のインターネット上での利用状況なども踏まえて今後内容が変わっていく可能性もあるでしょう。
 
「意味がない」と単純に結論づけるのではなく、何を処罰し、どこから表現の自由として守るのかという線引きがあることを知ったうえで、今後の運用や見直しを見ていく必要があるのかもしれません。
 

出典

法務省 国旗の損壊等の処罰に関する法律 Q&A
e-Gov法令検索 国旗の損壊等の処罰に関する法律
 
執筆者 : 渡辺あい
FP2級、防災士

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