最終更新日: 2021.02.03 公開日: 2021.02.04
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4月から社員の奨学金を企業が代理返還できるように。メリットとデメリットは?

執筆者 : 新美昌也

日本学生支援機構は12月22日、機構から奨学金を借りた社員(本人)に代わって勤務先企業が代理返還できる新制度を、4月1日から導入すると発表しました。近年、人材確保の観点から地方自治体や企業が奨学金の返還を支援するケースが増えています。
 
これまでは、企業の代理返還は認められておらず、社員の奨学金返還を支援するには給与へ上乗せし、社員が機構に返還する手法が一般的です。企業の代理返還によりどのようなメリットがあるのか解説します。
 
新美昌也

執筆者:

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

新美昌也

執筆者:

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

代理返還の仕組み

奨学金返還支援(代理返還)は機構の貸与奨学金(無利子の第一種奨学金・有利子の第二種奨学金)を受けている社員に対して、企業が返還額の一部または全部を支援(代理返還)するものです。
 
新制度では、登録した企業から支援金を機構に直接送金できます。送金は、機構が開発した「企業の返還支援(代理返還)システム=スカラKI」(仮称)を利用して行います。返還方法は会社が一括か毎月かを選択します。
 

社員のメリット

企業が社員の奨学金返還を支援するには、支援金を給与へ上乗せする手法が一般的です。この場合、当該支援金が奨学金の返還に充てられるかについて疑義があります。
 
そのため、厳密には支援金が「学資に充てられた」とみなせず、所得税非課税になるのは難しいと考えられています。本制度を利用することで、所得税が非課税となり得ます。
 

(参考)

国税庁ホームページ「奨学金の返済に充てるための給付は「学資に充てるため給付される金品」に該当するか」
 
【回答要旨】(ポイント抜粋)

・給付される金銭そのものがその奨学金の貸与者に支払われ、直接学資に充てられていないことから、その給付は原則として「学資に充てるため給付される金品」には該当しません。
 
・奨学金が学資に充てられており、かつ、その給付される金品がその奨学金の返済に充てられる限りにおいては、通常の給与に代えて給付されるなど給与課税を潜脱する目的で給付されるものを除き、これを非課税の学資金と取り扱っても、課税の適正性、公平性を損なうものではないと考えられます。

 

社員のデメリット

社員(返還支援対象者)が機構に対して所定の手続きを行うことなく、企業から機構への返還が遅延した場合は、社員本人に督促が行われます。滞納3カ月で、いわゆるブラックリストに載ってしまい、クレジットカードの利用やローンを組むのが難しくなります。
 
会社が払ってくれていると安心せずに、返還状況は毎月チェックするようにしてください。
 

企業のメリット

企業側のメリットとして、使用人の奨学金の返済に充てるための給付にあたるので、法人税上の給与として損金に算入できるため節税できる可能性があります。
 
なお、役員給与、使用人兼務役員について、役員部分の給与は一定のものを除き損金不算入となり、また、過大な使用人給与も損金不算入になり得ますので注意してください(法人税法34条、36条)。
 
企業は、希望すれば機構のホームページに社名および返還支援要件等の情報を掲載することができ、社会貢献活動のPRにもつながります。
 

企業のデメリット

割賦額の一部を支援する場合(例えば毎月1万円の月賦返還について毎月5000円を企業から機構に送金する)、または、返還支援の要件を設ける場合(例えば5年以上の勤務等を満たすまで返還を猶予する等)、機構における債権管理が複雑になる場合や現行制度の枠内での実施が困難な方策には対応できない場合があります。
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。
 

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