更新日: 2023.05.23 教育ローン

令和6年度から国の奨学金制度はどう変わる?

執筆者 : 新美昌也

令和6年度から国の奨学金制度はどう変わる?
文部科学省では、教育未来創造会議第一次提言(令和4年5月)・骨太の方針2022(令和4年6月)を受け、令和6年度より「高等教育の修学支援新制度」「大学院(修士段階)の授業料後払い制度の創設」「貸与型奨学金における減額返還制度」について奨学金制度の改正等が行われる予定です。それぞれのポイントを解説します。
 
なお、これらの事項は、執筆時点(2023年5月時点)では、国において検討中ですので変更の可能性があります。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

高等教育の修学支援新制度(給付奨学金・授業料等減免)

高等教育の修学支援新制度(給付奨学金・授業料等減免)について、子育て支援の観点から、多子世帯の中間層に支援対象が拡大されます。
 
現行制度の給付奨学金を受給するには本人と生計維持者(原則、父母)が「家計基準(収入基準・資産基準)」、本人が「学力基準」を満たすことが必要です。
 
「学力基準」について、原則「高校の成績が5段階評価で3.5以上」ですが、「進学先で学ぶ意欲を有すること」が面談やレポートで確認され推薦を受けることができる場合も「学力基準」を満たします。給付奨学金の対象者は、同時に、大学等の入学金・授業料の減免の対象者となります。
 
現行制度では、本人(18歳)、父(給与所得者)、母(無収入)、中学生の4人家族の収入基準について、おおよそ年収380万円未満の世帯が対象ですが、改正により、新たに世帯年収600万円程度まで支援対象が拡大されます。
 
改正により、新たな支援区分(約380万~約600万円)の家庭では、多子世帯(扶養する子の数が3人以上である世帯)および理工農系分野に進む学生が対象となります。支給額は、多子世帯では全額支援の4分の1の金額、理工農系分野では文系との授業料差額となる予定です。
 

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大学院(修士段階)の授業料後払い制度の創設

大学院(修士段階)の授業料について、在学中の授業料を国が立て替え、返還は卒業後の所得に応じた「後払い」とする仕組みが創設されます。「後払い」できる授業料上限は、国公立については、国立授業料の標準額(約54万円)、私立については、私立の授業料の平均的な水準までとなる予定です。
 
卒業後の納付については、本人年収300万円程度から所得に応じた納付が始まる予定です。この年収を上回る場合、課税対象所得の9%を納付します。
 
ただし、扶養する子について、独自の扶養控除が創設される予定です。たとえば子どもが2人いれば、年収400万円程度までは所得に応じた納付は始まらないなど、特に、子育て期の納付が過大とならないよう配慮されています。
 
令和6年秋入学者および修学支援新制度の対象者であって、令和6年度に修士段階へ進学する学生を対象として開始予定です。
 

貸与型奨学金における減額返還制度の改正

奨学金の返還が困難になった場合、救済措置として「減額返還制度」と「返還期限猶予制度」があります。このうち、定額返還における月々の返還額を減らす制度(減額返還制度)について、結婚、子育て等のライフイベントにも対応できるよう要件等が柔軟化されます。
 
現行制度の減額返還制度は、災害、傷病、その他経済的理由により奨学金の返還が困難な方で、本人(給与所得者の場合)の年収325万円以下が対象です。
 
1回の願出につき適用期間は12ヶ月で最長15年(180ヶ月)まで延長可能です。返還割合は2分の1または 3分の1です。返還期間は、返還金額2分の1は2倍に、返還金額3分の1は3倍になります。利息を含む返還総額は変わりません。
 
改正により、減額返還制度の収入基準は、現行制度の本人年収325万円以下から400万円以下になる予定です。
 
また、現行制度の返還割合の選択肢である2分の1または3分の1から、 3分の2、2分の1、3分の1、4分の1の4種類になる予定です。
 

出典

文部科学省 奨学金事業の充実

 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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