マスク転売禁止、違反するとどうなる?
配信日: 2020.04.07
マスクで感染を完全に防ぐことはできませんが、感染している人が使うと飛沫を抑える効果があり、感染の広がりを防ぐことができます。
しかし、物がなくては本当に必要な人が買えません。例年のスギ花粉による花粉症の時期と新型コロナウイルスの流行が重なり、マスクの需要が高まり、不足を心配した人たちが「ちょっと余分に買っておく」行動に出たことが原因の1つですが、それよりももっと大きな原因は転売目的の買い占めです。
買い占められたマスクは、ネットショップで元値の10倍20倍という値段が付けられて転売されているものもあります。しかし、1万~2万円の高額でも、必要な人にとっては背に腹は代えられないものかもしれません。
政府は、転売目的の購入は望ましくないことや大量購入を控えることを呼びかけ、大手のネット売買サイトにはマスクのオークションへの出品停止や、一度に大量の販売を制限する要請等をしてきましたが、引き続き転売により利益を得る転売は後を絶ちません。
困った人に追い打ちを掛けるような不当な転売に、ついに、国が法的措置を取りました。
執筆者:林智慮(はやし ちりよ)
CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。
どんな場合に禁止になる?
国民生活安定緊急措置法の一部が改正され、令和2年3月15日より、衛生マスクの転売が禁止されました。国民生活安定緊急措置法は、国民生活の安定または国民経済の円滑な運営を確保することを目的としたものです。
今回は、
・不特定の相手方に対して販売をする者からマスクを購入し
・購入価格(仕入価格)を超える価格で
・不特定または多数の者に対して販売する行為
が禁止されます。
具体的には?
実店舗、インターネットでの販売関係なく、個人も小売業者も、卸業者でも、不特定の一般消費者に販売されたマスクを仕入れて、購入価格よりも高い価格で、不特定多数の者に転売する場合は禁止の対象です。
一方、小売業者が製造や卸業者から仕入れて販売する場合や、卸業者が製造業者や他の卸売業者から仕入れて販売する場合などは、販売元は相手方を特定してマスクの販売を行っていると考えられるため対象外です。
また、転売禁止の対象になる衛生マスクとは、一般に市販されている健康・予防。衛生環境の維持を目的としたもので、家庭用マスク、医療用マスク、産業用の使い捨て防塵マスクなどです。
個人が自作して販売するのは違反行為になりませんが、不特定の一般消費者に対して販売された個人の手作りマスクを購入し、一般消費者に高額で転売する場合は対象になります。
違反するとどうなる?
違反行為をした場合、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその双方が課されます。もし、会社の代表者や社員が業務として違反した場合は、違反者を罰するだけでなく、法人も罰せられます。
通販サイトの取り締まりが厳しくなった時に、マスクの価格は通常に設定、送料が著しく高額なものも見受けられました。この場合でも、違反行為になるおそれがあります。
また、他の商品との抱き合わせ販売は、抱き合わせで販売するマスクが違反行為に該当すれば規制の対象です。そして、商品が不足している状態で、代わる商品がない場合の抱き合わせ販売は、独占禁止法が禁止する不当な取引方法とされるおそれがあります。
また、国内のみの話ではなく、国内で仕入れたものを国外に売っても、国外で仕入れたものを国内で売っても、規制された転売行為は違反になります。
(参照、引用)
・消費者庁「新型コロナウイルス感染症の拡大に対応する際に消費者として御注意いただきたいこと」
・厚生労働省、経済産業省、消費者庁「国民生活安定緊急措置法に基づくマスクの転売規制について」
・厚生労働省、経済産業省、消費者庁「マスク転売規制についてのQ&A」
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者