私大進学のため「300万円」の奨学金を借りた息子。内定先が奨学金を“肩代わり”してくれるそうですが、「退職できない」などの問題点はあるのでしょうか…?
しかし、最近では会社が新入社員の代わりに奨学金を返済するケースも増えています。
本記事では、会社が奨学金を返済する制度にはどのようなメリットがあるのか、利用するにあたって押さえておきたい注意点などについて解説します。興味を持った人は、ぜひ最後までご覧ください。
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奨学金返還支援制度とは
奨学金返還支援制度とは、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)が提供している貸与奨学金を利用していた従業員に対して、会社が代理で返還金額の一部、または全額を返還する制度のことです。
奨学金代理返還制度とも呼ばれており、最近では福利厚生の1つとして導入している会社も増えています。奨学金返還支援制度を採用している代表的な会社として、株式会社ミカサやマニー株式会社などの名前が挙げられます。
奨学金返還支援制度のメリット
以下では、奨学金返還支援制度を利用するメリットについて解説します。
経済的な負担が減る
奨学金返還支援制度を利用する最大のメリットとして、経済的な負担の軽減が挙げられます。奨学金の月々の返済金額は借入金額や返済方法などによって異なりますが、労働者福祉中央協議会が2018年に行った調査によると平均1万6880円です。
そして、厚生労働省の令和5年賃金構造基本統計調査によると、20代前半の男女の平均月収は22万8700円ですが、この金額は所得税や住民税が控除される前のもので、実際の手取りはこの金額の8割ほどです。そこから1万6880円を必ず返済するのですから、経済的にかなり苦しいと感じる人は多いのではないでしょうか。
しかし、奨学金返還支援制度を利用すれば、自由に使えるお金が増え生活が安定します。経済的な不安がなくなれば、自己啓発にも集中して取り組めるなど、キャリア形成もスムーズになる可能性があります。
地元へのIターン・Uターンが現実的な選択肢に
地元へのIターンやUターンを選択しやすくなるのも、奨学金返還支援制度を利用するメリットです。奨学金利用者のなかには、奨学金を返済するために比較的給与水準が高い都市部の企業へ就職する人がいます。
奨学金返還支援制度を利用すれば、IターンやUターンが選びやすくなります。地方自治体のなかには、若者のIターンやUターン促進を狙い、奨学金返還支援制度を利用する企業を積極的に紹介、および支援しているケースも多いです。
奨学金返還支援制度の注意点
経済的な負担の軽減をはじめ、さまざまなメリットが存在する奨学金返還支援制度ですが、もちろん利用するにあたって注意すべきポイントも存在します。具体的な注意点は、以下のとおりです。
適用条件を確認する
奨学金返還支援制度を利用するために必要な、適用条件をチェックしましょう。会社によって、奨学金返還支援制度の適用条件は異なっています。
例えば、奨学金返還支援制度の適用対象は基本的に正社員ですが、一定の条件を満たしたアルバイトを対象に含めているケースもあります。そのほかにも、支援対象となる助成金の種類や支援金額、支援してもらえる期間などの情報は、必ず確認しておきましょう。
勤務義務の有無を確認する
奨学金返還支援制度を利用する条件として、一定期間の勤務義務がないか注意してください。転職や退職が制限されると、将来のキャリア形成にも影響が出かねません。
勤務義務に関する記載や説明がない場合は、必ず人事に確認しておきましょう。
奨学金返還支援制度は十分信頼できる制度
奨学金返還支援制度は、福利厚生の一種としてさまざまな会社で採用されています。そのため「何かしら裏があるのではないか」と極度に心配する必要はありません。
ただし、なかには制度を悪用し、退職や転職の自由を奪おうとする会社が存在する可能性もあります。入社前に適用条件を確認し、信頼に値する会社か否か、しっかり判断することが大切です。
出典
厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査の概況
労働者福祉中央協議会 「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査」調査結果の要約
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー