更新日: 2022.12.16 その他ローン
「車のローン」を残して使用者が死亡。残りのローンはどうなるの?
結論から言うと、廃車になってもローンは当然返済しなければいけませんし、もし使用者が亡くなった場合は、遺族が残債を返済するのが原則です。
この記事では、車のローンが残っている状態で債務者が他界してしまうケースでの対策について解説します。
執筆者:遠藤功二(えんどう こうじ)
1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)CFP(R) MBA(経営学修士)
三菱UFJモルガン・スタンレー証券とオーストラリア・ニュージーランド銀行の勤務経験を生かし、お金の教室「FP君」を運営。
「お金のルールは学校では学べない」ということを危惧し、家庭で学べる金融教育サービスを展開。お金が理由で不幸になる人をなくすことを目指している。
相続放棄をする
債務のある人が他界した場合、資産を相続する人が債務も相続します。特に遺言などがない場合は、法定相続人が相続しますが、故人(被相続人)に金融資産やその他の財産がなく、相続する資産が車のローンだけであれば、相続放棄をするのが得策だといえます。
ただし、相続放棄では不動産や金融資産などの債務以外の財産も放棄することになるため、慌てて自宅などまで放棄してしまわないように注意が必要です。なお、自宅などを相続するために車のローンも相続する、という選択肢はあり得ます。
ちなみに相続放棄を申請できる期限は、相続の発生を知った日から3ヶ月以内です。この期限を過ぎると原則は相続放棄ができませんので、債務以外の資産がどのくらいあるか迅速に把握する必要があります。
以下では、万が一の際に遺族の債務負担を軽減するための方法を解説します。
団体信用生命保険(団信)をかけておく
団体信用生命保険(以下「団信」)とは、債務者が亡くなったときに残債と同額分の保険金が支払われる生命保険で、残債分の保険に過不足なく加入できます。
住宅ローンを借りる場合に団信に加入することは一般的ですが、車のローンでは団信の存在を見落としている人も少なくありません。車のローンの契約時には、団信に合わせて加入ができるか金融機関に確認しましょう。
生命保険に加入する
既に車のローンを借りている人で、団信に加入していないという場合は別途、生命保険に加入する手段があります。
一般的に若い人ほど死亡の確率が低いため、安価な保険料でも数百万円分の死亡保険をかけることができます。また、残債が減っていく過程で保険金を下げていけば、保険料を抑えることも可能です。
車のローンの返済期間に限定して死亡保険に入っておけば、もしものときに遺族に車のローンの返済資金を残すことができます。
借り換えを検討する
現在の車のローンの金利が高く、かつ団信が付いていないなら、借り換えを検討するのも一案です。車の販売店で案内を受けたローンよりも低金利のローンが見つかることもありますし、借り換えと同時に団信を付けることができればさらに安心です。
車両保険に加入する
自動車には一定の資産価値があるため、債務が残っている場合でも、遺族が相続した車を売却して返済に充当するという方法もあります。
この方法は車の資産価値が残っており、残債が減少している際には有効ですが、例えば交通事故で債務者が他界した場合は、車自体が廃車になっているケースがあります。
そのようなときのために車両保険に入っておけば、修理費用、もしくは買替費用分の保険金が受け取れるため、車を売却して資金化できる可能性があります。
ただし、修理をした場合は事故車として値が付かないこともあります。また、全損(修理不可能な状態)で買替用の保険金が支払われた場合に、車の買い替えを行わずにローンの返済資金に利用できるか否かは、保険会社に確認をしておきましょう。
繰り上げ返済、または資産形成をしておく
車のローンの繰り上げ返済を進めることで残債を減らしておけば、いざというときに遺族に残る債務を抑えられることは言うまでもありません。
ただし、「繰り上げ返済をすると手元資金がなくなるので不安」という人は、貯蓄などで資産形成をしておきましょう。ローンの残債以上の財産を残すことができれば、遺族は車のローンの支払いに追われずに済みます。
まとめ
自動車は高額商品のため、ローンを組んで買う人は少なくありません。しかし、万が一のときには遺族に債務が残ってしまう場合があることも忘れてはいけません。車のローンがある方は、遺族となる方が困らないようにするための対策を取っておく必要があります。
執筆者:遠藤功二
1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)CFP(R) MBA(経営学修士)