更新日: 2023.08.25 教育ローン
借入額は平均「310万円」! 奨学金を返せないと「差し押さえ」に!? 返還が難しい場合の対処法も解説
本記事では、奨学金の返済ができない時にどうすればいいのかを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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奨学金を借りているのは大学生の2人に1人!
奨学金とは、経済的な理由や家庭の事情で進学が難しい人に向けて学費の付与や貸与を行う制度です。日本学生支援機構(以下JASSO)が行った2020年度の学生生活調査によると、何らかの奨学金を受給している人の割合は大学生(昼間部)で49.6%です。
また、労働者福祉中央協議会が2022年に実施した「奨学金や教育費負担に関するアンケート報告書」によると、奨学金を受給した人の借入額は平均で約310万円、毎月の返済額は平均約1万5000円となっています。
奨学金を返せないとどうなる?
奨学金の多くは返済義務のある貸与型奨学金です。しかし返済しようにも、失業や傷病などの事情で一時的に収入が少なくなり、月々の返済が難しくなる場合もあるでしょう。ここからはそのような時に申請できる救済制度を紹介します。
なお、以下で紹介する制度は全てJASSOのものなので、JASSO以外で奨学金を借りた場合は各団体に問い合わせてください。JASSOの場合はインターネット、または郵送で申請することができます。
月々の返還額を少なくする
当初の返還月額で返還し続けるのが難しい場合は、月々の返還額を少なくする「減額返還制度」を利用することができます。制度の利用で月々の返還額を1/2または1/3に減らすことが可能です。
ただしこの制度を利用するためには収入などに一定の基準があるため、申請すれば必ず減額されるとは限りません。また、制度を利用しても最終的に返還する金額は変わりませんが、最長15年(180ヶ月)までの利用であることと、1年ごとに願い出る必要がある点に注意が必要です。
返還を待ってもらう
災害、傷病、経済困難、失業などの理由で返還できない場合は、返還期限の猶予を願い出ることもできます(返還期限猶予)。この制度を利用することで最長10年(120ヶ月)の間奨学金の返還が猶予されます。なお、利息も含めた返還予定総額は変わりません。
返還が免除される場合
JASSOによると、返還が免除されるのは以下の場合です。
・本人が死亡し返還ができなくなったとき
・精神若しくは身体の障害により労働能力を喪失、または労働能力に高度の制限を有し、返還ができなくなったとき
奨学金の返済を放っておくとどうなる?
前述した制度を使うことで奨学金の返還額を減らしたり、一時的に返還を猶予されたりします。しかし、これらの制度の承諾を受けずに奨学金の返還が滞った場合はどうなるのでしょうか。
延滞金が発生する
奨学金を払うことができず滞納してしまった場合、延滞金が発生します。延滞金は返還期日の翌日から返還した日までの日数に応じて決定され、2020年3月28日以降は年(365日当たり)3%の割合を乗じて計算した額の合計額が割り増しされることになります。
奨学金の返還が猶予されている間は延滞金が発生しないので、返還が難しい場合は早めにJASSOに連絡しましょう。
督促
JASSOでは、返還金を滞納すると借りている本人や保証人に対して文書と電話で督促が行われます。連絡手段がない場合には勤務先に電話がかかってくることもあるため要注意です。
督促されても延滞が続く場合、法的措置を経て強制執行が行われます。強制執行が行われると給与や財産が差し押さえられることになるため、督促があった時点で必ず返還し、どうしても難しい場合は返還の猶予や月額の減額を願い出ましょう。
個人信用情報機関に登録される
返還開始後6ヶ月経過時点で延滞が3ヶ月以上続くと、個人信用情報機関に個人情報が登録されます。登録される情報は氏名・住所・生年月日・勤務先といった個人情報に加え、延滞や完済などの返還状況も含まれます。
個人信用情報機関に延滞者として登録されている間は、クレジットカードが発行されない、ローンが組めないといった不利益を被る可能性があるため注意が必要です。
奨学金に困った時はまず相談を!
奨学金は、返還金が下の世代への奨学金として利用されることで維持されている制度です。「奨学金」と聞くとマイルドに感じるかもしれませんが社会的には「借金」と同じ扱いとなり、返済が滞った場合は社会的信用が損なわれる可能性もあります。
奨学金はありがたい制度である半面、返済する立場になってから負担に感じる人も多いです。奨学金の返還に関して何か困ったことがある場合は、JASSOなど自分の借りている奨学金団体に早めに連絡して相談するようにしましょう。
出典
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO) 令和2年度 学生生活調査結果
労働者福祉中央協議会 奨学金や教育費負担に関するアンケート報告書 2022年9月実施
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO) 返還が難しくなった場合
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー