父名義の実家をリフォームして二世帯住宅にします。娘の私がローンを組むと税金は発生しますか?

配信日: 2024.11.18

この記事は約 4 分で読めます。
父名義の実家をリフォームして二世帯住宅にします。娘の私がローンを組むと税金は発生しますか?
実家をリフォームして二世帯住宅にしたい、と考えている方からのご相談です。父親名義の実家をリフォームする際に、子どもがローンを組んだら税金は発生するのか、最も節税になる方法はなにか、知りたいとのことです。
柴沼直美

執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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贈与税の発生に注意

親名義の家を子どもがリフォームする場合、子どもが支出したリフォームによって親名義の家の価値が増加すると、その増加分が「子どもから親への贈与」とみなされ、贈与税が発生する可能性があります。
 
贈与税が発生するかどうかは、「名義が誰か?」「誰が費用を負担したのか?」「リフォーム後の資産価値はどうなったのか?」によって判断されます。
 
ご相談者の場合、「子どもが自分のお金で」「親名義の家」をリフォームした結果、「家の価値が大幅に上がる」と、“親が利益を得た”とみなされる可能性があります。この「利益分」が贈与と認識され、通常の贈与税の基準に従って課税されることがあり得ます。
 

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贈与税の課税対象

贈与税の計算にあたっては、年間110万円までの基礎控除があり、それを超える贈与があった場合に課税されます。
 
リフォームによって家の価値が100万円程度しか増加しなければ、贈与税は発生しないと考えてよいでしょう。一方、リフォームの規模が大きく、増加する価値が110万円を超える場合には、贈与税の対象になる可能性が高くなります。
 

贈与税の課税を回避、節税したいなら……

贈与税課税の可能性を回避、あるいは節税を検討する場合には、以下のような方法が考えられます。
 

1. 共有名義に変更する(リフォーム後、子ども名義に変更する)

親の名義で所有している家を、親と子ども双方の名義にします。この手続きにより、リフォーム費用を子どもが負担した場合でも、家の一部を子どもが所有している形になるため贈与税を回避できます。
 
リフォーム後、子ども名義に変更するのも選択肢です。リフォームが実際に「子どもが住むためのもの」であることを明確にし、親に利益が発生しないように契約や利用形態を整えることで、税務署に対して贈与ではないことを示すことも有効です。
 
名義変更には、司法書士への支払いやその他手数料・登録免許税が発生し、法務局で不動産登記の手続きを行う必要があります。
 
共有名義化の場合は、親との間でリフォーム費用負担や家の利用について正式な契約書を作成し、リフォームが親への贈与とみなされないよう、法的に明確にしておくことも大切です。煩雑かもしれませんが、後々の相続のことも考えれば一考に値するでしょう。
 

2. 親の持ち分の一部を買い取る

親が所有している家について、一部の権利を子どもが買い取ります。共有名義に変更するのと同じようにみえますが、子どもが家の一部を正式に購入して、自分の資産として所有するというもので、売買契約を交わす点が名義変更とは異なります。法的にはよりはっきり、「子どもの資産」となり、親の資産価値の増加を抑えることになります。
 

3. リフォーム費用を親への貸し付けにする

子どもが親に対して、リフォーム費用を貸し付けた形にすることも選択肢の一つです。その場合は、契約書を作成し、利息や返済計画を明確にしておく必要があります。
 

ローンを組む場合の注意点

子どもがローンを組む場合の、主な注意点については以下のとおりです。
 

1. ローン控除が適用されるか

子どもが住宅ローン控除の適用を受けるためには、子ども自身がその家に居住する必要があります。
 

2. 担保提供者の問題

親名義の家を担保に子どもがリフォームローンを組む場合、家が親の名義であるかぎり、ローンの担保として親の協力が必要です。親が保証人になる場合が一般的です。
 

まとめ

親名義の家のリフォームについては、お問い合わせとして非常に多い項目です。リフォームの規模や将来の計画について親子間でよく確認しあって、専門家も交えてどの方法が最も有効かを検討しましょう。必要書類なども、しっかり整えておくことが大切です。
 
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者

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