更新日: 2019.01.10 その他暮らし
まさか自分が?示談金!痴漢えん罪どう対応しますか
主人公の男性はラッシュ時の電車で痴漢に間違われ、駅員室に連行されます。
その後、示談を拒んだために警官に逮捕、起訴されてしまいます。痴漢えん罪を証明することの難しさ、被疑者取り調べや刑事裁判の厳しさなどを描いた作品です。
痴漢の問題ではどうしても被害者(特に女性)にスポットがあたりますが、「痴漢に間違われてしまった人」という隠された被害者について考えてみましょう。
Text:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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弁護士
開成高校卒、東京大学法学部卒。弁護士登録後、大手渉外法律事務所、外資系法律事務所での勤務を経て独立。現在は弁護士16名を擁する東京桜橋法律事務所の所長として、多数の企業や個人の法務顧問として活動。どんな相談に対しても「わからない」とは言わないことをスタンスに、日々クライアントのために奮闘中。
【東京桜橋法律事務所】
実際の痴漢被害は認知件数以上
痴漢の件数の推移はここ数年僅かながら減ってきてはいますが、ほぼ横ばいです。
平成26年中の「迷惑防止条例違反の痴漢事犯の検挙件数(電車内以外を含む)」は3439件。「電車内における強制わいせつの認知件数」は283件です。
これはあくまで認知の件数なので、実際の件数はもっと多いことが予想されます。
痴漢えん罪の実態とは
痴漢として女性から被害を叫ばれた場合、多くの場合は駅員室に誘導されますが、無実の場合は駅員室に行かない方が無難です。
駅員室に行ってしまった場合、そのまま現行犯として警察に連れていかれるケースが多いようです。
ここで無実を証明してくれる人が現れなければ、最大23日間の身柄拘束(留置場入り)となる場合があります。
通常の人は、いきなり23日も留置場で拘束されたら生活に支障をきたしてしまうので、弁護士にお願いして示談交渉を行うケースが多いです。
示談金は痴漢の内容にもよりますが、服の上からお尻を触っただけでも10万円~30万円が普通です。内容によっては100万円レベルになるようです。
痴漢に間違われたうえにお金まで取られるとは、踏んだり蹴ったりですね。
示談ということは、建前上、痴漢を認めたということになります。
えん罪なのに痴漢にされるのはとても悔しいことだと思いますが、23日も留置場で拘束される可能性を考えると、このような選択をする人が多いのは頷けます。
また、この示談金目当てで痴漢被害をでっちあげる「女子グループ」も存在していたといわれています。このような疑われた側が逃げ場のないシステムは、切実に見直してほしいですね。
痴漢に間違われたらどうすればいい?
万が一、痴漢に間違われた場合、「電車の中やホームでは人の邪魔になるから」と言われても、安易に駅員室に行ってはいけません。
駅員室への同行は、痴漢行為を認めたと捉えられる場合が多いからです。出来れば駅のホームで痴漢行為をしていないことを主張しましょう。
この際に、知っている弁護士がいればその場に呼ぶのも有効です。
また、可能であれば車内で自分が痴漢行為をしていないことを証明してくれる人を探して、無実の証明をしてもらうのがベストです。
とはいえ、突然痴漢に間違われた時に冷静に行動できるかというと難しいでしょう。まだまだ完全な解決策はないと言えます。
電車内で普段からできる心がけ
痴漢えん罪に巻き込まれないためには、両手を高い位置に上げるなどして誤解されないようにするのも大事です。
最近では痴漢防止のために車内監視カメラを設置する沿線も増えています。
痴漢対策と共に、痴漢のえん罪対策も進んでいくことを期待します。
痴漢えん罪の被害者がいるのは、実際に痴漢をする人がいるからです。
色々な人に迷惑が及ぶ「痴漢」という行為は絶対にしてはいけません。
著:ファイナンシャル フィールド 編集部
監修:東京桜橋法律事務所 豊田賢治 弁護士