更新日: 2022.12.08 住宅ローン
夫婦で「ペアローン」を組んだ場合のメリットとデメリット
ここでは、ペアローンの中でも夫婦2人でローンを組む場合について、メリットやデメリットを解説します。
執筆者:北川真大(きたがわ まさひろ)
2級ファイナンシャルプランニング技能士・証券外務員一種
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ペアローンのメリット
ペアローンのメリットは2つあります。
住宅ローン控除が2人分受けられる
住宅の床面積や所得、新築、中古、増改築などさまざまな条件がありますが、住宅ローン控除が受けられる物件なら控除は2人に適用されます。
住宅の新築や新築建売住宅、マンションを購入した場合は、住み始めた時期に応じて控除期間や控除金額が定められています。
・2023年12月31日まで:3000万円までの年末ローン残高×0.7%、13年間
・2025年12月31日まで:2000万円までの年末ローン残高×0.7%、10年間
夫婦が同じくらいの収入であれば、住宅ローン控除による節税効果は約2倍になるので、金銭的なメリットは大きいです。
通常の住宅ローンより借りやすくなる
2人分の収入でローンが組めるので、1人の収入から組む住宅ローンより大きな金額を借りられます。通常の住宅ローンでは審査に通らなかった場合でも、ペアローンなら通る可能性があります。
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ペアローンのデメリット
ペアローンのデメリットは3つあります。
事務手数料や諸経費が2人分かかる
ペアローンは、手続き上は通常の住宅ローンを2つ組むのとほぼ同様です。ローン契約に伴う事務手数料や諸経費が2人分発生するため、最初に支払う手数料が増えます。
また、2人とも住宅ローンを組むだけの安定収入がなければ、ペアローンを組むことはできません。
収入減に対するリスクが大きくなりやすい
ペアローンは、収入減に対するリスクが大きくなりやすいです。夫婦でペアローンを利用する場合、休職や子育てなどによって収入が減る可能性があります。
ローンを組んだ金額によって個人差はありますが、夫婦ともにギリギリの金額までローンを組んでいたとすれば、どちらか一方の収入が減少すると生活が苦しくなります。
通常の住宅ローンなら、夫の収入が減少しても妻が働くなどの対策が立てやすいです。
万が一離婚した場合にどうするかが問題になる
ペアローンの大きなデメリットは、万が一離婚した場合に「住宅の共有」が問題になることです。住宅を売却しようとしても、2人の同意がなければ売却できません。自分の持分だけを売却することはできますが、住宅を売却するのと比べて売却価格は下がります。
また、住宅の売却価格がローンの残債を下回っている状態(オーバーローン)では、仮に売却できても借金が残ります。ペアローンをどちらかの名義に一本化して単独所有にしようとしても、元々2人分の収入があったからローンが組めたのですから、銀行は応じない可能性が高いでしょう。
できる限りペアローン以外の選択肢を考えよう
ペアローンは税制上のメリットは大きいものの、離婚や収入減少といったトラブルに対応しづらいです。
厚生労働省の資料によれば、2021年の婚姻件数が50万1116組、離婚件数が18万4386組となっており、離婚は決して珍しい話ではありません。新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって収入が激減した企業もあります。
理想のマイホームを建てたい、買いたい気持ちは分かりますが、現状の収入や夫婦関係が変わらないことを前提にペアローンを組むのはリスクが高いです。2人分の収入で住宅ローンを組みたい場合は、一方が連帯保証人となり住宅の名義はもう一方とする収入合算という方法もあります。
少なくとも、夫婦で頑張って働いてギリギリ返せる金額のペアローンを組むのは、できる限り避けた方がよいでしょう。「審査に通ったから借りる」ではなく、収入が減少しても返せるくらいの余裕を持ったローンを組むことが大切です。
出典
国税庁 住宅ローン控除を受ける方へ
厚生労働省 令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況
執筆者:北川真大
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