更新日: 2022.11.15 住宅ローン

年収400万のおひとりさま「3000万の住宅ローン」は可能?「月10万円」の返済は家計を圧迫する?

年収400万のおひとりさま「3000万の住宅ローン」は可能?「月10万円」の返済は家計を圧迫する?
住宅購入には多額の資金が必要です。将来の生活設計や日頃のローン返済を考えれば、自分の年収にふさわしい金額の住宅購入を検討したいところ。
 
では、年収400万円の一人世帯で、3000万円の住宅ローンは現実的だといえるのでしょうか。年収400万円で3000万円の住宅ローンが組めるかどうかも含めて、詳しく検証してみましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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住宅ローン審査で金融機関が重視する項目

国土交通省「令和2年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」では、金融機関が住宅ローンの事前審査で重視している項目が公表されています。それによれば、全体の99.1%の金融機関が「完済時年齢」を重視していることがわかります。次いで、「健康状態(98.2%)」「担保評価(98.2%)」「借入時年齢(97.8%)」と続き、「年収(95.7%)」は全体で5番目に重視されている項目です。
 
また、多くの金融機関では、ローン審査時に「返済負担率」という数値を用います。返済負担率とは、年収の何%がローン返済に充てられるのかという割合です。例えば、年収400万円の人が年間のローン返済額を120万円に設定したとすれば、返済負担率は30%となります。金融機関によって差はありますが、基本的には返済負担率を30%前後に設定できるかどうかが、ローン審査に通る基準といわれています。
 

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年収400万円の人は3000万円の住宅ローンを組めるのか

「完済時年齢」や「健康状態」などにもよりますが、結論からいえば、年収400万円の人が3000万円の住宅ローンを組むこと自体は可能です。年収400万円の借入限度額は、金融機関が定める返済負担率の基準値から概算することができます。返済負担率の基準率は金融機関によって異なるため、ここでは住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して融資を行う「フラット35」の基準値を参照します。
 
それによれば、年収400万円以上700万円未満の返済負担率は35%が基準値です。つまり、年収400万円の場合、返済負担率が35%に収まる範囲内であれば借入が可能ということです。年収400万で返済負担率を35%と設定すると、年間140万円が返済金額の上限となります。ローンを35年で組むと想定した場合、金利も含めると借入金額の上限はおおよそ4144万円です。したがって、年収400万円の人は、理論上3000万円の住宅ローンを組めることになります。
 

年収400万円で3000万円のローンを組むことは現実的か

年収400万円というのは、基本的に額面年収を指すものです。そのため、実際の手取り金額は額面より少なくなります。勤める会社によっても異なりますが、手取り収入の目安は額面年収の8割程度です。年収400万円の場合、手取り年収は320万円前後が基準となります。月額に換算すると、約26万円の手取り月収です。
 
この手取り収入から住宅ローンを捻出することになりますが、返済負担率を30%に設定した場合、年収400万円の月々のローン返済額は10万円となります。つまり、手取り収入約26万円のうち、毎月10万円という金額が住宅ローン返済費用として消費される計算です。政府統計の「家計調査」によれば、単身世帯が月に支払う消費支出の総額は2021年のデータで15万5046円です。
 
このうち、住居費は持ち家の人もいるため2万2116円に過ぎません。消費支出の総額から住居費を差し引くと13万2930円、ここに毎月10万円の住宅ローン返済額を上乗せしてみましょう。すると、23万2930円になります。つまり、毎月10万円のローン返済では、家計を相当に圧迫してしまうことがわかります。
 

無理のない範囲で返済できる道を模索しよう


 
年収400万円でも3000万円のローンを組むことはできますが、実際にその条件でローンを組むとなると、相当に厳しい家計のやり繰りを強いられることになります。
 
単身世帯は子育て世帯などに比べれば月の消費支出は抑えられますが、それでも急な出費もあることを考えれば、ある程度は生活に余裕のある範囲でローン返済額を設定したいところです。年収400万円で住宅ローンを組む際は、無理のない返済額がいくらになるのか確認し、現実的なプランを設計してから慎重に話を進めたほうが良いでしょう。
 

出典

国土交通省 令和2年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書

総務省統計局 家計調査 家計収支編 単身世帯(2021年)

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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