更新日: 2019.08.20 子育て
医歯薬系と同じぐらい?音大に行きたいけど実際どのぐらいお金が必要なのか
もし、音大にこどもが行きたいと言い出したらいくら必要なのでしょうか? 大学在学中の学費に加え、受験にかかる費用もあわせてどのくらいかかるか見てみましょう。
執筆者:柴田千青(しばた ちはる)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
2級DCプランナー/精神保健福祉士/キッズ・マネー・ステーション認定講師/終活アドバイザー
小美玉市教育委員
出産を機にメーカーの技術職から転身。自身の資産管理や相続対策からお金の知識の重要性を知り、保険などの商品を売らないFPとして独立。次世代に伝えるための金銭教育活動とともに、セミナー講師・WEB記事を中心とした執筆・個別相談などを行う。
音大の学費はどれくらい?
国立大学なら各大学や学部で多少額が変わるものの、概ね授業料が54万円、入学料が28万円です。そのため、他に実習費等がかかる場合もありますが、授業料など大学に払うお金は初年度に82万円、その後1年あたり授業料54万円程度です。
それに対し、私立大学の場合は学部学科により授業料等が大きく異なり、文部科学省の平成29年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金の調査によると、音楽等の芸術系では初年度納付金の平均額は180万円弱であり、医歯薬系にはおよばないものの、120万円前後の文科系よりはるかに高額になっています。
授業料も理工系を上回り110万円を超えているので、初年度だけでなく次年度以降にかかる費用も他学部に比べ多くかかっていくと考えてよいでしょう。
音大受験にかかる費用はどれくらい?
音大は入ってからの学費の多さもありますが、受験科目の特殊性から入学試験対策の費用についても多くかかる可能性が高いです。
国立大学で音楽を学べる学校では1次試験にセンター試験で英国数理社などの一般教科が課されることが多いですが、私立の音大や国立大学の2次試験になると専門分野の試験内容が課されるようになります。
その内容は、専攻したい楽器等の演奏はもちろんとして、各学校により何が課されてくるかは異なりますが、楽典(音楽理論)やソルフェージュ(譜読み中心の基礎訓練)、コンコーネ(発声を主とした声楽練習曲)、コールユーブンゲン(声楽の初歩訓練むけの合唱練習曲)といった、受験特有の試験内容を設定していることが多いです。
高校の方では音楽科のある学校でもない限り、こういった専門性の高い内容は教わる機会が少ないですし、学校外の習い事でもそれぞれの楽器の演奏や歌が主なレッスン内容であることが多いでしょう。そのため、受験対策としてソルフェージュ等の指導を別に受ける必要が出てくるため、その分多くの費用がかかることになるのです。
なお、このような指導を受けられるところは数も少なく、費用もまちまちなので、実際に音大受験に関わることが多い教室等からの情報収集や紹介が、指導内容だけでなく費用面でも重要になってくるでしょう。
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学費以外にかかるお金も多くなりやすい
音楽を専門的に学ぶには、受験や入学してからの学費だけでなく、その他にかかる費用も多くなりやすいことも考えておいた方がよいでしょう。
まず、楽器を専攻する場合には楽器代もかかってきますし、その楽器も専門性が増すほどに高額なものになりがちです。例えば、ピアノでしたらタッチ等の違いから、アップライトピアノではなく、総じてアップライトより高いグランドピアノでの練習が必要になってくることもあります。
また十分な練習量を確保するために、防音等についても配慮して設備等を整えていく必要に迫られるかもしれません。
音大には他の学部学科にはない特徴から、受験や在学中においても費用が高額になりがちです。音楽などの芸術系に進む人の割合はそんなに多くないこともあり、その対策をしていくためには、音大に関わる人へのヒアリングや口コミなどの情報収集が鍵になってきます。
お金がかかりやすい分野ですから、なおのことよく調べ、費用面と内容の両面から納得のいく指導を受けられるようにしていきましょう。
出典:(※1)国立大学等の授業料その他の費用に関する省令(平成十六年文部科学省令第十六号)
(※2)文部科学省 平成29年度私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人あたり)の調査結果
執筆者:柴田千青
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者