更新日: 2021.09.20 キャッシュレス
「当店はキャッシュレス・ポイント還元の加盟店ではありません」キャッシュレス・ポイント還元で、コンビニに明暗?
しかし、10月も後半のある日に立ち寄った時は、夕方の帰宅ラッシュ時が過ぎる頃にもかかわらず、駐車場には1台も車が停まっていませんでした(同じ通り沿いの別のコンビニエンスストアの駐車場には、それなりに車が入っていたのですが)。
店舗の入り口近くに貼り紙がありました。「当店はキャッシュレス・ポイント還元の加盟店ではありません」
執筆者:林智慮(はやし ちりよ)
CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。
キャッシュレス・ポイント還元事業って?
2019年10月からキャッシュレス・ポイント還元事業が始まりました。事業の登録加盟店でキャッシュレス支払いをすると、中小・小規模の店舗では買い物金額の5%、フランチャイズチェーンやガソリンスタンドなどは2%がポイントで還元されます。
東京オリンピック・パラリンピック開催直前、2020年6月30日までの期間限定です。
2019年10月1日から消費税率が引き上げられたことに対し、消費が落ち込まないことと、キャッシュレス決済を推進するため、中小・小規模事業者向けの支援が目的のものです。中小・小規模店舗については、キャッシュレス決済の導入の補助と決済手数料の補助、消費者に還元するポイント還元分の原資も国の支援が受けられます。
本部が大企業のフランチャイズチェーンでも、加盟店が中小・小規模店舗なら消費者に還元するポイントの原資分のみ、国の支援が受けられます。消費者に還元しても、その分を国が負担するので、中小・小規模事業者の懐は痛まないのです。
ポイント還元事業に登録しない店舗もある
コンビニエンスストアには、直営店とフランチャイズ店があります。フランチャイジー(フランチャイズチェーンの加盟店)には、個人事業主のような小規模経営の場合もありますし、大企業が経営する場合もあります。
フランチャイジーが中小・小規模店舗の場合は、国からポイント原資を支援されるため、キャッシュレス・ポイント還元事業に加盟店登録して顧客にポイント還元をしても損はしませんが、大企業の場合は国によるポイント原資の支援がないため、利益から客にポイント還元をすることになります。直営店の場合も本体が大企業のため、同様です。
よって、同じコンビニエンスストアでも、キャッシュレス・ポイント還元事業に参加していない店舗もあります。
例えば、岐阜県での2019年12月23日時点のキャッシュレス・ポイント還元事業登録加盟店数は、ローソン185、ファミリーマート345、セブン・イレブン167、ミニストップ76です。
それに対し、ホームページで公表されている岐阜県でのコンビニエンスストアの店舗数は、ローソン180(2019年2月現在)、ファミリーマート342(2019年11月現在)、セブン・イレブン195(2019年11月現在)、ミニストップ86(2019年7月現在)です。
ローソン、ファミリーマートはキャッシュレス・ポイント還元事業に営業店舗がほぼ登録しているようですが、セブン・イレブンとミニストップはキャッシュレス・ポイント還元事業に登録していない店舗の割合が他の2店と比べると多いようです。
コンビニは実質値引き
キャッシュレス・ポイント還元事業の登録加盟店であるコンビニエンスストアでは、キャッシュレス決済を行う場合、税込みの購入金額へ即時に2%分の相当額が即時に充当され、残額をクレジットカードやプリペイドカード、QRコード等で支払うことになります。消費者にとっては、実質値下げです。
コンビニエンスストアの商品は大体同じで、価格も大差がありません。コーヒーもそれぞれのコンビニエンスストアで特徴がありますが、値段は横並びです。どうしてもその店でないと……と思われるものでなければ、少しでも安い店に流れてしまうのは仕方がないことかもしれません。
(出典、引用)
ミニストップ ニュースリリース「消費税増税対応について」
セブン・イレブン・ジャパン ニュースリリース「「消費税引き明けに」に伴う各店舗での対応について ~軽減税率対応、キャッシュレス・消費者還元事業への参加~」
LAWSON「キャッシュレス・消費者還元事業:ローソンでのお客様への還元について」
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者