住宅ローン「4000万円」に“100万円の繰り上げ返済”を勧めたら、夫から「団信あって金利0.6%なのに損」と返答が…今後“金利が上がる”なら、早めに返したほうがいいですよね?
2016年、日本銀行は「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を導入しました。その時期の住宅ローンを組んだ人は、低い金利で借り入れることができたのです。
例えば、変動金利0.6%という水準は超低金利時代の産物で、ローンを借りたまま投資に回したほうが得という考え方もあるでしょう。そのため、そう言われるとなんとなく納得してしまいそうになるのも無理はありません。
そもそも繰り上げ返済には2つの種類があり、やり方次第で効果はまったく異なります。
本記事では、繰り上げ返済の2種類の解説と、100万円を入れた場合の削減効果をそれぞれ試算します。また、団信との関係や、繰り上げ返済すべき人、しなくていい人の判断軸も解説するので、ご自身の状況に合わせて検討してみてください。
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種
銀行にて12年勤務し、法人および富裕層向けのコンサルティング営業に従事。特に相続対策や遊休地の有効活用に関する提案を多数手がけ、資産管理・税務・不動産戦略に精通。銀行で培った知識と経験を活かし、収益最大化やリスク管理を考慮した土地活用のアドバイスを得意とする。
現在は、2社の経理を担当しながら、これまでの経験をもとに複数の金融メディアでお金に関する情報を発信。実践的かつ分かりやすい情報提供を心がけている。
繰り上げ返済には2種類ある
繰り上げ返済とは、毎月の返済とは別に元本の一部、もしくは全額を前倒しで返す方法です。繰り上げ返済には、大きく2つの種類があります。
1つ目は返済期間短縮型で、返済期間を短くする方法です。仮に6ヶ月分の返済をした場合、返済期間が6ヶ月短くなるイメージです。繰り上げた分だけ元本が先に減るため、利息の削減効果が大きくなります。
2つ目は返済額軽減型で、返済期間を変えずに、毎月の返済額を少なくする方法です。月々の家計負担が減る一方、利息の削減効果は期間短縮型より小さくなります。
100万円繰り上げ返済するといくら削減できる?
借入額4000万円で変動金利0.6%、返済期間35年の住宅ローンを、返済開始5年後に100万円を繰り上げ返済した場合で試算してみましょう。
・返済期間短縮型の場合
返済期間が約11ヶ月短縮され、利息の削減額は約19万3000円です。
・返済額軽減型の場合
毎月の返済額が約3000円減少し、利息の削減額は約9万3000円です。返済期間短縮型と比べると削減効果は約10万1000円少なくなります。
どちらが正解かは家庭の状況によりますが、とにかく総支払額を減らしたいなら返済期間短縮型、今の家計を少し楽にしたいなら返済額軽減型という選び方となります。
「団信があれば安心」は本当か? 繰り上げ返済の判断基準
団体信用生命保険(団信)とは、ローン返済中に契約者が死亡または高度障害状態になった場合などに、残債が免除される保険です。万一の際には大きなセーフティーネットになるものの、適用されるのは契約内容にもよりますが、あくまで限定的なケースです。
また、借り入れ当初の変動金利0.6%が今後も続くとは限りません。日本銀行は2024年にマイナス金利政策を解除しており、今後も金利が変動する可能性があります。元本を早めに減らしておくことは、金利上昇リスクへの備えになります。
手元に生活費6ヶ月分以上の余裕資金があり、定年前の完済や教育費ピークへの備えを考えているなら、繰り上げ返済は有効な選択肢です。一方、NISAなどで年利3~4%以上の運用ができている場合は、利息削減効果を運用益が上回るケースもあり、必ずしも急ぐ必要はないでしょう。
まとめ
繰り上げ返済は損か得かの二択ではなく、今の家計と将来のリスクをどう管理するかという問題です。
100万円を返済期間短縮型で繰り上げると約19万3000円の利息が消えます。また、元本が減ることで金利上昇への耐性も高まるため、今後金利が上昇すればそれ以上の効果が期待できるでしょう。
手元資金に十分な余裕があるなら、繰り上げ返済は有効な選択肢の1つです。団信があるから大丈夫という安心感は大切ですが、それは万一のときの話です。日々の返済を確実に続けるためにも、元本を計画的に減らす視点は持っておいてください。
執筆者 : 竹下ひとみ
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種