「2000万円」の住宅ローンは、年収280万円だときつい?無理してでもマイホームが欲しいのですが……。
配信日: 2023.11.23
年収280万円の方が組む住宅ローンについて考えてみます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
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一般的な住宅ローンの返済比率は35%が限度
住宅ローンを組む際は、返済比率を重視する必要があります。返済比率とは、年収に対する年間返済額の割合をいいます。金融機関や不動産会社などによっては、返済負担率等といわれることもあります。
返済比率は、年間の返済額を年収で割って求めることができます。例えば、年収280万円で2000万円の住宅ローンを35年の返済期間で組み、年間72万円を住宅ローンの返済に充てるとしましょう。すると、返済比率はおよそ26%になります。
返済比率の目安はさまざまですが、有名な住宅ローンである「フラット35」の場合、返済比率は年収400万円未満の場合で30%以下、400万円超の場合で35%以下とされています。
参考までに、フラット35のシミュレーターで計算してみると、年収280万円でも2152万円は借りることができるようです(他に借り入れはないものとし、金利1.880%で35年間、元利均等返済方式にて試算)。
信用情報や頭金の有無など諸条件によっても異なりますが、年収280万円でも、2000万円の住宅ローンは理論上組むことができそうです。
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生活費とのバランスも考慮すること
住宅ローンが理論上は組めることと、実際に無理なく返済していけるかどうかは別問題です。
仮に、手取りを額面の8割として考えてみると年収280万円の方の手取りは年間224万円です。2000万円のローンを35年間、1.880%の利率の元利均等方式で組み、年間79万2000円のローンを返済していくことを考えると、手元に残るのは144万8000円となります。月々使えるお金はおよそ12万円です。
マイホームを取得すれば家賃がかからないとはいえ、12万円で生活していくのは苦しいものがあります。急な病気やけがで支出がかさんだ場合や、休職、離職などで収入が減った場合のリスクもあります。
生活のバランスを考えると、年収280万円で2000万円ものローンを組むとしたら、生活が予想よりも苦しくなるかもしれません。
公務員など、将来の昇給がある程度予想できる場合は、さほど問題にならないかもしれません。しかし、それ以外の場合であり「無理してでもマイホームが欲しい」と強く希望するのであれば、転職する、配偶者に働いてもらい世帯での収入を増やす、などといった方法で、無理なく返済していくための対応が必要になるでしょう。
他の選択肢も検討する
年収280万円で2000万円のローンを組んでも、返済が苦しくなることは避けられないでしょう。そのため、生活の安定のためにいったんは賃貸に住みつづけることも考えてみてください。そして、お金がたまったり収入が増えたりして、無理なくマイホームを手にできる段階になってから、住宅ローンを組むといいでしょう。
無理して住宅ローンを組み、夢のマイホームを手にしても、ローンの返済が滞り手放さざるを得ないこともあります。最悪の場合、ローンの残高が手放したマイホームの価格を上回るオーバーローン状態になり、マイホームを失ったにもかかわらずローンの返済だけが続くような状態に陥ることも考えられます。
実際、無理して住宅ローンを組んだものの、返済が滞りマイホームを手放すことになった世帯や、返済に苦しむ世帯も少なくありません。
まとめ
年収280万円でも、2000万円の住宅ローンを組むことは理論上可能です。しかし、無理をして返済ができるかどうかを考えると、年収に見合わない住宅ローンとなるかもしれません。
もし、年収280万円で2000万円の住宅ローンを組みたいと考えている場合、月々のローン返済について、念入りにシミュレーションをしてみてください。少しでも不安が残るのであれば、もう少し収入が上がったり、貯金が殖えたりした段階まで待ってみてください。
マイホームを手にしても、その後苦しい生活が続くと、後悔することにもなりかねません。
執筆者:柘植輝
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