結婚を控えた娘の奨学金が「200万円」残っています。夫は「親が払ってあげればいい」と言いますが、全額肩代わりしても問題ないのでしょうか?
しかし、子どもが返すべき奨学金を親が代わりに返すと、贈与税がかかる可能性があります。この記事では、奨学金返済の実態とともに、税金の注意点や援助方法を解説します。
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目次
奨学金200万円が残っていても珍しくない? 借入額と返済状況を確認
労働者福祉中央協議会(中央労福協)が公表している「高等教育費や奨学金負担に関するアンケート報告書」によると、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の貸与型奨学金を利用した人のうち、「返済している」と回答した人は60.3%でした。
「すでに終わった」は16.4%、「返還猶予制度利用中」は13.1%、「これから返済予定」は6.8%、「延滞中」は3.3%となっています。
30代までは返済中の人が約7割を占め、30代後半でも55.7%、40代前半でも42.5%です。そのため、結婚する年齢になっても奨学金を返済しているケースは珍しくありません。
借入額も小さくありません。同調査では、JASSOの貸与型奨学金の借入総額は「200万~300万円未満」が22.4%で最も多く、平均344.9万円、中央値312.1万円でした。今回のケースのように、娘に200万円残っていたとしても、借入額として極端に大きいとはいえないでしょう。
一方、返済が生活設計に影響することはあります。同調査では、奨学金返済が「貯蓄」に影響している人は62.3%でした。「日常的な食事」は47.5%、「結婚」は44.3%、「持家取得」は40.5%、「出産」は38.2%、「子育て」は37.0%です。
結婚後は引っ越しや家具・家電の購入などで支出が増えることもあります。奨学金の負担を減らせれば、その分を新生活や将来の貯蓄に回しやすくなるでしょう。
親が奨学金200万円を全額肩代わりすると贈与税がかかる可能性がある
注意したいのが贈与税です。国税庁によると、対価を支払わずに第三者から自分の債務を弁済してもらった場合、原則としてその利益を贈与によって取得したものとみなされます。
そのため、娘本人が返すべき奨学金200万円を親が無償で肩代わりすれば、200万円相当の贈与と判断される可能性があります。暦年課税では、1年間に受けた贈与について110万円の基礎控除があります。
仮に18歳以上の娘が親から200万円の贈与を受け、その年にほかの贈与がなかった場合、課税価格は「200万円-110万円=90万円」です。贈与税は9万円となります。
「奨学金は教育に関するお金なので非課税では?」と考える人もいるでしょう。確かに、扶養義務者から通常必要と認められる教育費を、その都度受け取って使う場合などは贈与税がかかりません。ただし、すでに借りた奨学金の返済まで当然に非課税になるとは限りません。
なお、娘が資力を失い、奨学金を返済することが困難な場合などには例外もあります。判断に迷ったときは税務署や税理士へ確認しましょう。
200万円を一括で払わず、複数年に分けて援助する方法もある
娘を支援したい場合、一度に200万円を肩代わりする必要はありません。例えば今年100万円、翌年100万円を贈与し、娘が奨学金の返済に充てる方法も考えられます。各年にほかの贈与がなければ、それぞれ110万円の基礎控除の範囲内です。
ただし、最初から「200万円を2年間で100万円ずつ渡す」と約束している場合などは、税務上の扱いが異なる可能性があります。単純に振り込みを分ければ必ず非課税になるわけではない点には注意しましょう。
また、結婚祝いなど別の贈与をする予定があれば、それらも含めて確認する必要があります。110万円の基礎控除は、贈与した親ごとではなく、娘が1年間に受けた贈与の合計額に対するものだからです。
JASSOでは、貸与終了後に奨学金の全部または一部を繰上返還することもできます。第二種奨学金では、繰上返還した期間に相当する利子はかかりません。まずは奨学金の種類や利率、残りの返還期間を確認し、どの程度援助するのがよいか家族で検討するとよいでしょう。
奨学金200万円を親が払うなら贈与税を確認してから援助しよう
奨学金の返済は、貯蓄や結婚など将来の生活設計に影響することがあります。親が返済を援助すれば、結婚後の娘の家計負担を軽減できるでしょう。
ただし、親が200万円を一括で肩代わりすると、贈与税の対象になる可能性があります。年間110万円の基礎控除を考慮し、複数年に分けて援助する方法なども検討しましょう。
まずは奨学金の残額や種類、利率、ほかの贈与の有無を確認することが大切です。税金について不明な点は税務署や税理士にも相談しながら、娘の新生活を無理なく支えられる方法を選びましょう。
出典
労働者福祉中央協議会 高等教育費や奨学金負担に関するアンケート報告書 2024年6月実施(89、90、96ページ)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4424 債務免除等を受けた場合
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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