更新日: 2021.08.20 住宅ローン
住宅ローンを完済した後に必要となる費用とは?
ただし、住宅ローンを完済しても、その後にさまざまな費用が発生します。それはいったいどういう費用なのか、そしていつ、額はどのくらい発生するのかをきちんと把握しておく必要があります。
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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住宅ローンを完済した後に考えること
住宅ローンを完済した時の年齢にもよりますが、次に考えるべきことは子どもにかかる費用、そして自分たちの老後費用です。
特に子どもがまだ成人していない、もしくは進学を控えている時期であれば、現在そのための貯蓄がどのくらいあるのかをまず把握するようにしましょう。そして足りないのであれば、進学までにどのような方法で用意するのかを考える必要があります。
住宅ローン返済中でも、そのようなライフイベントに対する貯蓄は行っているかと思いますが、予想よりも費用がかかることが分かった場合などは、その差額をどのように補塡(ほてん)するのかを考えなければなりません。
あるいは、子どもが独立しているのであれば、自分たちの老後費用についてあらためて考えてみましょう。夫婦2人の老後の生活費がどのくらい不足するのか、そのためにはリタイアまでにどのくらい用意しておく必要があるのかを検討し、その方法についても夫婦でしっかりと話し合うことが大切です。
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住宅ローン完済後も発生する費用
住宅ローンを完済すると毎月の返済はなくなりますが、毎年発生する固定資産税はもちろんのこと、経年劣化による修繕費用についても考えておかなければなりません。
マンションであれば管理費に修繕積立金が含まれていることが多いですが、戸建ての場合は自分で修繕時期を考え、工事の手配なども行う必要があります。
屋根や外壁など大掛かりな修繕になるとまとまった費用が必要となることから、修繕計画は早めに立てておき、そのための費用を準備しておくようにしましょう。
団信の解約に伴う保険の見直し
住宅ローンを完済すると、団信も解約となります。団信の保障を重視していた場合は、生命保険や医療保険などの見直しが必要です。医療保障やガンに対する保障、認知症に対する保障など、自分や家族に必要な保障はなにかを考えなければなりません。
ただし、民間の保険は加入時の年齢が高いと保険料も高くなる傾向にあります。生命保険や医療保険などを団信だけに頼っていた場合は、このような民間保険への加入による保険料支払いが発生する可能性があることも覚えておきましょう。
住宅ローン平均完済時年齢は?
ここで、完済後のライフプランについて考えるうえで、参考までに住宅ローンの平均完済時年齢を見てみましょう。
国土交通省の資料によると、注文住宅や分譲戸建住宅、分譲マンションの平均購入年齢はそれぞれ39.1歳、36.8歳、39.4歳と30代後半となっています。
さらに、住宅金融支援機構の資料によると、平均完済年数は16年となっており、仮に38歳で住宅を購入した場合、完済時の年齢は54歳であることが分かります。
54歳といえばまだ定年まで時間がある可能性がある一方で、最近の晩婚化により平均初婚年数が夫31.0歳、妻は29.4歳となっていることからも、54歳という年齢はようやく第1子が大学を卒業したくらいの時期であることも考えられます。
(出典:国土交通省「令和元年度住宅市場動向調査報告書」(※1)、住宅金融支援機構「2020年度 住宅ローン貸出動向調査」(※2)、厚生労働省「令和2年(2020) 人口動態統計月報年計(概数)の概況」(※3))
また、54歳が平均完済年齢だとすると、現在の年金受給開始年齢である65歳まで11年間あります。さらに65歳以上も働き続けるのであれば、今後の年金受給繰下げ年齢である75歳までの期間は、約20年間あるということになります。
老後に向けた資産形成が重要
住宅ローン完済後は、老後に向けた資産形成を真剣に考え始める時期といえます。ローン返済中でも老後の備えについて考えて行動している人もいらっしゃると思いますが、完済後はより現実的に老後資金について検討することになります。
何歳まで働くのか、今後の固定資産税や修繕費用などの必要経費はどうするのか、子どもの結婚資金などを考えている場合はその費用をどう貯蓄するのか、などさまざまなイベントやそれにかかる費用を見据えながら、老後の資産形成を行っていく必要があります。
まとめ
住宅ローンを完済することによって、家計の収支に余裕が生まれることは事実です。ただし、重要なのはその“余裕資金”をどのように活用していくかということです。
もちろん、完済記念としてこれまで我慢していたものを購入する、もしくは旅行に行くなどの費用にあてるのも良いですが、完済後もさまざまな資金が発生する可能性があることを覚えておきましょう。
リタイアして労働収入がなくなれば、ローンにあてていた資金を“余裕資金”とすることが難しくなるかもしれません。
したがって、収入があるうちに、いつまでにどのくらいの資金を用意するという明確な目標を立て、それに向かって貯蓄もしくは運用を取り入れながら、目標額に近づけていく必要があるといえるでしょう。
出典
(※1)国土交通省「令和元年度住宅市場動向調査報告書」
(※2)住宅金融支援機構「2020年度 住宅ローン貸出動向調査」
(※3)厚生労働省「令和2年(2020) 人口動態統計月報年計(概数)の概況」
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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