更新日: 2024.01.17 教育ローン

【奨学金申し込みを検討中】貸与奨学金の返還方法と選び方はどうすればいいですか?

【奨学金申し込みを検討中】貸与奨学金の返還方法と選び方はどうすればいいですか?
日本学生支援機構の貸与奨学金は、貸与終了後7ヶ月目から返還が始まります(3月貸与終了の場合、10月から)。返還方法の種類は、第一種奨学金・第二種奨学金それぞれ2つあります。この記事では、貸与奨学金の返還方法と選び方について解説します。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

第一種奨学金の返還方法

無利子の第一種奨学金の返還方法には、「定額返還方式」と「所得連動返還方式」があります。
 
「定額返還方式」は、月々の返還額が一定の返還方式をいいます。「所得連動返還方式」は、所得に応じて月々の返還額が決まる返還方式をいい、第一種奨学金に採用された方のみが選択できます。
 
また、所得連動返還方式を選択した場合、保証制度は「機関保証」を選択する必要があります。したがって、「人的保証」を選択した人が所得連動返還方式を利用するには、機関保証に変更して、過去にさかのぼって一括で保証料を支払う必要があります。
 
返還初年度(返還開始から最初の9月まで)の返還月額は、定額返還方式によって算出された返還月額の半額となります。算出された金額での返還が困難という場合は、申請をすることで2000円(最低返還月額)での返還が可能となります。
 
収入によって返還月額と返還年数がどのように変動するかは、「奨学金貸与・返還シミュレーション」を使うことで大まかに把握できます。事前に確認しておくといいでしょう。日本学生支援機構の資料によると、5万円を4年間(240万円)借りた場合、「定額返還方式」では月額約 1万3333円(15年間)を返還します。
 
所得連動返還方式では、最初の1年目の返還月額は6666円(定額返還方式の半分)、就職して年収300万円を得た次の年は8600円/月、昇進して年収450万円になった次の年は、1万5400円/月、失職して年収100万円になった次の年は2000円/月(最低返還月額)、再就職して年収300万円となった次の年は8600円/月となっています。
 
このように、所得連動返還方式では、所得が高くない場合でも無理のない返還ができますが、返還期間が長期化するデメリットがあります。反対に所得が高ければ短い期間で返還できます。返還総額については、どちらの返還方式も同じになります。
 

「所得連動返還方式」vs「定額返還方式」

所得連動返還方式は、収入が増えれば多く返還できるとの前提にたっています。一見合理的ですが、実際は年齢に応じて収入が増えた場合、住宅ローンや教育費などの支出も増えるため返還が厳しくなるかもしれません。
 
卒業するまで(貸与中)であれば、所得連動返還方式から定額返還方式への変更が可能です。また、定額返還方式から所得連動返還方式への変更も可能です。ただし、人的保証の場合、機関保証への変更が必要です。
 
ただし、貸与終了後は、所得連動返還方式から定額返還方式への変更はできませんので留意してください。まずは、定額返還方式を選択し、返還が負担になったときに所得連動返還方式への変更を検討するのがよいでしょう。
 

第二種奨学金の返還方法

有利子の第二種奨学金の返還方式は、前項にて紹介した定額返還方式のみとなります。また、金利が固定されている「利率固定方式」と景気の変動に応じて、おおむね5年ごとに利率が見直される「利率見直し方式」があります。
 

「利率固定方式」vs「利率見直し方式」

第二種奨学金を申し込む際、利率固定方式か利率見直し方式のどちらかを選ぶ必要がありますが、貸与が終了する一定期間前まで変更することができますので、経済状況を見て有利な返還方法を選ぶとよいでしょう。
 
一般に、金利が将来上昇すると思えば、貸与終了時に決定した利率が返還完了まで適用される利率固定方式を選ぶといいでしょう。将来どんなに金利が上昇しても毎月の返還額が変わりませんので安心です。
 
一方、利率見直し方式は、将来、市場金利が上昇すれば、利率も上昇するリスクがあります。令和5年3月の貸与利率は、利率固定方式が0.905%、利率見直し方式が0.300%ですので、利率を比べれば利率見直し方式が有利です。
 
しかも、将来、どんなに市場金利が上昇しても上限の利率は3%と決められています。それでも、利率固定方式の0.905%は十分低い利率ですので、利率固定方式を選択するとよいでしょう。
 
すでに利率見直し方式を選択している方は、「繰上返還」を積極的に活用すれば、利率上昇の影響を軽くできますので検討してみてください。
 

出典

日本学生支援機構 返還方式について(定額返還方式・所得連動返還方式)
日本学生支援機構 平成19年4月以降に奨学生に採用された方の利率 貸与利率
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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