農村は今、再生可能エネルギーの発電地帯だ

配信日: 2018.01.16 更新日: 2025.09.26
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農村は今、再生可能エネルギーの発電地帯だ
農林水産省は、農山漁村での再生可能エネルギーの積極活用を進めています。今まで捨てられていた第一次産業ならではの副産物を有効利用するバイオマス発電や、田畑にパネルを設置しての太陽光発電など、多彩な発電が行われています。その電力を地域内で使うだけでなく、売電して収入を得る事例が急速に増えています。

今、農山漁村は食べ物を産み出すだけでなく、再生可能な発電源として、私たちの暮らしに新たな恵みをもたらしています。

毛利菁子

農業・食育ライター

宮城県の穀倉地帯で生まれ育った。
北海道から九州までの米作・畑作・野菜・果樹農家を訪問して、営農情報誌などに多数執筆。市場や小売り、研究の現場にも足を運び、農業の今を取材。主婦として生協に関わり、生協ごとの農産物の基準や産地にも詳しい。大人の食育、大学生の食育に関する執筆も多数。

お荷物だった家畜の糞や剪定枝がバイオマス発電の燃料に

今、農山漁村の再生可能エネルギー発電に熱い視線が注がれており、農水省でも全国各地の様々な事例をHPなどで紹介しています。自分では作ることができない食とエネルギーを購入している消費者としても、興味深いところです。
 
農山漁村では常に、生産による副産物の処理という問題が発生します。米を収穫すれば必ず、籾殻やワラが出ます。果樹の生産なら剪定枝、畜産には家畜の糞尿がつきものです。近年、これまでお荷物だった副産物を使ったバイオマス発電が各地で行われています。
 
岩手県軽米町の十文字チキンカンパニーは、年間5000万羽の鶏の飼育から鶏肉加工販売まで行っている東北最大の農業法人です。1日400トンも発生する鶏糞を燃やして発生させた蒸気でタービンを回し、年間約4800万kwhを発電しています。標準的な家庭の年間使用量に換算すると、1万3300世帯分に相当します。残った灰は肥料原料として売却し、無駄のない資源循環を行っています。
 
果樹農家にも頭の痛い問題があります。毎年大量に発生する剪定枝や幹、根の処分です。千葉県市川市といえば、ナシの大産地です。現在は住宅密集地となり、かつてのように畑で焼くこともできず、一般廃棄物として農家がお金を払って処分していました。そこでJAいちかわは、管内で出る剪定枝などを木質バイオマス発電の燃料として市原グリーン電力株式会社(千葉県市原市)に持ち込んでいます。
 
化石燃料を使う火力発電は二酸化炭素排出量が多いのですが、バイオマス発電ならばカーボンニュートラル(燃やすときに二酸化炭素は発生するものの、木の生長過程で二酸化炭素を吸収しているので±0になる)です。農家にとっては経費削減になり、良いことづくめです。
 

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