奨学金を借りて大学に進学しましたが「多額の借金がある」と思うと将来が不安です。今から「少しずつ返済」して不安を減らしたいです。
配信日: 2024.09.13
今回は、そんな方に向けて、奨学金の返還がいつから始まるのか、貸与中に少しずつ返還できるのか、そして返還が困難になった場合の対応について紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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奨学金はいつから返還が始まる?
通常、貸与終了月の翌月から数えて7ヶ月後に、口座振替による返還が始まります。3月満期貸与終了者の場合、貸与が終了する6ヶ月前(10月頃)に、学校から、返済についての「貸与奨学金返還確認票」、「返済のてびき」、「口座振替加入申請書」が配布されます。
この書類を受け取ったら、所定の期限までに、申込書を金融機関に提出して、口座振替の手続きを完了させなければなりません。これにより、決められた返済期間が始まり、毎月の返済が口座から自動的に行われます。
奨学金は貸与中に少しずつ返還できる?
奨学金には、「第一種奨学金」と「第二種奨学金」の2種類があります。第一種奨学金では、平均貸与総額は「約216万円」、返済にかかる平均期間は「約14年」です。
第二種奨学金の場合、平均貸与総額は「約337万円」、返済にかかる平均期間は「約17年」となっています。これほど長い期間、返済を続けなければならないと考えると、多くの方が不安を感じるのも無理はありません。
第一種奨学金の奨学生として採用された方は、申込時に「定額返還方式」または「所得連動返還方式」のいずれかを選択します。第二種奨学金については、「定額返還方式」のみとなり、貸与終了の翌月から「据置期間利息」という利息が発生します。
そこでこの利息を少なくするために、貸与中でも返済を始めることが可能な「繰上げ返済」を活用することが可能です。
「第一種奨学金」と「第二種奨学金」どちらの場合でも、まだ返済の期限が来ていない分を前倒しで返済できます。奨学金の繰上げ返済は、原則として貸与終了の翌月から行えます。ただし、3月に貸与が終了する方については、その3月中に繰上げ返還が可能です。
繰り上げ返済には、「返済月額軽減型」と「返済期間短縮型」の2種類があります。
【返済月額軽減型】
繰り上げ返済をすると、その後の毎月の返済額が少なくなります。
【返済期間短縮型】
繰り上げ返済をしても毎月の返済額は変わりませんが、返済が終わるまでの期間が短くなります。
日本学生支援機構の奨学金で繰上げ返済をすると、「返済期間短縮型」が適用されます。つまり、毎月の返済額はそのままで、返済期間が短くなるということです。
なお、奨学金の申請から貸与終了までは、在籍する学校が手続きを担当しますが、返済期間中は、奨学生本人と日本学生支援機構が直接やり取りを行います。そのため、繰り上げ返済を希望する場合は、本人が手続きを進める必要があります。
返済が困難になった場合の対応
奨学金の返済が遅れると、まず督促の電話や通知が届きます。さらに、2回目の振替ができなかった場合、次の支払日に3ヶ月分の返済額と延滞金を支払わなければなりません。延滞が続くと、個人信用情報機関への登録や、一括請求の督促、最終的には強制執行が行われる可能性があります。
もし返済が難しいと感じたら、放置せずに日本学生支援機構の奨学金相談センターに連絡しましょう。返済が厳しい場合には、「減額返還」や「返還期限猶予」といった救済制度を利用できます。
これらの制度を使うことで、毎月の返済額を減らしたり、返済を一時的に延ばしたりすることが可能です。この制度を利用しても返済総額は減りませんが、早めの相談が重要です。
無理をせずに自分に合った返済計画を立てよう
奨学金を借りて大学に進学することは、将来の夢を叶えるための大切な一歩ですが、返済に対する不安も少なくありません。在学中に少しずつ返済を始めることで、卒業後の負担を軽減することができる場合があります。
ただし学生は、勉強に集中しなければならず、お金に余裕がない場合も多いでしょう。そのため、自分に合った返済計画を立て、無理をせずに少しずつ取り組むことが大切です。
出典
独立行政法人日本学生支援機構 返還を始める皆さんへ
独立行政法人日本学生支援機構 奨学金事業への理解を深めていただくために
独立行政法人日本学生支援機構 繰上返還について
株式会社まなびシード 奨学金なるほど相談室 奨学金繰上げ返済のポイント
独立行政法人国民生活センター 奨学金制度を利用する前に知っておきたいこと
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー