「住宅ローンの変動金利」が“1%近く”上がります。「繰り上げ返済よりNISAにお金を使うほうが得」と聞きましたが“残り20年・2000万円”の場合、どちらが正解ですか? 返済額・資産額を比較
一方、世間では「NISAで運用したほうが得だ」といった声も多く、手元の資金をローンの繰り上げ返済に回すべきか、それとも投資に回すべきか迷う人は少なくありません。
本記事では、ローン残高が2000万円、残りの返済期間が20年ある状況において、繰り上げ返済を急ぐのか、それともNISAで資産運用をしたほうがよいのか、どちらの選択が家計にとって有効なのかを検証します。
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目次
金利が1%上昇すると返済額はどれくらい増える?
まずは、変動金利が1%上昇した場合の家計への影響を見てみましょう。ローン残高が2000万円(元利均等返済・ボーナス払いなし)で、残りの返済期間が20年(240ヶ月)とします。
現在の金利が仮に「0.5%」だった場合、毎月の返済額は約8万8000円です。ここから金利が1%上昇して「1.5%」になると、毎月の返済額は約9万7000円へと跳ね上がります。毎月9000円前後の負担増です。
毎月の返済額が9000円増えた場合、20年間では「9000円×12ヶ月×20年=216万円」となり、家計への負担は決して小さくありません。実際の増加額は返済方式や金利の見直しルールによって異なりますが、金利上昇が長期的な支出増につながることは確かです。
NISAの「年利5%」で得られる期待値は?
「NISAでお金を増やして金利上昇分をカバーすればよいのでは」と考える人もいるかもしれません。確かに、NISAを活用して株式や投資信託で運用した場合、長期的には年利5%程度のリターンが期待できるという考え方があります。
例えば、繰り上げ返済をしたつもりで、「年間50万円」をNISAのつみたて投資枠に回し、年利5%で20年間運用できた場合のシミュレーションをしてみましょう。
年間50万円(毎月約4万1660円)を20年間積み立てると、投資する元本の総額は1000万円になります。これを年利5%で複利運用できた場合、20年後の資産総額は約1691万円にまで膨らむ計算です。
つまり、投資による運用益だけで691万円ほどの利益が出ることになり、先ほどの金利上昇による約216万円の負担増を差し引いても、手元には約475万円ものお金が残る計算です。
見落としてはならない「確実性」の違い
ここで注意したいのは「確実性」の違いです。手元の資金を住宅ローンの繰り上げ返済に充てた場合、その金額に対して将来支払う予定だった利息を確実に減らせます。
金利が上昇して1.5%になった場合でも、繰り上げ返済することは実質的に「年利1.5%・非課税・元本保証」の金融商品でお金を運用したのと同じ効果を生み出します。1.5%のマイナス(利息負担)を確実に消し去ることで、安全でリターンが確定している資産防衛策となるのです。
一方、NISAで投資した場合の年利5%はあくまでも過去の実績を参考にした期待値であり、今後20年の間にはリーマンショックやコロナショックの際のような、世界的な大暴落が起きる可能性はゼロではありません。運悪く、自分の資産が必要な時期に相場が低迷していれば、元本割れを起こしてしまうリスクがあります。
繰り上げ返済しているつもりでNISAに3万円投資したら?
毎月4万円(年間50万円)を繰り上げ返済しているつもりで、返済増額(9000円)分として1万円をローンの支払いに充て、残りの3万円をNISAで20年間運用する、「ハイブリッド型」を行った場合を想定してみましょう。
月3万円を年利5%で20年間運用すると、元本720万円に対して資産総額は約1217万円となり、利益は約497万円に達する計算です。もし、年利3%だったとしても資産は981万円となり、261万円がプラスになります。
これなら、金利上昇の負担増である216万円を投資の利益で少しでもカバーしつつ、家計の守りと攻めを同時にかなえる、スマートな方法です。
繰り上げ返済と資産運用を適切に組み合わせよう
ローン残高が2000万円、残り期間は20年の状況で変動金利が1%上昇した場合、毎月の返済額が9000円前後増加するケースもあり、長期的には大きな負担増につながる可能性があります。
NISAでは年利5%程度の運用益を期待できますが、投資には価格変動リスクが伴います。一方、繰り上げ返済は将来の利息負担を確実に軽減できる点が大きな魅力です。
どちらが正解かは、家計の状況や資産形成の目的によって異なります。教育費や生活資金を十分に確保したうえで、繰り上げ返済と資産運用を適切に組み合わせることが、金利上昇局面を乗り切るための現実的な選択肢といえるでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
