更新日: 2022.12.13 教育ローン

借りた奨学金を会社が代わりに返還してくれる制度「奨学金返還支援制度」ご存じですか?

執筆者 : 田久保誠

借りた奨学金を会社が代わりに返還してくれる制度「奨学金返還支援制度」ご存じですか?
奨学金は借りた本人が返すもの。それが基本ルールです。しかし、それを今働いている会社が代わりに返還してくれる制度「企業の奨学金返還支援(代理返還)制度」をご存じですか?
 
これは2021年4月から導入された制度で、もちろん借りた本人にメリットがありますが、その制度を利用する企業側にもメリットがあります。
 
今回は、この企業の奨学金返還支援(代理返還)制度について見ていきます
田久保誠

執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)

田久保誠行政書士事務所代表

CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員

行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。

奨学金返還支援(代理返還)制度とは

奨学金返還支援(代理返還)制度とは、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の貸与奨学金(第一種奨学金・第二種奨学金)を受けていた従業員に対し、企業が返還金額の一部または全額を代理で返還する制度です。
 
これまでは、企業が奨学金を借りた社員に代わり奨学金を返還することはできず、奨学金を返還している社員を支援するために、奨学金分を給与等に上乗せして、それを社員がJASSOに返還する方法しかありませんでした。それが2021年4月からは本人に代わって企業が直接JASSOに返還することができるようなりました。
 
図にすると図表1・2のようになります。
 
【図表1】
 


 
 
【図表2】
 

 
(筆者作成)      
 

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どのようなメリットがあるの?

従業員にとっては、奨学金を直接払ってもらえるというメリットは当然ですが、これまで給与等に上乗せされていた場合にはその上乗せ分についても所得税や住民税の課税対象となっていました。よって、厚生年金や健康保険料もその分高くなっていました。
 
しかし、企業が直接JASSOに送金することで自身の通常の給与と返還額が区分され、かつ奨学金の返還であることが明確となるため、その返還額にかかる所得税は非課税となり得ます。
 
企業にとってのメリットは、代理返還は使用人の奨学金返済に充てるための給付にあたるので、給与として損金算入されます。また、「賃上げ促進税制」の対象となる給与等の支給額にも該当することから、一定の要件を満たす場合には、法人税の税額控除の適用を受けることができます。
 
ただし、役員給与、使用人兼務役員の場合の役員部分の給与は、一定のものを除き損金不算入となり、過大な使用人給与も損金不算入になります。社会保険料についても、奨学金返還支援(代理返還)による返還金は、原則として標準報酬月額の算定のもととなる報酬に含めません。
 
また、企業にとっては上記のような経済的メリットのみならず、新卒の学生に対する福利厚生のPR要素となり、よりよい人材を確保することにつながることもあります。
 
また、双方とJASSOの3者にとってのメリットもあります。従来の制度は、上記のように返還予定の奨学金を一度従業員に給与として渡す仕組みだったので、本当に返還しているか、企業としてはわからない部分がありましたが、新制度によって、企業からJASSOに確実に返還できる仕組みとなっています。
 

注意する点は

もし、従業員が返済猶予期間中であれば、企業は返還支援ができません。また、支援対象は直接雇用されている正社員のみでアルバイト等は利用できません。
 
企業側は、奨学金返還支援(代理返還)制度についての会社の規程(就業規則等)を作成するようにしましょう。その際には、勤続年数等の制度の対象従業員や支援金額をいくらにするのか(上限があるのか、全額なのか、一部なのか)等を規定するようにしましょう。
 
従業員側は、万が一企業がJASSOへの返還が遅延(滞納)した場合は、通常どおり返還支援対象者本人(従業員)に対して督促が来ますので注意しましょう。それが長期になるようでしたら、いわゆる「ブラックリスト」に載ることになりますので、企業が返済しているかどうかを確認するようにしましょう。
 

Win-winの関係になるように

この制度は、従業員の経済的負担だけでなく、企業側にもさまざまなメリットがあります。進学したいが奨学金を返すことが大変だと考えている方にとっても、将来のチャンスが広がる制度だと思います。
 

出典

日本学生支援機構 ホームページ
 
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表

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