更新日: 2019.05.17 その他暮らし

判断能力が不十分な方に対する援助方法

執筆者 : 新美昌也

判断能力が不十分な方に対する援助方法
判断能力が不十分な方に対する援助方法に「日常生活自立支援事業」と「成年後見制度」があります。
この2つの制度をどのように利用すればいいのでしょうか?ポイントをお伝えします。
新美昌也

Text:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

日常生活自立支援事業とは

 
「福祉サービスの利用の仕方がわからない」、「預金の出し入れや公共料金などの利用料の支払いがひとりでは不安」、「年金や預金通帳などの大切な書類をどこにしまったか忘れることが多くなった」など、毎日の生活の中で、不安に思うことがたくさんでてきたら市区町村にある社会福祉協議会に相談しましょう。
 
日常生活自立支援事業は、このような場合に、福祉サービスの利用手続きや契約、金銭管理などのお手伝いをしてくれます。施設や病院に入所、入院した場合にも利用できます。
 
相談や支援計画にかかる費用は無料です。福祉サービスの利用手続きや金銭管理などのサービス利用料は有料です。
 
その際、本人に契約をする能力が必要です。同居の家族がいてもかまいません。生活保護を受けている方には利用料の助成があります。
 

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成年後見制度とは

 
<制度の概要>

成年後見制度は、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者など、判断能力が不十分な方を保護する制度です。判断能力が低下してから申し立てる「法定後見制度」と判断能力があるうちに将来の後見人を決め、公正証書で契約する「任意後見制度」があります。
 
「法定後見制度」は判断能力に応じて「補助」(判断能力が不十分)、「保佐」(判断能力が著しく不十分)、「後見」(判断能力がほとんどない)の3種類があります。
 
後見人等の仕事は、本人の預貯金などの財産管理や、本人の代りに入院や施設入所の手続きなどを行う身上監護です。
 
法定後見制度を利用するには、本人や4親等以内の親族が家庭裁判所に申立てを行います。申立てる人がいない場合は、市区町村長が申立てます。
 
その後、本人の判断能力の程度に応じて家庭裁判所が、「補助」「保佐」「後見」のいずれかを決定します。後見人(または補助・保佐)として、最も職務にふさわしい人を家庭裁判所が決定します。
 
候補者(親族等)の中から後見人等が選ばれるとは限りません。申立てから後見人等決定まで3か月程度かかります。
事務手数料は、申立て手数料800円、登記手数料2600円、鑑定料(5万円~10万円)などです。弁護士などの専門職後見人には報酬も必要になります。
 
<後見人等のできること>
補助人は、申立てにより家庭裁判所が審判で定める特定の法律行為についての、同意権・取消権・代理権をもちます。なお、申立てには本人の同意が必要です。
 
保佐人は、借金、訴訟、相続の承認・放棄、新築・改築・増築などの特定の事項に関する同意権・取消権(日常生活に関する行為を除く)と、申立てにより家庭裁判所が審判で定める特定の法律行為についての代理権をもちます。
後見人は財産管理の全般的な代理権・取消権((日常生活に関する行為を除く)をもちます。
 
<後見人等ができないこと>
後見人等の仕事は財産管理などの法律行為に関するものに限られていますので、実際の介護などの事実行為は、一般に、後見人等の仕事ではありません。
 
また、一身専属的なこと(遺言など)、身分行為(結婚、離婚など)の同意、医療行為(手術など)の同意、本人の債務の保証人、身元引受保証人などはできません。
 
<被後見人等(本人)ができないこと>
被後見人や被保佐人は、医師、税理士等の資格や会社役員、公務員などの地位を失うなどの制限があります。
 
被後見人の方は、法改正により、現在は、選挙権・被選挙権があります。被補助人は、資格に関する制限がありません。
 
<後見人等になることの主なメリット>
成年後見制度を利用すれば、親が悪徳商法の被害にあった場合に、子どもなど(後見人等)が契約を取り消すことができます。
 
ただし、悪徳業者にお金を支払ってしまったときは、取り消せたとしても、お金を取り戻すことは難しいのが現実です。
 
また、後見人が被後見人を代理して遺産分割協議に参加することができます。ただし被後見人の取り分は、被後見人の法定相続分を確保する必要があります。
 
被後見人の居住用の不動産を処分するには家庭裁判所の許可が必要です。なお、後見人と被後見人の利益が相反する場合には「特別代理人」の選任が必要です。
 
<後見人になることの主なデメリット>
被後見人の財産状況について毎年、家庭裁判所に報告しなければならないので、後見人の事務の負担が大きくなります。
 
予期せず、家庭裁判所から、後見監督人を選任され、後見監督人への報酬の負担が生じます。
 
一度後見人になってしまうと、正当な理由がない限り、後見人の職を辞任することができなくなります。
 

成年後見制度と日常自立支援事業の関係は?

 
成年後見制度の利用には至らないけれど、判断能力やお金の管理に自信がなくなり不安に思う方が日常自立支援事業を利用できます。
 
日常自立支援事業は、成年後見制度のように家庭裁判所への申立てといった手続きは必要ありません。

(プロフィール_新美昌也 )
Text:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
http://fp-trc.com/