高校生の娘が海外留学したいと言っています。日本で申し込める「返済不要」の奨学金はありますか?

配信日: 2025.03.17

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高校生の娘が海外留学したいと言っています。日本で申し込める「返済不要」の奨学金はありますか?
海外の大学で学びたいけど学費や生活費が心配という方は少なくないと思います。この記事では日本で申し込める日本学生支援機構(JASSO)の海外留学支援制度(給付型)について解説します。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

米国留学費用の概要

米国スカラーシップ協会日本事務局の資料によると、大学により授業料・寮費・食費の総額は異なりますが、大学では一般的には、2万5000ドルから4万5000ドルが総額の平均です。
 
大学によって給付条件は違いますが、奨学生に採用されれば、年間に1万2000ドルから2万5000ドル程度の奨学金が支給されます。大学の奨学金を受給できれば授業料・寮費・食費の総額の半分程度は奨学金で賄うことが可能です。
 
授業料・寮費・食費以外に、テキスト代実費(年間約8万円~12万円)、海外旅行傷害保険料(年間約16万円)、航空券代、お小遣い、夏休みや冬休み期間中の生活費などが必要です。
 

JASSOの海外留学支援制度(協定派遣)

海外留学支援制度(協定派遣)は、日本の大学、大学院、短期大学、高等専門学校、または専門課程を置く専修学校が、諸外国および諸地域の学校、または研究機関と学生交流に関する協定等に基づき、日本の大学等に在籍したまま8日以上1年以内の期間、派遣するプログラムを実施する場合に、そのプログラムに参加する日本人学生等に対して留学費用の一部を奨学金や渡航支援金として支援する制度です。
 
2024年度の支援内容としては、奨学金は月額6万円~10万円(派遣先の国・地域によって異なります)、および渡航支援金16万円(一定の家計基準を満たす者)もしくは13万円(一定の派遣期間を満たす者)となります。
 
参加できるプログラムの詳細は、在籍校にお問い合わせください。
 

JASSOの海外留学支援制度(学部学位取得型)

海外留学支援制度(学部学位取得型)は、高校卒業後、海外の大学に進学して学士(Bachelor)の学位取得を目指す生徒を対象に返還不要の奨学金を支給する制度です。
 
2024年度の支援内容としては、奨学金は月額12万4000 円~32万6000 円(派遣先の国・地域によって異なります)、および新規採用者に対しては、支援開始時に渡航支援金16万円となります。支援期間は原則4年間です。
 

JASSOの海外留学支援制度(大学院学位取得型)

海外留学支援制度(大学院学位取得型)は、修士(Master)または博士(Doctor)の学位取得を目指し、海外の大学院に留学する学生等を対象に返還不要の奨学金を支給する制度です。
 
2024年度の支援内容としては、奨学金は月額15万4000 円~35万6000 円(派遣先の国・地域によって異なります)、および新規採用者に対しては、支援開始時に渡航支援金16万円となります。支援期間は「修士」の学位取得コースが2年、「博士」の学位取得コースが原則3年です。
 
海外留学支援制度(学部学位取得型および大学院学位取得型)は、2つのタイプとも、応募資格として、「国費による本制度の支援を受けて、自身が留学で得た経験や成果を将来にわたって日本社会に還元し、国や社会に貢献する者で、かつ機構が依頼する各種イベントへの参加、書籍への執筆、調査等に協力する者」などとなっています。
 
なお、以前は授業料の補助がありましたが2024年度からなくなりました。
 

トビタテ!留学JAPAN 新・日本代表プログラム

トビタテ!留学JAPANは、意欲と能力あるすべての日本の大学生や高校生が、海外留学に自ら一歩を踏み出す機運を醸成することを目的とした官民協働のもと社会総掛かりで取り組む「留学促進キャンペーン」です。高校生等向けのプログラムと大学生等向けのプログラムがあります。
 
留学計画の内容により、高校生等向けのプログラムでは、「マイ好奇心探究コース」「社会課題探究コース」「STEAM探究コース」および「スポーツ・芸術探究コース」から、大学生等向けのプログラムでは、「イノベーターコース」「STEAMコース」および「ダイバーシティコース」から選んで応募します。
 
返済不要の奨学金等の支給額は、留学先国・地域および留学期間、一定の家計基準内かどうかにより異なります。
 
奨学金は月額12万円または16万円(留学地域によって異なる)、留学準備金15万円(アジア地域)または25万円(その他の地域)、授業料30万円(高校生等向けは月額で支給する奨学金に含む)となっています(2025年度)。
 
また、留学準備金は、円安や急激な物価高騰を鑑み、上記の支給金額に加えて「アジア地域」は 6万円、「その他の地域」は 10万円を増額して支給します。
 
先に説明した海外留学支援制度よりも幅広い学生が利用できます。海外留学だけでなく、海外でのインターンシップやボランティアも支援対象です。
 
留学プランを自分で設計して世界中の幅広い地域から自分の興味や専攻に合った留学先国・地域を選べます。留学前後には研修もあります。成績や語学力も不問なので、ぜひチャレンジしてください。
 

その他

上記以外にも海外留学生向けの返還不要の奨学金は、大学や自治体、民間団体などにあります。
 
民間団体の奨学金には、「柳井正財団 海外奨学金プログラム」「笹川平和財団スカラシップ」「グルー・バンクロフト基金奨学金」「松下幸之助国際スカラシップ 日本人留学助成」などの制度があります。
 

出典

米国スカラーシップ協会 日本事務局
文部科学省 トビタテ!留学JAPAN
一般社団法人海外留学協議会
日本学生支援機構 海外留学のための奨学金
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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