タンス預金の「300万円」を使って住宅ローンの繰り上げ返済をしようと思います。タンス預金を使った場合、税務署から指摘を受けることはありますか?

配信日: 2025.03.09 更新日: 2025.03.11

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タンス預金の「300万円」を使って住宅ローンの繰り上げ返済をしようと思います。タンス預金を使った場合、税務署から指摘を受けることはありますか?
タンス預金のあるご家庭は、少なからずいるようです。まとまった額のタンス預金を使って、住宅ローンの返済をしようとした場合、税務署から指摘を受ける可能性はあるのでしょうか。本記事で解説します。
小山英斗

執筆者:小山英斗(こやま ひでと)

CFP(日本FP協会認定会員)

1級FP技能士(資産設計提案業務)
住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
未来が見えるね研究所 代表
座右の銘:虚静恬淡
好きなもの:旅行、建築、カフェ、散歩、今ここ

人生100年時代、これまでの「学校で出て社会人になり家庭や家を持って定年そして老後」という単線的な考え方がなくなっていき、これからは多様な選択肢がある中で自分のやりたい人生を生涯通じてどう実現させていくかがますます大事になってきます。

「未来が見えるね研究所」では、多くの人と多くの未来を一緒に描いていきたいと思います。
https://miraiken.amebaownd.com/

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タンス預金とは?

タンス預金は、自宅などで保管しているまとまった現金のことです。「タンス」預金と呼ばれていますが、タンスにしまっているものだけでなく、机の引き出しや金庫、床収納や屋根裏などに保管しているまとまった現金全てを指します。
 
正式な統計データはありませんが、日本銀行や民間調査機関などが発表するデータから、タンス預金の合計額は約60兆円前後あると推計されています。1世帯当たりの額に換算すると、約100万円強となります。
 
令和6年7月3日の新紙幣の発行に伴い、タンス預金は減少傾向にあるともいわれています。新紙幣が発行されても旧紙幣は使えますが、旧紙幣で保管していたタンス預金を金融機関に預けたりする人も、一定数はいるのかもしれません。
 

タンス預金のメリット

タンス預金としてお金を自宅で保管するメリットには、次のようなものがあります。
 

・好きなときにお金を使える
・他人に知られずにお金を保管できる
・金融機関にトラブルがあっても影響を受けない

 
タンス預金を用意しておくと、急にお金が必要になったときでも安心です。とはいえ、今はATMの24時間稼働や、キャッシュレス決済などが進んでいます。手元にお金がなくても、お金の用意に困るケースは以前より減っているかもしれません。
 
なお、他人に知られずに保管できるタンス預金ですが、その存在を知らせないうちに保管していた本人が亡くなった場合は、相続でトラブルなどが起きる可能性があることに、注意が必要です。
 

タンス預金のデメリット

一方で、タンス預金のデメリットには、次のようなものがあります。
 

・銀行預金のような利息が付かない
・保管した場所を忘れた場合に、見つけることができない可能性がある
・火事や盗難などで失ってしまうリスクがある

 
銀行の定期預金などに預けておけば、利息を得られたり、火事や盗難などお金を失うリスクを減らしたりすることもできます。
 
なお、金融機関の破綻があった場合でも、預金保護制度によって、預金元本1000万円と破綻日までの利息は保証されます。自宅で保管するタンス預金は、そのような銀行に預けておけば得られるメリットを放棄しているともいえます。
 

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なぜ税務署はタンス預金の存在が分かるの?

タンス預金の存在が税務署に知られるのは、相続税の税務調査が実施されたときが多いようです。国税庁の「令和5事務年度における相続税の調査等の状況」によれば、相続税の税務調査では申告漏れ相続財産のうち「現金・預貯金」が全体の3割ほどを占めており、額にして825億円にものぼっています(図表1)。
 
図表1

図表1

出典)国税庁「令和5事務年度における相続税の調査等の状況」
 
人が亡くなって死亡届が出されると、そのことは税務署にも自動的に通知されます。税務署は、全国の国税局と税務署をネットワークで結んだ国税総合管理システム(KSKシステム)をもとに、亡くなった人の過去の税関連情報から、おおよその保有資産や収入を把握することができます。
 
相続税の申告の際、税務署が把握している資産などと比べて明らかに申告額が少ない場合は、タンス預金といった申告漏れの資産の存在を疑い、税務調査が実施されるわけです。
 

300万円のタンス預金で、住宅ローンの繰り上げ返済をした場合

300万円程度のタンス預金で、住宅ローンの繰り上げ返済をしたからといって、税務署からの指摘が入る可能性は、基本的には低いでしょう。人が亡くなり相続税の申告が必要になる場合などと違って、住宅ローンの繰り上げ返済そのものでは税金の発生が起きないからです。
 
ただし、注意が必要なのは、住宅ローンの繰り上げ返済をタンス預金でする際には、一度、銀行口座への入金が発生することです。
 
額の大きさにもよりますが、一度に多額のお金が入金され、過去にもそのような入金履歴がないような場合、金融機関が不審な取引を疑ったり、税務署が関心を持ったりする可能性もゼロではないかもしれません。
 

税務署から指摘を受けないようにするためには

一度に大きなお金を口座に入金する場合、税務署などから指摘を受けないようにするためには、お金の出どころを証明できるようにしておきましょう。その証明ができない場合、「相続税や贈与税の対象となるべきお金ではないか」と疑われる可能性があります。
 
出どころ不明のお金として疑われないようにするためには、例えば、給与や賞与からの一部をタンス預金にしていたものであることについて、過去の給与明細や源泉徴収票、口座の取引記録などから整合性の取れた説明ができれば問題ありません。
 
また、過去に相続や贈与で得たお金であれば、そのときの申告書類などをしっかり保管しておきましょう。
 

まとめ

タンス預金を住宅ローンの繰り上げ返済に使ったからといって、税務署から指摘を受ける可能性は、基本的には低いといえるでしょう。ただし大事なのは、タンス預金の出どころを説明できるようにしておくことです。
 

出典

国税庁 令和5事務年度における相続税の調査等の状況
財務省 国税総合管理(KSK)システムの概要
 
※2025/3/11 執筆者を修正いたしました。
 
執筆者:小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)

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