「バリバリ働いて、4600万円の住宅ローンを50歳で完済!」→それ、本当に大丈夫?「繰上げ返済の落とし穴」を、元不動産営業マンが解説します
配信日: 2025.04.06 更新日: 2025.04.07

本記事では、元不動産営業マンの筆者の視点から、住宅ローン繰上げ返済のメリット・デメリットを解説し、特に慎重に判断すべきポイントについて説明します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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繰上げ返済とは
繰上げ返済とは、住宅ローンの元本を予定より早く返済することによって、利息の支払いを減らす方法を指します。
繰上げ返済には、「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があり、それぞれの特徴に応じて選ぶことができます。金融機関によっては両方組み合わせられる場合もあるため、自分に合った方法を選ぶと良いでしょう。
期間短縮型
毎月の返済額に加え、まとまった金額を返済する方法です。ローンの返済期間を短縮できるため、早期に完済でき、支払う利息を減らせます。
返済額軽減型
繰上げ返済を行うことで元本を減らし、毎月の返済額を減少させる方法です。返済期間はそのままで、月々の負担を軽減できます。
50歳で住宅ローンを完済したいという目的がある場合、期間短縮型を選ぶことで、残りの返済期間を短縮することが可能です。
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期間短縮型繰上げ返済のメリット
●利息を減らせる
●精神的な負担がなくなる
●毎月返済予定だったお金を資産運用などに回せる
期間短縮型繰上げ返済の最大のメリットは、支払う利息の削減です。
例えば、35歳で4600万円の住宅ローンを組み、35年間の返済プラン(元利均等方式、固定金利1.4%)を選んだ場合、返済総額は約5821万円になります。しかし、仮に15年目に残債2899万円を一括で繰上げ返済した場合、返済総額は約5395万円となり、約426万円の利息分を節約できます。
また、早期に完済すれば、ローンの精神的な負担から早く解放されるでしょう。さらに、毎月の返済分を資産運用や老後資金に回せるため、将来のライフプランに余裕が生まれます。
家族構成によっては繰上げ返済を避けたほうがいい
繰上げ返済を避けたほうがいいケースを理解するためには、そのデメリットを把握することが重要です。主なデメリットには以下の点が挙げられます。
住宅ローン控除が受けられなくなる
住宅ローン控除は、ローン残高に応じて税額控除を受けられる制度です。最大13年間適用されますが、繰上げ返済を行ってローンを完済すると、その後の控除は受けられなくなります。
団体信用保険の保障がなくなる
住宅ローン契約時には、万一のリスクに備えて団体信用生命保険(団信)に加入することが一般的です。団信は、契約者が死亡または高度障害になった場合に保険金が支払われ、残りの住宅ローンが完済される仕組みです。
万一の場合でも、住宅ローンの負担が残らない仕組みが整っています。そのため、手元資金がなくなるリスクを避けるためにも、団体信用生命保険を活用することは賢明といえます。
手元の資金が減り将来の支出に影響する
繰上げ返済にまとまった資金を充てると、教育費や医療費、車の購入、リフォーム資金など、将来の支出や急な出費に対応する余裕がなくなる恐れがあります。
これらを踏まえると、子育て世代は繰上げ返済を避けたほうが良い場合もあります。教育費や物価高などを考慮すれば、手元資金の確保を優先するほうが安心です。さらに、万一契約者がローン返済中に亡くなった場合でも、団信によって残債は完済されるため、無理に返済を急ぐ必要はありません。
まとめ
早期にローンを完済したいという気持ちは理解できますが、特に家族を養っている場合、不測の事態に備えることも重要です。繰上げ返済にはデメリットもあるため、慎重に判断する必要があります。
不動産営業マンとして多くの相談を受けてきましたが、一概に「繰上げ返済=得」とは言い切れません。無理に返済を進めるよりも、将来の備えを優先し、資金に余裕を持たせることが大切です。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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