高校生の8割が利用する「就学支援金制度」って? 2020年4月からの改正で何が変わる?
配信日: 2020.02.19 更新日: 2020.04.07
そんな中、みなさんは、高校の授業料を援助してくれる仕組みがあることをご存じでしょうか。今回は、高校の「就学支援金制度」や授業料無償化について、ご紹介します。
執筆者:下中英恵(したなかはなえ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
高校の就学支援金制度とは?
「高等学校等就学支援金制度」とは、高等学校などに通う子どもがいるご家庭において、一定の条件を満たすと、支援金が支給される制度です。文部科学省の情報によると、現在のところ、全国の約80%の生徒が利用しています(※1)。
支給額は、公立高校の場合年間約12万円で、この支援金によって授業料をほとんどカバーすることが可能です。また、返済の義務はないため、生徒も親も、安心して利用することができます。
ただし、支援金を受け取る条件として、所得制限が設けられています。2020年2月現在は、仮に4人家族(両親・子ども2人)の場合、年収約910万円未満の世帯が対象です。
また、就学支援金制度を申し込むためには、まず学校で手続きをする必要があります。親の所得を証明するために、課税証明書などが必要となることを覚えておきましょう。
2020年4月改正のポイント
今までご紹介してきた「高等学校等就学支援金制度」ですが、実は2020年4月から、より使いやすい制度へと改正される予定です。大きな変更点は、私立高校の支援金についてです。
今まで、私立高校に進学する子どもの場合、支援金の最高額は年間約30万円までとなっており、それを超えてしまった学費については、所得が少ないご家庭であっても、全て親が負担しなければなりませんでした。
しかし、2020年4月以降は、年収が約590万円未満の世帯において、私立高校などに通う生徒の就学支援金の上限額が引き上げられ、親の授業料の実質的な負担額は、ゼロとなります。つまり、「私立高等学校授業料の実質無償化」が実現する予定です。
私立高校に行きたいけれど、家庭の事情で諦めていた学生にとっては、大変助かる改正ですね。さらに詳しい変更内容について知りたい方は、文部科学省のリーフレット(※2)を確認してみましょう。
教育費の準備
2019年10月からスタートした幼児教育・保育の無償化によって、小さいお子さんがいるご家庭の教育費の負担は、大きく軽減されました。そして、4月から新しくなる「高等学校等就学支援金制度」によって、子どもの教育費の負担は、さらに軽くなることが予想されます。
しかし、それ以外に必要となる塾の費用や習い事の費用、さらに大学進学のための学費は、しっかりと準備しておかなければなりません。私立の大学に行くのか、理系か文系かなど、条件によっても大きく異なりますが、やはり、教育費は、早め早めに貯蓄していくことが大切ですね。
いかがだったでしょうか。高校の授業料を支援してくれる制度は、子育て世代にとっては強い味方です。子どもの進学先を検討する場合は、今回ご紹介した内容をぜひ参考にしてみましょう。
[出典]
(※1)文部科学省 高等学校等就学支援金制度リーフレット
(※2)文部科学省 変わります! 高等学校等就学支援金制度リーフレット
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者