更新日: 2022.08.30 教育ローン

奨学金の返済と家計管理……年収200万円・社会人3年目Aさんのケース

執筆者 : 林智慮

奨学金の返済と家計管理……年収200万円・社会人3年目Aさんのケース
Aさんは社会人3年目、会社員で年収は約200万円です。奨学金の返済が月に3万円ほどですが、200万円の年収に対してその負担額は大きいものです。家賃や光熱費、食費、交際費などを差し引くと、毎月ギリギリの生活をしています。
 
貯金ができず、万が一の事態(収入減、病気やけがで働けなくなるなど)に対処できる余力がなく、将来に不安を感じています。
 
余裕を持たせるには、収入を増やすか支出を減らすことが必要ですが、要件を満たせば月々の奨学金返済額を減らす方法があります。
林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

減額返還制度

独立行政法人日本学生支援機構では経済的困難により返還が難しい場合、月の返還額を2分の1または3分の1に減額して返還ができる制度として「減額返還制度」があります。減額期間は一度の願出で12ヶ月までですが、期間終了後に改めて願い出ることができます。通算で最長180ヶ月が限度です。
 
返済予定額が減額されるわけではありませんので、返還額が減る分、返済期間が延びます。しかし、返済期間が延びても第二種奨学金の利息の総支払額に変更はありませんし、機関保証の保証料も追加されません。
 
経済的事由とされる目安は、所得証明書の年間収入325万円以下(給与所得以外の場合は、年間所得金額225万円以下)です。被扶養者がいる場合は、1人につき38万円を収入・所得から控除できます。
 
他に、願出や審査の時点で滞納していないこと、口座振替(リレー口座)加入者であることや、月賦返済であること等が利用するための条件です。ただし、滞納している場合でも、滞納を解消すれば願出が可能になります。
 
もし、減額中に2回続けて振替ができなくなったら、滞納が発生したときにさかのぼり減額返還の取り消しとなり、減額前の返還月額が延滞されたとして計算された延滞額も返還しなければなりません。減額しても困難になった場合、返還を待ってもらう返還猶予制度を利用しましょう。
 

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返還期限猶予制度

同じく日本学生支援機構では、他に返済が困難な場合に利用できる制度として、一定期間返還期限を先延ばしする「返還期限猶予制度」があります。減額返還制度で返還しても困難な場合、滞納する前に返還期限猶予制度を願い出ましょう。
 
猶予された期間は返還の必要がなく、期間終了後から返還が再開されます。滞納している場合であっても、病気やけがで働けない、生活保護を受けているような場合は、滞納期間が猶予の事由となる期間においても、返還猶予の適用とされます。
 
一般猶予は通算10年までです(もし、第一種奨学金の所得連動返還方式を選んだ場合には、願い出ることによって、一定金額の収入になるまで返還を待ってもらうことができます)。ただし、承認されない場合は、返還を続ける必要があります。
 
あくまでも猶予であり、免除されるわけではありません。返還する金額は変わらないため、猶予された分の返済期間が延びます。しかし、減額返還制度同様、返済期間が延びても利息を含め当初の返還予定額に変わりはありません。
 
経済的事由とされる目安は、年間給与収入(税込み)300万円以下(給与所得以外の場合は、年間所得金額200万円以下)です。被扶養者がいる場合は、1人につき38万円を収入・所得から控除できます。もし、基準の収入をオーバーしていても、被扶養者がいる場合は控除後の年収(所得)が審査の対象となります。
 

企業や地方自治体の返還支援

以上の制度は一時的には返還に余裕ができるものの、決められた返還額を返す必要があります。
 
地方公共団体と地元産業界が協力し、地方公共団体が指定する地域の企業へ就職すると、地方公共団体が奨学金の全部または一部を支援するというという取り組みがあります。この場合は、支援される分が総返済額から減らせます。
 
利用できる要件や手続きは、各地方公共団体により異なります。それぞれの地方公共団体にお問い合わせください。
 
企業が奨学金返還支援制度を設けている場合もあります。会社に問い合わせてみましょう。
 

生活を守りながら返還する

失業給付や傷病手当金など、万が一の場合に給付される制度はありますが、その金額は給与を大きく下回ります。手持ちのお金があれば安心できます。いざという時の生活防衛に、少なくとも月の収入の3ヶ月分は現預金で持っておきたいものです。
 
まず、地方公共団体や企業の返還支援を利用できないか、問い合わせましょう。次に、減額返還制度を利用して、手持ちのお金に少しずつ余裕を持たせましょう。
 
返還猶予制度は、どうしても返還が困難になった場合に利用しましょう。奨学金は借入金です。将来のライフイベントに影響が出ないよう、返還はなるべく早めにしておきましょう。
 

出典

日本学生支援機構 ホームページ

日本学生支援機構 奨学金
日本学生支援機構 返還が難しくなった場合
日本学生支援機構 企業の奨学金返還支援(代理返還)制度
日本学生支援機構 地方公共団体の返還支援及び奨学生推薦制度
 
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者

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