「過払い金請求」とはどのようなときに発生するの? 過払い金を請求することによる「デメリット」はない?
配信日: 2025.02.03

最近では「過払い金請求」を行うことで、払いすぎたお金を取り戻せる可能性があるとテレビのCMなどでも注目されています。ただし、過払い金請求にはメリットだけでなく、場合によってはデメリットが生じる可能性もあるようです。その仕組みや影響について詳しく見ていきましょう。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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貸し付け時の金利を規定する「利息制限法」
消費者金融やカード会社が貸し付けを行う際は、「利息制限法」に基づき、借入金額に応じた上限金利が設定されています。具体的には、10万円未満では年20%、10万円以上100万円未満では年18%、100万円以上では年15%が上限です。
「グレーゾーン金利」とは何か
かつては、一定の基準を超えた高金利を取った者に科される刑罰について定めた「出資法」によって、一定条件の下で年20%を超える金利が合法的に適用されていたとされています。利息制限法の上限金利を超える金利差が「グレーゾーン金利」と呼ばれ、多くの貸金業者が活用していたのです。
高金利が招いた社会問題
最大29.2%もの高金利で貸し付けが行われた結果、借り手の返済負担が増大しました。多くの人が返済困難に陥ったことで、高金利の貸し付けが社会問題化したというわけです。
改正によるグレーゾーン金利の撤廃
2006年、最高裁判所がグレーゾーン金利の適用を否定する判決を下しました。この判決を受け、同年末に貸金業を営んでいる者を対象にした「貸金業法」が改正され、2010年には出資法の上限金利を年20%にまで下げることで、グレーゾーン金利が完全に撤廃されたといわれています。
過払い金を請求することによるデメリット
過払い金請求の最大のメリットは過払い金が戻ってくることだといえるでしょう。過払い金請求を行うことで得られるメリットは大きいものの、いくつかのデメリットも存在するとされています。
まず、過払い金請求をした貸金業者やクレジットカード会社のサービスは、その後利用できなくなる可能性があります。これは、特定の業者やカードに依存していた場合に不便を感じることもあるかもしれません。
さらに、返済中に過払い金請求を行った場合、残債があると信用情報に事故情報(いわゆるブラックリスト)として登録される可能性があります。この情報が登録されると、完済後も5年程度は新たな借り入れやローンの利用が制限されるのです。
ただし、返済中であっても、過払い金請求によってその業者への借金が全額返済される場合は、事故情報は手続き終了後に削除されるケースもあるようです。過払い金請求を検討する際には、こうしたリスクを理解し、慎重に判断する必要があります。
過払い金の返金を受けられる可能性がある方
過払い金の返還を受けられる可能性があるのは、2010年(平成22年)6月18日の貸金業法改正以前に貸金業者から借り入れをし、最後の返済から10年以内の方とされているようです。
この改正以降、法律上過払い金は発生しないため、それ以前の取引が対象となります。具体的には以下のような借り入れが該当します。
●消費者金融からの借り入れ(街金やサラ金を含む)
●銀行以外のカードローン(借入専用カード)
●クレジットカードのキャッシング取引(一括払い、分割払い、リボ払い)
2007年以前から貸金業者と取引をしていた場合、高い金利で借り入れをしていた可能性があり、過払い金を請求できる可能性があるでしょう。
過払い金は過去の「グレーゾーン金利」による取引で発生
過払い金は、法律で定められた上限金利を超えて支払った利息のことで、特に過去の「グレーゾーン金利」による取引で発生したケースが多く見られるようです。
2010年の貸金業法改正以降、過払い金は発生しなくなったとされていますが、それ以前に消費者金融やカードローン、クレジットカードのキャッシングを利用していた方は、払いすぎた利息を取り戻せる可能性があります。
過払い金請求には大きなメリットがある一方で、貸金業者やカード会社の利用ができなくなる、信用情報に事故情報として登録される可能性があるなどのデメリットも存在します。ただし、状況によっては事故情報が登録されないケースもあり、専門家に相談することで適切な判断が可能だと考えられます。
過払い金請求を検討する際は、自身の状況をしっかり把握し、リスクとメリットを十分に理解した上で慎重に進めることが重要です。
出典
e-Gov法令検索 利息制限法(昭和二十九年法律第百号) 第一条
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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