近所で「新築戸建て」を買う30代夫婦をよく見かけます。住宅価格が高騰しているのに、みんなそんなに貯金や年収に余裕があるのでしょうか?

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近所で「新築戸建て」を買う30代夫婦をよく見かけます。住宅価格が高騰しているのに、みんなそんなに貯金や年収に余裕があるのでしょうか?
新築戸建ての価格が上がっている中、30代の夫婦が次々と住宅を購入しているのを見ると、「みんな何千万円も貯金しているのでは」と感じるかもしれません。しかし、住宅購入者の多くは住宅ローンを利用するため、家の価格と同額の預金を持っているわけではありません。
 
一方、最新のフラット35利用者調査では若い世代の利用が増え、平均世帯年収も上昇しています。住宅価格の上昇に対応するため、夫婦の収入を合わせて購入する世帯などがあると考えるほうが実態に近いでしょう。
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30代の住宅購入は珍しくないが、全員が高所得とは限らない

国土交通省の「令和7年度住宅市場動向調査」では、住宅ローンがある世帯の割合は注文住宅(新築)で79.4%、分譲戸建で66.8%、分譲集合住宅で55.9%であることが報告されています。
 
また、同調査によれば、土地購入を含む注文住宅(新築)の購入資金中央値5100万円のうち借入金は4490万円、分譲戸建住宅では4600万円のうち4000万円を借入金が占めます。
 
購入資金のすべてを自己資金で賄うケースは少なく、取得者の多くが住宅ローンなどの借入金を利用して資金を調達しているのが実態です。
 
住宅金融支援機構が2026年7月に公表した「2025年度【フラット35】利用者調査」では、利用者のうち30歳代が33.0%、30歳未満が12.1%でした。30歳代以下を合わせると45.1%です。30歳代以下の割合は、2024年度から4.9ポイントの増加です。
 
つまり、フラット35利用者に限れば、若い世代が大きな割合を占めています。
 
ただし、この数字から「30代はみんな裕福」と考えることはできません。
 
2025年度のフラット35利用者全体の平均世帯年収は716万円(前年比+47万円)でした。建て方別の平均世帯年収は、注文住宅で719万円(前年比+66万円)、建売住宅で680万円(前年比+54万円)です。
 
ここでいう世帯年収は、申し込み本人だけでなく、収入を合算した人がいる場合はその年間収入も含んだ数字です。
 
たとえば夫が年収430万円、妻が年収300万円なら世帯年収は730万円です。それぞれ一人だけを見ると特別な高所得者でなくても、夫婦の収入を合わせれば住宅ローンの検討ができる家庭があります。
 
したがって、近所の30代夫婦が新築を買っていても、「何千万円も現金で持っている」とは限りません。
 

建売住宅の平均所要資金は4215万円まで上がっている

住宅購入のハードルが上がっているという感覚には根拠があります。
 
住宅金融支援機構の同調査では、フラット35を利用した建売住宅の平均所要資金は2025年度で4215万円でした。前年度より389万円増えています。
 
土地付き注文住宅では5313万円(前年比+306万円)、注文住宅では4262万円(前年比+326万円)となっており、調査対象となったすべての住宅区分で平均所要資金が前年を上回りました。
 
国土交通省の不動産価格指数でも、2025年12月の全国の戸建住宅指数は121.9となっています。住宅価格が以前より高い水準にあることは、統計からもうかがえます。
 
それでも住宅を買える理由の一つが住宅ローンです。
 
たとえば4000万円の家を購入する場合でも、4000万円を現金で用意してから買うわけではありません。頭金と諸費用を用意し、残りを長期の住宅ローンで支払う方法があります。
 
先ほど確認した「住宅市場動向調査」の中央値をベースにみれば、注文住宅(土地購入新築)と分譲戸建住宅においては、約87~88%の資金が住宅ローンなど借入金で賄われています。親から資金援助を受ける家庭、共働き収入を前提に返済する家庭、車などほかの支出を抑える家庭など、資金計画もさまざまです。
 
外から新築住宅だけを見ても、その家庭の預金残高や毎月の余裕までは分かりません。
 

「買えた金額」ではなく「払い続けられる金額」で考える

周囲の家庭が次々に新築を買うと、「自分たちも今買わないと取り残される」と焦りやすくなります。しかし、住宅ローンで重要なのは、金融機関から借りられる金額より、家計から無理なく返せる金額です。
 
購入後には住宅ローンだけでなく、固定資産税、火災保険、修繕費なども必要です。一戸建てなら外壁、屋根、給湯器などを将来自分で修理する必要があります。
 
また、30代は子どもの教育費がこれから増える家庭も少なくありません。今の共働き収入だけを前提にぎりぎりの返済額を設定すると、育児休業、転職、病気などで収入が落ちたときに家計が苦しくなる可能性があります。
 
住宅価格が高い時期ほど、「周囲も買っている」という理由ではなく、自分の家計を基準に判断しましょう。
 
現在の家賃、毎月貯蓄できている金額、教育費、車の買い替え、老後資金まで一度書き出し、住宅購入後にも一定の現金を残せるか確認することが大切です。
 
新築にこだわらず、中古戸建てを選ぶ方法もあります。2025年度のフラット35調査では、中古住宅の利用割合が35.9%となり、調査開始以来初めて住宅区分の中で最も高くなりました。
 

まとめ

近所で新築戸建てを購入する30代夫婦が多く見えても、全員が多額の貯金を持つ高所得世帯とは限りません。
 
2025年度のフラット35利用者では30歳代以下が45.1%を占め、建売住宅利用者の平均世帯年収は680万円でした。一方、建売住宅の平均所要資金は4215万円まで上がっています。
 
この差を住宅ローンや夫婦の収入、貯蓄などを組み合わせて埋めながら購入している世帯があると考えられます。
 
住宅は「周囲が買っているから自分も買える」と判断できる商品ではありません。購入後の税金や修繕費まで含め、自分たちが長期間払い続けられる金額を確認しましょう。新築だけでなく中古住宅も比べれば、住宅価格が高い時期でも家計に合った選択肢を見つけやすくなります。
 

出典

国土交通省 令和7年度 住宅市場動向調査報告書
住宅金融支援機構 2025 年度【フラット35】利用者調査結果 ~中古住宅での利用割合が全融資区分の中で最多(2004 年度の調査開始以来初)~ (Press Realese)
国土交通省 不動産価格指数(令和7年12月・令和7年第4四半期分)を公表~不動産価格指数、住宅は前月比0.5%増加、商業用は前期比0.2%減少~
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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