【奨学金】40代でも「月1万7000円」の返済地獄、残ったのは“大卒の肩書”だけ…手取り23万円で「結婚もマイホームも諦めました」正社員でも返せない“隠れ借金の末路”とは

配信日: 2026.03.24
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【奨学金】40代でも「月1万7000円」の返済地獄、残ったのは“大卒の肩書”だけ…手取り23万円で「結婚もマイホームも諦めました」正社員でも返せない“隠れ借金の末路”とは
「大学さえ出れば、なんとかなる」 親も教師もそう言いましたし、自分もそう信じて疑いませんでした。しかし、40歳を迎えた今、私の手元に残ったのは「大卒」という肩書と、毎月27日に口座から容赦なく引き落とされる「1万7000円」の返済通知だけです。
 
手取り23万円の給与から、息をするように消えていくお金。これは、私1人だけの話ではありません。今、ミドル世代を静かに、しかし、確実にむしばんでいる「終わらない奨学金返済」のリアルをお伝えします。
西村和樹

2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、第一種/第二種電気工事士、医療情報技師、2級ボイラー技士、ボイラー整備士

「平均345万円」の借金を背負って社会へ

大学進学に際し奨学金を利用した者は、社会人になった瞬間、マイナスからのスタートを強いられます。労働者福祉中央協議会の2024年の調査によると、奨学金の平均借入総額は344万9000円(中央値312万1000円)で、毎月の平均返済額は約1万6000円から1万7000円にものぼります。
 
私立大学や自宅外通学であれば、借入額が400万円、500万円を超えることも珍しくありません。その場合、毎月の返済額は軽く1万7000~2万円を超えてきます。手取り20万円台の若手社員にとって、家賃や光熱費を払った後に残るこの「固定費」がどれほど重いか、想像に難くないのではないでしょうか。
 
さらに恐ろしいのは、その期間の長さです。日本学生支援機構(JASSO)の規定では、借入額が300万円から400万円の場合、返済期間は最長20年(240回)に設定されます。
 
22歳で卒業してストレートに返し続けても、完済は42歳になります。少しでも猶予を利用したり、大学院に進学したりしていれば、40代半ばになっても返済が終わらないのは「当たり前」の現実なのです。
 

正社員でも「返せない」異常事態

「返せないのは、定職に就いていないからだろう」というのは大きな誤解です。日本学生支援機構(JASSO)が2026年1月に公表した最新の「令和6年度奨学金の返還者に関する属性調査結果」を見てください。
 
図表1にあるように、奨学金を延滞している人の職種を見ると、「正社員・従業員」が最も多く46.2%を占めています。
 
図表1

図表1

日本学生支援機構 令和6年度奨学金の返還者に関する属性調査結果より作成
 
非正規雇用(27.4%)や無職(13.2%)よりも、毎日フルタイムで働いている正社員のほうが、返済に行き詰まっている現実があります。上がらない給料、容赦なく引かれる社会保険料、そして物価高。真面目に働いている人間ほど、「生活費で精いっぱいで、奨学金まで手が回らない」という泥沼に陥っているのです。
 

「結婚も家も無理」人生設計を破壊する隠れ借金

この「毎月1万7000円」は、単なる出費以上の意味を持ちます。それは、人生の選択肢を奪う「呪い」なのです。
 
婚約者がいたある40代男性は、結婚直前に奨学金の残債が200万円以上あることが発覚し、破談になったといいます。相手の親から「借金がある人とは結婚させられない」と猛反対されたそうです。奨学金は「教育のための投資」という美名で語られるが、金融機関や世間から見れば、まぎれもない「借金」なのです。
 

住宅ローン審査でバレる「信用情報の傷」

マイホームの夢も、容赦なく打ち砕かれます。住宅ローンの審査では、奨学金の返済状況も厳しくチェックされるためです。もし過去に返済を延滞し、いわゆる「ブラックリスト(個人信用情報機関)」に登録されていれば、審査に通ることは絶望的となります。
 
延滞していなくても、年間20万円(月約1万7000円)の返済があるだけで、借りられる住宅ローンの額は数百万円単位で減らされます。「奨学金のせいで家が買えない」と気づいたときには、もう手遅れなのです。
 

「知らなかった」では済まされない救済制度

最も悔やまれるのは、多くの人が「救済制度」を知らないまま延滞に陥っていることです。JASSOの同調査によると、延滞者の約半数が、督促を受けるまで「減額返還制度」や「返還期限猶予制度」の存在を知らなかったと回答しています。
 
役所や機構からの通知は、専門用語が多く難解です。日々の仕事に追われ、疲れた頭で封筒を開ける気になれず、そのまま放置してしまうこともあるでしょう。そしてある日突然、給与差し押さえの通知が届きます。これが、40代で奨学金破産する人の典型的なパターンです。
 
もし今、返済が苦しいと感じているなら、決して放置してはいけません。「手取りが少ないから仕方ない」と諦める前に、すぐに日本学生支援機構に相談してください。その1本の電話が、あなたの人生と家族を守る最後のとりでになるかもしれないのです。
 

出典

労働者福祉中央協議会 【高等教育費や奨学金負担に関するアンケート2024】全国3,000人を対象に調査 ― 半数以上が高等教育費への公費負担拡充求める
独立行政法人日本学生支援機構 令和6年度奨学金の返還者に関する属性調査結果
 
執筆者 : 西村和樹
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、第一種/第二種電気工事士、医療情報技師、2級ボイラー技士、ボイラー整備士

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