住宅ローンの金利ってそもそもどうやって決まっているの?
配信日: 2018.11.20 更新日: 2020.07.03
どっちがいいの? と迷われる方が多いと思いますが、変動金利は、市場の動向にあわせて定期的に見直され、固定金利は、住宅ローンの契約時点の金利が完済まで継続されるのが特徴です。
さて、この住宅ローンの金利はどのように決まってくるのでしょうか。
今回は、住宅ローンを組むときの「金利」についてお伝えしていきます。
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。
2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai
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金利はどうやって決まる?
住宅ローンを組むとき、通常は「変動金利」と「固定金利」のどちらの金利が高いか、低いかで選ぶケースが多いと思います。
今のように金利が低い状況では、変動金利を選ぶことが一般的になっています。
しかし、その一方で固定金利を選択する場合、一定の金利が続くため、家計の管理がしやすいことを理由にあげる方もいます。
どちらも間違いではありませんが、前者の場合、「利息の支払いはなるべく少ない方がいい」ということを重視し、後者の場合、「家計の管理はなるべく面倒くさくない方がいい」ということを重視していると言えます。
そもそも、住宅ローンの金利はどのように決まるのでしょうか。
それぞれの銀行が決めているのは当たり前のことですが、住宅ローン金利には、もとになる指標があります。
「短期プライムレート」と「長期プライムレート」です。
変動金利は「短期プライムレート」をもとに決められ、固定金利は「長期プライムレート」が基準になっています。
プライムレートというのは、「あるレートに上乗せされている」という意味です。
つまり、「あるレートに上乗せされて決められた金利」をもとにしているのが「変動金利」であり、「固定金利」であるということになります。
ここで重要なのが、「短期」と「長期」の違いです。短期は「1年以下」、長期は「1年超」という意味です。
変動金利は「1年以下」の「あるレートに上乗せされて決められた金利」をもとにしており、固定金利は「1年超」の「あるレートに上乗せされて決められた金利」をもとにしているということになります。
よく分からないという方は、とりあえず、この関係を覚えておいてください。
○変動金利←短期プライムレート
○固定金利←長期プライムレート
さて、変動金利の基準になっている「短期プライムレート」も、固定金利のもとになっている「長期プライムレート」も、それぞれ「あるレート」に上乗せされた金利というのは分かりました。
それでは、「あるレート」とはなんでしょうか。
○短期プライムレート←無担保コールレート
○長期プライムレート←10年物国債の利回り
無担保コールレートは、金融機関同士でお金を貸し借りするときの短めの金利です。10年物国債の利回りは、日本国債につけられた利率のことです。
細かくいうと本当は少し違いますが、これ以上詳しくいうとかえって分かりにくくなるため、このようなイメージでとらえてみてください。
○変動金利←短期プライムレート←無担保コールレート
○固定金利←長期プライムレート←10年物国債の利回り
ということで、変動金利にすべきか、固定金利にすべきかについては、無担保コールレートと10年物国債の利回りの傾向をみて判断していくことになります。
通常、景気が良くなる局面では「無担保コールレート<10年物国債の利回り」となり、景気が悪くなる局面では「無担保コールレート>10年物国債の利回り」 となります。
前者を「順イールド」、後者を「逆イールド」と言いますが、今のように景気をよくしていこうという局面では、金利の関係は順イールドになるため、変動金利よりも固定金利の方が金利は高くなります。
逆に景気が悪化する局面では逆イールドになるため、変動金利よりも固定金利の方が金利は低くなります。
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ローン金利と景気の関連性
住宅ローン金利がどうやって決まるか知っていただいたうえで、今、よく耳にする「金利が上がるかもしれない!」という点について考えていきたいと思います。
リーマンショック以降、日銀は金融緩和政策を導入し続けています。
金融緩和政策には、市中にたくさんのお金を流すことで景気を回復させようという目的がありますが、少しずつ景気が良くなってきているため、ちょうど今、日銀は金融緩和からの出口戦略を模索し始めています。
この内容が「金利の変動幅を0.2%まで高める」ということでしたので、先日の金融政策決定会合後、10年物国債の利回りが若干ですが、上がるようになりました。
先ほど、10年物国債の利回りが長期プライムレートに影響を与えるというお話をしました。
つまり、10年物国債の利回りが上がると、長期プライムレートも上がり、結果として、住宅ローンの固定金利も上がっていくことになります。これが「金利が上がるかもしれない!」と言われている正体です。
ただし、これは、固定金利の話で、変動金利には今のところ、ほぼ影響はないようです。
なぜならば、変動金利は、短期プライムレートを軸にしていて、短期プライムレートは無担保コールレートを基準にしているからです。
ただ、注意しておきたいのは、本当に景気が良くなっていく(例えば、デフレから本格的に脱却した後など)局面では、10年物国債の利回りが上昇し、それにつれて短期の資金需要も増えていくため、無担保コールレートも上がっていくことになります。
そうすると、必然的に短期プライムレートも上がっていくことになるため、変動金利も同様に影響を受けると考えられます。
とは言いつつも、本当にデフレから脱却できるの? という見方もあり、日本の場合は、デフレ脱却にはまだ時間がかかると思われます。
金利自体がそもそも、世界情勢や国内外の景気、または金融政策などに大きく影響を受けます。
そのため、住宅ローンを借りるときや借りかえを行うときは、単に金利が高い、低いで考えるのではなく、国内の景気がどうなるかを考えたうえで判断するようにしましょう。
そうすることで、納得感を持って住宅ローンを組めるようになると思います。
次回は、「金利の変動要因」について、もう少し詳しくお伝えしていきます。
Text:重定 賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
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※金利プランは「当初期間引下げプラン」「全期間引下げプラン」の2種類からお選びいただけます。
ただし、審査の結果保証会社をご利用いただく場合は「保証付金利プラン」となり、金利タイプをご選択いただけません。
※固定金利特約は2年、3年、5年、10年、15年、20年、30年、35年からお選びいただけます(保証付金利プランとなる場合は、3年、5年、10年に限定されます)。
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