更新日: 2023.09.24 教育ローン
給与が低すぎて奨学金返還まで手が回らない!奨学金の「延滞率」は何パーセント?
そこで、給与が低く奨学金の返還に手が回らないという方に向けて、奨学金の延滞率はどれくらいなのか、困ったときはどのような対応をすべきなのか、解説していきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
奨学金を延滞したことがある人の割合はおよそ20%
独立行政法人日本学生支援機構の「令和2年度奨学金の返還者に関する属性調査結果」において、現在無延滞となっている方に、奨学金をこれまで延滞したことがあるかと聞いたところ、「延滞したことがある」と回答したのはそのうち19.8%です。
【図表】
出典:独立行政法人日本学生支援機構 令和2年度奨学金の返還者に関する属性調査結果(詳細版)
現在は奨学金を返還できている方でも、そのうち20%近くが過去に1度は延滞をしたことがあるようです。調査時点で延滞中の方が挙げた延滞の理由としては、「本人の低所得」と収入を理由にする方が多く、正社員であっても、延滞した方の半数以上が、所得が低いことを理由に挙げています。
給与が低く奨学金の返還に手が回らないという状況では焦ってしまったり、自分がダメなのではないかと思ったりしがちですが、同じような状況の方は一定数存在しています。それを踏まえ、落ち着いて状況を整理し、今後の対応について考えていくことが重要になります。
どうしても返還に手が回らないときは?
給与が低すぎてどうしても奨学金の返還に手が回らないという場合、減額返還か返還期限猶予の申し出を日本学生支援機構に行うべきです。
減額返還とは、月々の返還額を2分の1または3分の1にし、返還期間を延長するというものです。例えば毎月2万円返還している方の返還額を1年間、1万円にする代わりに、返還期間をその分伸ばすという具合です。
返還期限猶予とは、返還額を減らすのではなく毎月の返還自体を先送りにするものです。例えば、1年間返還が猶予される(0円になる)代わりに1年間返還期間が延びるといった具合です。
奨学金は返還が滞るとその延滞の事実が信用情報機関に記録されます。クレジットカードを作ったり住宅ローンや車のローンを組んだりする際には審査があるのですが、奨学金が原因で審査落ちしてしまうこともあります。
返還が滞っている場合はもちろん、滞りそうだという場合も、速やかに一度減額返還や返還期限猶予についての相談を行っておくべきでしょう。
根本的な解決を図ることも忘れずに
そもそもの収入が低いことが原因となっている場合は減額返還や返還期限猶予をしたとしても、根本的な原因解決はできません。今後のためにも、減額返還や返還期限猶予の相談や申し込みとともに、根本的な原因を解決することが大切です。
例えば、給与の手取りが15万円を切っていて生活自体が厳しいのであれば、転職をしたり副業をしたりして収入を増やすなどが解決方法として挙げられます。その他にも、一人暮らしをやめて実家に戻り奨学金の返還に専念する、支出を減らして奨学金の返還に充てられる部分を増やす、などの対応も有効でしょう。
給与が低すぎて奨学金の返還に手が回らない、という場合は状況を整理し、あと何円お金があれば返還できるようになるのか、家計の無駄を減らしながら計算し、必要な行動を選択していきましょう。
奨学金の返還額は、基本的に月1万円から2万円程度です。根本となっている原因を解決していけば、返還に手が回らない状況から脱出できるはずです。
奨学金の延滞はさほど珍しいことではないが放置は絶対しないこと!
現在無延滞である方を対象に調査しても、奨学金の返還を延滞したことのある人は全体の19.7%と、決して少ないわけではありません。その理由は多くの場合、所得が低いことにあるようです。
しかし、奨学金の返還が滞ると、将来住宅ローンが組めないなど、思わぬ場面で不利益を被る可能性もあります。
奨学金の返還にまで手が回らないというのであれば、速やかに減額返還や返還期限猶予の申し出をし、滞納扱いとならないようにしつつ、収入を増やす・支出を減らすなど根本的な解決を目指していくようにしてください。
出典
独立行政法人日本学生支援機構 令和2年度奨学金の返還者に関する属性調査結果(詳細版)
執筆者:柘植輝
行政書士