更新日: 2023.08.17 その他ローン

銀行や消費者金融よりお得? 「生活福祉資金貸付制度」をご存じですか?

銀行や消費者金融よりお得? 「生活福祉資金貸付制度」をご存じですか?
低所得世帯、障害者世帯、高齢者世帯は生活費が足りずお金を借りざるを得ないとき、社会福祉協議会の「生活福祉資金貸付制度」を利用することをおすすめします。
 
さまざまな用途に利用できる資金が用意されており、低利または無利子で借入ができます。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

社会福祉協議会とは

社会福祉協議会(社協)は、民間の社会福祉活動を推進することを目的とした、営利を目的としない民間組織です。社協は、それぞれの都道府県、市区町村で、地域福祉の充実をめざしたさまざまな活動を行っています。
 
活動のひとつに、低所得者など経済的な支援を必要とする方々に、生活や就業などに必要な資金を低利で貸し付ける「生活福祉資金貸付制度」があります。
 

生活福祉資金貸付制度とは

生活福祉資金貸付制度は、低所得世帯、障害者世帯、高齢者世帯を対象とした公的な貸付制度です。他の公的な支援制度が利用できる場合は、他制度の利用が前提です。
 
生活福祉資金には、(1)総合支援資金、(2)福祉資金、(3)教育支援資金、(4)不動産担保型生活資金があります。総合支援資金、福祉資金の緊急小口資金の借入を希望する場合、貸付の要件は生活困窮者自立支援制度の自立相談支援事業の利用です(すでに就職が内定している場合等を除く)。
 

(1) 総合支援資金

失業と同時に、住まいを失った人の生活を支援することなどを支援する資金です。総合支援資金には、「生活支援費」「住宅入居費」「一時生活再建費」があります。
 
連帯保証人を立てる場合は無利子、立てない場合は1.5%の利子がかかります。据置期間経過後、10年以内に返済します。以下で、それぞれの資金使途等のポイントを説明します。
 
「生活支援費」
生活再建までの間に必要な生活費用です。貸付限度額は、2人以上は月20万円、単身は月15万円で、貸付期間は原則3ヶ月、最長12ヶ月以内(延長3回)です。
 
「住宅入居費」
敷金や礼金など、住宅の賃貸契約を結ぶために必要な費用です。貸付限度額は40万円です。
 
「一時生活再建費」
生活を再建するために、一時的に必要かつ日常生活費で賄うことが困難である費用、就職・転職を前提とした技能習得に要する経費、滞納している公共料金等の立て替え費用、債務整理をするために必要な経費等です。貸付限度額は60万円です。
 

(2) 福祉資金

福祉資金には、「福祉費」と「緊急小口資金」があります。
 
「福祉費」
日常生活上一時的に必要な経費です。例えば、次の経費があります。

・生業を営むために必要な経費
・技能習得に必要な経費およびその期間中の生計を維持するために必要な経費
・住宅の増築や改築、補修等および公営住宅の譲り受けに必要な経費
・福祉用具等の購入に必要な経費
・負傷または疾病の療養に必要な経費およびその療養期間中の生計を維持するために必要な経費
・介護サービス・障害者サービス等を受けるのに必要な経費およびその期間中の生計を維持するために必要な経費

など

貸付限度額は580万円などです(資金の目的により異なる)。連帯保証人を立てる場合は無利子、立てない場合は1.5%の利子がかかります。据置期間経過後20年以内に返済します。民生委員の調査書(意見書)の提出が必須となっています。
 
「緊急小口資金」
緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった場合に、貸し付ける少額の資金です。生活保護費や初回給与の支給までのつなぎ資金としての貸付が多くなっています。貸付限度額は、10万円で無利子です。据置期間経過後12ヶ月以内に返済します。連帯保証人は不要です。自立相談支援事業の利用が、原則要件化されています。
 

(3) 教育支援資金

高校や大学等へ就学するための入学金、授業料などの貸付金です。据置期間経過後20年以内に返済します。無利子で連帯保証人は原則不要です(世帯内で連帯借受人が必要)。貸付決定件数は、全資金種類のなかで最も多くなっています。教育支援資金には「教育支援費」と「就学支度費」があります。
 
「教育支援費」
低所得世帯に属する人が高等学校、大学または高等専門学校に就学するのに必要な経費です。貸付限度額は、(高校)月3万5000円、(高専)月6万円、(短大)月6万円、(大学)月6万5000円です(特に必要と認める場合は、上記各限度額の1.5倍まで貸付可能)。
 
「就学支度費」
低所得世帯に属する者が高等学校、大学または高等専門学校への入学に際し必要な経費です。貸付限度額は50万円です。
 

(4) 不動産担保型生活資金

不動産担保型生活資金は、高齢者が所有する不動産を有効活用した貸付を行うものです。貸付後も住み慣れた住居に住み続けることができるので、高齢者の生活支援に役立ちます。
 
不動産担保型生活資金には、「一般向けの不動産担保型生活資金」と「要保護世帯向け不動産担保型生活資金」があります。利率は年3%、または長期プライムレートのいずれか低いほうです。貸付期間は借受人の死亡時までの期間、または貸付元利金が貸付限度額に達するまでの期間です。
 
「一般向けの不動産担保型生活資金」
低所得の高齢者世帯に対し、一定の居住用不動産を担保として生活資金を貸し付ける資金です。貸付限度額は、土地の評価額の70%程度、月30万円以内です。連帯保証人は、推定相続人のなかから選任します。
 
「要保護世帯向け不動産担保型生活資金」
要保護の高齢者世帯に対し、一定の居住用不動産を担保として生活資金を貸し付ける資金です。貸付限度額は、土地および建物の評価額の70%程度(集合住宅の場合は50%)、生活扶助額の1.5倍以内です。貸付期間は借受人の死亡時までの期間または貸付元利金が貸付限度額に達するまでの期間です。連帯保証人は不要です。
 

まとめ

生活福祉資金は、他の公的な支援制度が利用できない人を対象としています。さまざまな用途に応じた資金が低利または無利子で利用できます。ただし、借りた資金は決められた用途以外に利用できません。一時的に生活費に困ったら消費者金融などで資金を借りるのではなく生活福祉資金の活用を検討しましょう。
 
また、家計改善支援事業の利用により、過剰な貸付とならないような必要最小限の貸付額の把握や貸付決定後の償還計画を踏まえた家計表の作成をサポートしてくれますので、家計改善にも役立ちます。
 

出典

社会福祉法人全国社会福祉協議会 福祉の資金(貸付制度) 生活福祉資金
厚生労働省 生活福祉資金貸付条件等一覧
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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