更新日: 2022.07.19 ローン

【FP相談】奨学金の返済が残っている状態での結婚に不安を感じます

執筆者 : 新美昌也

【FP相談】奨学金の返済が残っている状態での結婚に不安を感じます
学生の2人に1人が何らかの奨学金を借りています。結婚したい相手が奨学金を抱えていることも珍しくありません。場合によっては、奨学金の返還が「結婚」をためらう原因になるかもしれません。
 
ライフプランと返済計画を2人で立てることで、結婚への不安を軽減しましょう。
 
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

奨学金の現状

日本学生支援機構の奨学金など、何らかの奨学金を借りている人は、大学(昼間部)で49.6%、短期大学(昼間部)で56.9%です。奨学金の中では、日本学生支援機構の奨学金が最も利用されており、学生の2.7人が奨学金を借りています。
 
この背景には学費の高騰の中、保護者の給与が増えない状況があり、大学等に進学するには奨学金を借りざるを得ない現実があります。労働者福祉中央協議会の調査によると、奨学金の借入総額は平均312.9万円、月の返還額の平均は1.7万円、返還期間は平均で14.1年におよびます。
 
社会人スタートから大きな借金を背負うというハンディを強いられます。奨学金返還の負担感については、正規労働者でも36.8%、非正規労働者では56.0%の人が負担に感じています。
 
奨学金返還の生活設計への影響については、「結婚」への影響がもっとも高く31.6%であり、借入額からみると、500万円以上の正規労働者、200万円以上の非正規労働者では5割に達しています。
 
このほか、「持ち家取得」27.1%、「仕事や就職先の選択」25.2%、「子育て」23.9%、「出産」21.0%となっており、奨学金の返還が生活設計に多岐にわたって影響していることが分かります。
 

結婚前にすべきこと

上記でみたとおり、学生の2人に1人は何らかの奨学金を借りていますので、結婚相手が奨学金を抱えているケースもあるでしょう。2人とも奨学金を抱えているかもしれません。
 
結婚の有無にかかわらず、社会人になったら家計管理をしっかり行い、ライフプランや返済計画を立て実行することが大切です。結婚を望んでいるのなら必須といえます。また、結婚するまでにボーナスを利用して繰り上げ返済を活用し、奨学金の残高を減らしておくことも大切です。
 
特に女性は出産、育児等で働けないケースもあるので、繰り上げ返済を積極的に行うようにしましょう。働けなくなったら夫に返済してもらうという考えがあれば、捨てることをお勧めします。
 
自分の奨学金は自分で返済するというのが原則です。相手の収入を当てにしてはいけません。なお、複数の奨学金を借りている場合の返済は、利子の高いものから返していきましょう。
 
非正規の方で日本学生支援機構の奨学金を返還している場合、給与収入年間300万円以下であれば「返還期限猶予」、給与収入年間325万円以下であれば「減額返還」を利用できますので、その間に自己投資をしてキャリアアップを図り、収入を増やすことも検討しましょう。収入が増えれば返済も楽になるかもしれません。
 

奨学金があることが不安で結婚をためらっている

奨学金があることが不安で結婚をためらっているのであれば、その気持ちを相手に素直に伝えことが大切です。奨学金があることを隠して結婚し、結婚後、奨学金のあることが分かるとトラブルの原因になります。
 
奨学金の返済計画やライフプランを2人で考えましょう。返済計画やライフプランを立てるには、お互いの収入、奨学金以外も含め、借金残高を明らかにし、情報共有することが大切です。仮に、こういった情報の共有を拒む・隠す相手の場合、結婚後に家計管理において苦労する可能性があります。
 

奨学金を抱える相手との結婚を親が反対している

結婚は個人の問題ですが、家との関係も無視できません。自分に奨学金の返済があり、そんな自分との結婚を相手の親が反対している場合、奨学金の返済計画を立て、相手の親の理解を得られるように努力することは必要だと筆者は考えます。
 
相手の親の中には、「自分は親として懸命には働き、学費を全部出したのに、相手の親は何だ」と考える人もいるかもしれません。
 
しかし、このような考えを持つ親も、最終的には子どもの幸せを考えているので、奨学金を抱えている人は、2人で考えたライフプランや返済計画を示し、反対している親の子ども(相手)にはお金の苦労をさせないなど、誠意をもって理解してもらう努力をすることが大切です。
 

出典

日本学生支援機構 令和2年度 学生生活調査結果
奨学金の受給率 大学49.6% 短大56.9%

日本学生支援機構 奨学金事業への理解を深めていただくために
日本学生支援機構の奨学金の利用者は学生の2.7人に1人

労働者福祉中央協議会 変えよう!奨学金 アンケートから見えてきた奨学金問題
4割が「苦しい」、非正規は56%…結婚や出産にも影響

日本学生支援機構 ホームページ
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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