更新日: 2023.08.24 教育ローン
奨学金「300万円」を借りても利息総額は「2万円」! ほぼ元本のみの返済なら負担は軽い?
一般的な借入金よりグッと低く設定されていることが分かります。
執筆者:佐々木咲(ささき さき)
2級FP技能士
大学生の約半数が奨学金を利用している
独立行政法人日本学生支援機構の「令和2年度 学生生活調査結果」によると、何らかの奨学金を利用している学生の割合は図表1のとおりでした。学生の約半数は奨学金を利用して進学していることが分かります。
【図表1】
独立行政法人日本学生支援機構 令和2年度 学生生活調査結果
奨学金の利率
2023年度における日本学生支援機構の貸与利率は、2023年7月で利率固定方式0.637%、利率見直し方式0.090%となっています。一方、みずほ銀行の場合教育ローンは2023年8月の借入で、固定金利4.45%、変動金利3.475%です。
そのため、奨学金の利率は非常に優遇されたものであるといえます。
奨学金300万円の利息
日本学生支援機構の「奨学金貸与・返還シミュレーション」を使って、奨学金を300万円借りて17年間で返済する場合の利息総額を計算してみました。金額は以下のとおりです。
利率固定方式0.637%…17万5435円
利率見直し方式0.090%(完済まで0.090%だったと仮定)…2万4340円
次に、みずほ銀行の教育ローンで同額を借りた場合の利息を「みずほ銀行教育ローン返済額シミュレーション」を使って計算してみましょう。
返済期間は最長の10年間とし、利率は変動金利の3.475%とした場合の利息総額は、55万5600円となりました。日本学生支援機構の返済期間の約半分で返済しているにもかかわらず、利息総額は利率固定方式17万5435円の約3倍、利率見直し方式2万4340円の約22倍にもなります。
国は無利子の奨学金を拡充中
奨学金の利率がいくら低いと言っても、借入額より多く返さなければいけないことに変わりはありません。また、奨学金の返済が生活を苦しめていることも事実です。そこで国は奨学金について「有利子から無利子へ」の方針を掲げ、第一種奨学金(無利子)の拡充に動いています。
2012年度における奨学金利用者数は131万9000人で、そのうち91万7000人が有利子となっていました。割合にすると約69%です。これが2017年度には129万2000人に対して77万2000人となっており、約59%にまで減少しています。
無利子奨学金や給付型奨学金の拡充は、日本国憲法第26条の「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」にのっとり、今後もさらに進められていくものと期待します。
まとめ
奨学金の返済は大変ですが、利息に目を向けてみると一般的な借入金より非常に軽い負担となっていることが分かりました。月々の返済額は、「ほぼ元本だ」と思うと少し気が楽になるのではないでしょうか。
これから奨学金を利用する子どもたちには、給付型の奨学金がより多く利用できること、給付型が難しくてもせめて無利子となることを願います。
出典
独立行政法人日本学生支援機構 令和2年度 学生生活調査結果
株式会社みずほ銀行 みずほ銀行教育ローン
独立行政法人日本学生支援機構 奨学金事業への理解を深めていただくために
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士