なぜ支払い能力が十分にあっても、このようなことが起こるのでしょうか。現在の支払い能力と過去の金融事故との関係について、確認していきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
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過去の携帯代の滞納はローンの審査に影響する
意外に思われるかもしれませんが、携帯代の支払いの滞りが住宅ローンの審査に影響することがあります。
なぜなら、その滞納歴が「信用情報機関」にデータとして蓄積され、住宅ローンの借り入れの可否を判断する金融機関がそのデータを利用し、他の事情も含めて総合的に判断しているからです。
仮に年収が800万円あり、4000万円から5000万円程度と、一般的には許容される範囲内の額の住宅ローンの審査を受けたとしても、携帯代の滞納が過去に存在していると、他の条件次第では審査に落ちてしまうことも十分あり得るのです。
審査は何も、今の状況だけを見るわけではありません。今は支払い能力があったとしても、過去に携帯代の滞納など、何かしら支払いが滞ったという事実があれば「今後もそういったことが起こらないとも限らない」と判断されてしまうわけです。
もちろん審査の基準や判断の理由は金融機関によって異なる部分でもあるため、一概には言えませんが、基本的に携帯代の支払い履歴も、住宅ローンに影響すると考えておくべきでしょう。
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滞納があれば住宅ローンは通らないのか
携帯代の滞納があれば絶対に住宅ローンには通らない、というわけでもありません。その携帯代が通話料金などだけであれば、住宅ローンへの影響は小さく、年収800万円で住宅ローンに通らないということは考えづらいです。
なぜなら、携帯代の滞納歴が信用情報機関へ登録されるかどうかは、割賦代金(かっぷだいきん)が含まれているかを基準に判断されるからです。
具体的に言えば、携帯代をクレジットカードで支払っている場合や、携帯電話の本体の代金を分割で支払っており、携帯本体の代金が毎月の携帯代に含まれているような場合です。
これらは信用情報機関に滞納歴が保管される「割賦代金(かっぷだいきん)」に該当します。割賦代金とは、代金を分割して支払う「割賦販売」の代金のことです。最近では高額なスマホであっても、割賦販売を利用して、2~3年間で支払いを毎月分割することで、購入しやすくなっています。
実際、よく利用されている情報機関のJICCでは、「通話料金等のみであれば割賦商品に含まれないため信用機関には登録されません。ただし、お支払いにクレジットカードを利用されている場合、クレジットカードのお支払いの延滞情報が登録される場合がございます。」とされています。
多くの方が割賦販売で高額なスマホを購入していることでしょう。また、支払い方法の利便性やポイント還元などを目的として、携帯代をクレジットカードで支払っていることもあるでしょう。
そのため「3年前に携帯代の滞納をしたことが理由で、住宅ローンに通らない」ということはありえない話ではないのです。
なぜ金融機関が信用情報を握っている?
ローン審査をする金融機関が信用情報を握っている理由は簡単で、JICCという信用情報機関に加盟している可能性があるためです。JICCは加盟先に対して信用情報を提供しています。
この点については、クレジットカードの作成時などの契約書に記載があり、クレジットカードはそれに利用者が同意した上で作成されています。そのため、知らなかった、同意していない、といったことは許されません。
参考までに、JICCでは信用情報が最長5年間保管されます。永遠に保管されるわけではないため、滞納が3年前であれば、その2年後に申請することで、住宅ローンに通る可能性があります。
まとめ
年収が800万円あったとしても、5年以内の携帯代の滞納歴があると、今の支払い能力が十分あっても、住宅ローンの審査に通らないことがあります。
とはいえ、基本的には過去の滞納歴も5年たてば、信用情報から消えることになります。もし、住宅ローンの審査に落ちてしまっても、滞納から5年を経過したころに、もう一度審査を申請してみてください。
年収800万円というしっかりした収入があれば、次は審査に通る可能性が高いでしょう。
出典
株式会社日本信用情報機構(JICC) Q携帯電話料金が未払いだった場合、延滞情報は登録されますか?
執筆者:柘植輝
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