コンビニで「300円のドリンク」を“1万円札”で買おうとしたら、お店に「両替に当たる行為です」と断られた!? SNS投稿に「店側が違法」「無制限の強制通用力があるのに…」とコメント多数! 紙幣のルールを確認
お札(紙幣)には、受け取りを原則として拒めない「強制通用力」がありますが、売買が成り立つ前なら店が断れる場合もあります。本記事では、紙幣と硬貨のルールや、お釣りがないときの考え方を解説します。
1級ファイナンシャル・プランニング技能士・CFP
コンビニで1万円札を出したら「両替に当たる」と断られた? SNSで賛否
話題になったのは、2026年9月23日の朝に投稿された目撃談です。
あるコンビニで300円ほどのドリンクを1万円札で買おうとした女性に、店長と思われる人が「両替に当たる行為なので、五百円硬貨等で買って下さい、無ければカードとかアプリでお願いします」と断ったといいます。
投稿者は「女性は固まってしまってた」と書き添え、店側の言い分も分かるとしつつ、自分もたまにやると明かしています。
反応では「買い物してるならいいと思う」「強制通用力を無視してるように見える」と、店の対応を疑問視する声が上がりました。
一方で、「契約自由の範囲内」と違法ではないとみる声や、「銀行の両替手数料が高くなったことも影響しているかもしれませんね」と店の事情を推し量る声もあります。引用の投稿には「同一額面の硬貨20枚以上のときは拒める」という意見もありました。
お札は「無制限」に使える? 硬貨は20枚までのルールも確認
1万円札は何枚でも支払いに使える
日本銀行法第46条第2項は、お札について「法貨として無制限に通用する」と定めています。法貨とは、支払いに出されたら相手が原則として受け取りを拒めないお金のことで、この効力を強制通用力と呼びます。
硬貨は同じ種類の21枚目から断られることも
硬貨は、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」第7条で、額面価格の20倍までに限って通用するとされています。これは、同じ種類の硬貨を一度に20枚までという意味です。10円玉なら200円分にあたります。
引用の投稿の「20枚以上」は、正確には21枚以上出されたときに店は断れます。なお、相手が同意すれば20枚を超えて払ってもかまいません。
「両替に当たる」「お釣りがない」という理由で断るのは違法?
買い物の代金を払うのは両替ではない
両替とは、買い物をせずにお札を小銭などに崩してもらうことです。ドリンクを買って1万円札で払い、お釣りを受け取るのは代金の支払いです。買い物をしている以上、「両替に当たる」という説明には無理があります。
売買が成り立つ前なら、店は断ることもできる
強制通用力は、代金などを払う義務があるときに、その支払いを相手が拒めないという効力です。民法第521条は、法律に特別な定めがなければ、契約をするかどうかを自由に決められるとしています。そのため、売買が成り立つ前なら、店は売るかどうかを選べます。
ただし、「現金不可」のように支払い方を限るには、事前に示して客の了承を得る必要があり、支払いの段階で一方的に求めても通らないとする弁護士の解説もあります。どの時点で売買が成り立っていたかで結論が変わるため、今回の件を一概に違法とは言い切れません。
なお、日本銀行法や硬貨について定めた法律には、受け取りを断った店への罰則はありません。
お釣りが足りないときの考え方
客がちょうどの金額を出す義務を定めた法律は見当たらず、お釣りを渡すのが商慣習として確立しているとみる弁護士の見解があります。1万円札を代金として受け取ったなら、店は多い分をお釣りとして返さなければなりません。
一方、売る前の段階なら、お釣りが足りないことを理由に売るのを断る余地は残ります。店の側から見ると、釣り銭をそろえるにも費用がかかります。三菱UFJ銀行は2023年10月、窓口で11~500枚を両替する手数料を550円から770円に上げています。
まとめ
お札には無制限の強制通用力があり、1万円札で300円の商品を買うのは両替ではなく代金の支払いです。ただし、強制通用力が働くのは支払う義務が生まれてからなので、売買が成り立つ前なら店が断る余地もあります。
硬貨の場合、同じ種類で受け取りを拒めないのは20枚までです。千円札や小銭を財布に入れておくとともに、キャッシュレス決済を使えるようにもしておくと、レジで困る場面を減らせます。
執筆者 : よし・こう
1級ファイナンシャル・プランニング技能士・CFP
