更新日: 2023.02.17 教育ローン

「国の教育ローン」って何? 民間の教育ローンとの違いは?

執筆者 : 新美昌也

「国の教育ローン」って何? 民間の教育ローンとの違いは?
大学に合格すると入学手続き時納付金として、おおむね1~2週間以内に100万円など、まとまったお金を納付する必要があります。入学手続き時納付金が不足している場合には、奨学金は利用できないので、教育ローンを活用します。
 
教育ローンには銀行など民間金融機関のものと国の金融機関である日本政策金融公庫のものがあります。
 
この記事では、メリットが多い「国の教育ローン」についてポイントを解説します。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

「国の教育ローン」とは

「国の教育ローン」は、「家庭の経済的負担の軽減」「教育の機会均等」を目的として、低・中所得者向けに国内外の高校、大学、大学院、専修・各種学校などへの受験費用や入学時・在学中にかかる費用を対象とした公的な融資制度です。
 
40年以上の実績があり、日本政策金融公庫および沖縄振興開発金融公庫が扱っています。融資条件に世帯年収(所得)の上限があること、長期固定金利、ひとり親などには優遇制度があることが特長です。奨学金との併用もできます。
 
また、県や市などが「国の教育ローン」の利用者に対して、その利子(保証料)の一部または全部に相当する金額を給付する制度を設けている場合がありますので調べてみましょう。
 

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世帯年収の上限

融資を受けられる条件として、「世帯年収(所得)が一定の上限を超えないこと」というものがあります。銀行などの教育ローンにはない融資条件です。
 
世帯年収(所得)の上限は、扶養する子どもの人数に応じて決められています。例えば、扶養する子どもの人数が1人の場合、世帯年収(所得)の上限は、給与所得者は790万円、事業所得の方は600万円となっています。ただし、扶養する子どもの人数が2人までは、勤続(営業)年数が3年未満など一定の場合には、要件が緩和され世帯年収(所得)の上限が、子どもの扶養人数3人と同じ990(790)万円となります。
 
なお、年収(所得)について、年収は源泉徴収票の「支払金額」欄、所得は確定申告書の「所得金額合計」欄で確認できます。
 

融資額

融資額の上限は、子ども1人あたり350万円です。修業年限が5年以上の大学(昼間部)、自宅外通学、大学院、海外留学(修業年限3ヶ月以上の外国教育施設に留学)する場合は450万円です。
 
ただし、今後1年間に必要となる費用が融資の対象です。融資限度額内であれば、複数回に分けて借りることができます。
 

金利

民間の教育ローンは変動金利が主流ですが、国の教育ローンは固定金利のみです。固定金利のため、借入時の金利が完済まで変わりませんので、計画的に返済できます。
 
また、民間の教育ローンの金利には保証料が含まれていますが、国の教育ローンの金利には保証料が含まれていません。国の教育ローンの金利は原則5月と11月に改訂されます。2023年2月時点の金利は年1.95%(保証料別)です。
 
なお、沖縄振興開発金融公庫では、沖縄県内の離島に住所を有する方を対象に、居住島以外の地域の大学等に入学、在学するために必要となる資金に限り、200万円を限度として、金利を0.9%低減する特例があります。
 

返済期間

18年以内と長期なので、毎月の返済額の軽減が可能で。民間の教育ローンは10年以内が多いです。
 

使いみち

学校納付金(入学金、授業料など)、受験費用(受験料、交通費、宿泊費など)、教科書代、パソコン購入費、通学費用、在学のための住居費用(敷金、家賃など)、留学費用など幅広い教育資金に利用できます。また、学生の国民年金保険料にも対応しています。
 

返済方法

毎月元利均等返済(ボーナス時増額返済も可能)です。なお、子どもが在学中、利息のみ返済が可能な「元金据置」返済も選択できますのでゆとりを持った返済が可能です。
 
例えば、借入金額が100万円、返済期間が18年間、金利1.95%の場合、毎月元利均等返済(ボーナス時増額返済なし)では、毎月の返済額は5600円(総返済額118万5600円)となります。「元金据置(4年間)」返済では、毎月の返済額は、在学中(4年間)は1700円、14年間は6900円(総返済額122万1500円)です。
 
「国の教育ローン」のホームページ上で返済シミュレーションができますので、活用しましょう。
 

保証

民間の教育ローンの金利には保証料が含まれているため、原則、連帯保証人は不要です。一方、「国の教育ローン」には連帯保証人が必要です。連帯保証人は、申込者と別居・別生計の方で、進学者と在学者の親族(4親等以内/進学者・在学者の配偶者を除く)を立てます。
 
ただし、連帯保証人に代え(公財)教育資金融資保証基金の連帯保証も可能です。この場合、保証料が必要です。保証料は借入金から一括して差し引かれます。
なお、借入残高の全額を最終返済期限前に一括して返済(繰上返済)した場合、返済の経過期間によって、保証料の一部が返還される場合があります。


 

優遇制度

一定の家庭状況にある方には、金利と保証料に優遇制度があります。母子・父子家庭、交通遺児家庭、世帯年収200万円(所得132万円)以内の方、または子ども3人以上の世帯かつ世帯年収500万円(所得356万円)以内の方の金利は、年1.95%が年1.55%です(2023年2月現在)。
 
また、上記の世帯年収200万円(所得132万円)以内の方を除き、保証料が通常の2分の1になります。
 

申し込み

「国の教育ローン」の申し込みは、1年中いつでも申し込みができます。日本政策金融公庫 国民生活事業の各支店のほか、銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、農協、漁協でも申し込みができます。来店のほか、郵送やホームページからも申し込みできます。必要時期の2~3ヶ月前に申し込みできますので、借りる可能性があれば早めに申し込みましょう。
 
入学手続き時納付金は、合格発表後1~2週間以内に納付するのが一般的です。「国の教育ローン」は申し込みから融資実行まで20日程度ですので、合格発表後に申し込むのでは間に合いません。融資が決定している場合でも、事情により資金が不要になった際には、キャンセルできますので、早めに申し込むとよいでしょう。
 
申込時、預金通帳や領収書など、住宅ローン(または家賃)と公共料金の両方の支払い状況がわかるもの(最近6ヶ月分以上)が必要です。この期間、延滞のないよう注意しましょう。
 

日本学生支援機構の奨学金との違い

主な違いを見てみましょう。日本学生支援機構の奨学金の利用者は学生であるのに対し、「国の教育ローン」は保護者です。奨学金は申込時期が決まっているのに対して、「国の教育ローン」は1年中いつでも申し込みができます。奨学金は入学後毎月一定額が振り込まれるのに対して、「国の教育ローン」はまとまったお金が振り込まれます。
 
国の教育ローンはさまざまなメリットがありますが、あくまで「ローン」ですので、返済計画をしっかり立てておきましょう。検討中の方は、その仕組みを理解したうえで申し込むとよいでしょう。
 

出典

日本政策金融公庫 教育一般貸付(国の教育ローン)
公益財団法人 教育資金融資保証基金 ホームページ
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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