来年、子どもが大学進学を目指しています。学費を調達する方法には奨学金と教育ローンがあると思いますが、どちらを選ぶのがいいでしょうか?
本記事では、教育資金を調達する際に最も利用されている独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の奨学金と日本政策金融公庫の国の教育ローンについて、その主な特徴や利用条件などについて確認していきます。
ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
奨学金と教育ローンの主な違い
以下、奨学金については、JASSOの有利子である貸与奨学金(第二種奨学金)を事例として、国の教育ローンについては、日本政策金融公庫の国の教育ローン(教育一般貸付)を事例とします。
両者については、教育資金を調達するためにお金を借りて、利子(利息)を付して返還(返済)する点に関しては共通です。主な違いとしては、以下のようなものがあります。
(1)借りる人(債務者)が違う
奨学金は、学校に通う学生本人が債務者となり、人的保証を選ぶ場合は、原則として父母等が連帯保証人となります。
学校在学中(在学中は無利子)には奨学金の貸与を受け、卒業後の返還時には、貸与総額に利子を加えた額を返還していく必要があります。
一方、教育ローンは、審査において世帯年収などが条件とされるため、保護者が債務者となります。
(2)金利(利率)の決定時期が違う
奨学金の利率は、貸与開始月ではなく、貸与終了月に利率が決定します。つまり、来年大学に入学される子どもの利率は、本人が卒業するまで分からないことになります。
ちなみに、令和8年6月度の利率は、利率固定型(利率を返還完了まで固定)で2.922%、利率見直し型(利率をおおむね5年ごとに見直し)で1.900%となっています。
一方、教育ローンは、固定金利のため、貸付開始時の金利が適用されます。ちなみに、令和8年7月1日現在の金利は、年4.05%(固定金利・保証料別)となっています。
(3)返還(返済)開始時期が違う
前述の金利の決定時期と同様に、返還(返済)開始時期も異なります。奨学金は、卒業後に返還が開始されます。つまり、本人が働いて奨学金を返還していくことになります。
一方、教育ローンは、借入日の翌月または翌々月の返済希望日から返済が開始されます。返済方法には、元利均等返済のほか、子どもが在学中は利息のみの支払いとする元金据置が選択できます。
奨学金と教育ローンの利用条件など
貸与型奨学金には、第一種奨学金(無利子)、第二種奨学金(有利子)があり、本人の学力基準(成績)や家計基準(世帯収入)が定められています。
つまり、誰でも必ず利用できるわけではなく、審査に通らないと選択できないことになります。
ただし、元々が経済的に苦しい家庭の学生を支援するための制度のため、本人に学習意欲があり、所定の基準を満たすことで、第一種(無利子)奨学金や状況によっては、返還不要の給付型奨学金も利用できる場合があります。また、在学中は無利子となることも大きなメリットといえるでしょう。
一方、教育ローンの場合は世帯年収の基準が重視され、扶養している子どもの人数に応じて、申し込み可能な世帯年収(所得)の上限が変わります。
また、奨学金が原則、入学後に貸与されるのに対して、教育ローンは入学前にも借り入れの申し込みをすることができるため、入学金や授業料など入学前に準備すべき資金に充てることができるメリットがあります。
まとめ
それぞれの特徴を踏まえ、両者を使い分ける方法もひとつの選択肢といえるでしょう。例えば、入学金や1年目の前期授業料など入学前に必要なお金は、教育ローンによって準備し、学校に進学した後の学費などは奨学金でまかなうことも可能です。
ただし、貸与型奨学金は、本人が卒業後に返還していくという経済的負担を強いられることになります。両者の選択については、それぞれの家計の状況やしっかりとした制度への理解を深めたうえで判断する必要があります。
出典
独立行政法人日本学生支援機構 貸与奨学金(返済必要) 国内の奨学金
日本政策金融公庫 国の教育ローン
独立行政法人日本学生支援機構 第二種奨学金の利子と利率の算定方法
執筆者 : 高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
