新型コロナの影響で、資産価値が下がらないエリアに変化?

配信日: 2020.06.27

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新型コロナの影響で、資産価値が下がらないエリアに変化?
自宅を購入する際には、将来的に資産価値が下がらない物件が良いといわれます。今はそのつもりがなくても、事情が変わり、将来売却することになるかもしれないからです。
 
資産価値が下がらないということを考えると、「駅近」「交通至便」の物件が良いともいわれます。ところが、その常識が新型コロナウイルスの影響で変わるかもしれません。
村井英一

執筆者:村井英一(むらい えいいち)

国際公認投資アナリスト

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本証券アナリスト検定会員
大手証券会社で法人営業、個人営業、投資相談業務を担当。2004年にファイナンシャル・プランナーとして独立し、相談者の立場にたった顧客本位のコンサルタントを行う。特に、ライフプランニング、資産運用、住宅ローンなどを得意分野とする。近年は、ひきこもりや精神障害者家族の生活設計、高齢者介護の問題などに注力している。

「駅近」「交通至便」なら資産価値が下がらない

バブル崩壊以降、長きにわたって地価の下落が続いていましたが、ここ数年はようやく下げ止まり、エリアによっては上昇傾向も見られるようになりました。しかし依然として下落が続いている地域もあり、今後は人気のあるエリアかどうかで、地価の動向も違ってきそうです。
 
「将来の売却を考慮すると、資産価値が下がらない物件を購入したほうが良い」といわれるようになったのはこのためです。マイホームを購入する際に、すぐに売却のことは考えにくいと思いますが、将来に売却する必要が生じることは十分にあり得ます。
 
子どもを中心に住環境を考えると、子どもの人数分の部屋を確保でき、近隣に公園や学校がある郊外の家が好まれます。しかし、子どもが独立すると郊外の家よりも、駅近で交通至便な場所のほうが住みやすくなります。
 
また、子どものいないDINKS(ディンクス)夫婦にとっては、通勤に便利であることがもっとも重要な要素です。
 
そのような人が増えたためでしょうか、間取りが多少狭くても、都心に出やすく、駅から近いマンションが最近では人気です。
 
その結果、郊外型の一戸建てはかつてほど人気がなく、地価の下落に歯止めがかかりません。はじめから、資産価値が下がらない「駅近」「交通至便」の物件を購入したほうがメリットは大きい、という指摘が定着してきたように筆者は考えます。

「通勤」が必要ない時代のマイホーム選び

しかし、新型コロナウイルス感染の影響で、「新しい生活様式」が求められるようになり、不動産をめぐる常識にも変化が生じるかもしれません。緊急事態宣言が解除されても、在宅勤務の継続を進める企業が増えています。
 
本社勤務のほとんどをテレワークにする、と宣言している大手企業もあります。新型コロナウイルス感染の第2波、第3波に備えるばかりでなく、これを機に一挙に働き方の改革をしてしまおうという機運が高まっています。
 
すると、そもそも「通勤」が必要なくなります。まったく会社に行かなくて良い、とまではならなくても、通勤するのが週1、2回となれば、交通の便利さはそれほど重要な要素ではなくなります。逆に、自宅でのワーキングスペースを確保するために、部屋が多めに必要になります。
 
都心から離れた郊外に、十分な間取りが確保できる一戸建ての需要が増えるかもしれません。もちろん、テレワークができない業種、職種も多いのですが、都心のオフィスに毎日通勤する人は今後、減っていく可能性があります。
 
それでなくても高齢化の進展で、通勤を必要としない人は増えています。通勤しない人が増えて、「駅近」「交通至便」よりは、間取りや自然環境が重視されるようになり、それが地価の動向に影響を与えるかもしれません。

将来の予想よりも今の家族の希望を

もちろん、テレワークの推進はまだ始まったばかりで、この流れが定着するかどうかはわかりません。また、高齢者は歩く距離が少なくて済む駅近の物件を好む傾向もあります。
 
ただいえることは、働き方の変化や生活嗜好は環境によって変化するものであり、それによって人気エリアは予想外に変化する可能性があります。
 
将来の資産価値がどうなるかは、20年後、30年後になってみないと、本当のところはわかりません。「資産価値が下がらない」ということを気にして物件を選ぶよりは、ご家族にとってもっとも大切にしたいことをポイントに物件を選びたいものです。
 
執筆者:村井英一
国際公認投資アナリスト


 

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