更新日: 2020.09.02 住宅ローン

住宅ローンを借りる時に保証人は必須? 注意点を解説

住宅ローンを借りる時に保証人は必須? 注意点を解説
住宅ローンは借入金額が大きいことから、保証人が必要なのでは?と思っている方が多いと思います。結論からいうと、住宅ローンの借り入れは原則として保証人は不要となっています。
 
では、例外となるのはどのようなケースなのか、そもそも保証人とはどのような立場になるのかについて説明します。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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住宅ローンを借りる時は、原則保証人は不要

冒頭で述べたとおり、住宅ローンを借りる際は原則として保証人は不要です。銀行の住宅ローンを中心に、「連帯保証人」の代わりに「保証会社」を利用して住宅ローンを組むケースが主流となっています。
 
したがって、「保証会社」を利用して住宅ローンを組めるのであれば、原則として保証人なしでも住宅ローンを組むことができます。

ややこしい3つの違い

保証人には、「保証人」「連帯保証人」「連帯債務者」があります。それぞれの違いについてここで詳しく解説します。
 
■保証人
保証人とは、民法によれば「主たる債務者がその債務を履行しない場合に、その履行をする責任を負う者」と規定されています(民法446条)。
 
簡単にいえば、保証人とは、お金を借りた人がお金を返済しない場合に、その人に代わってお金を返済することを約束した人です。そして、保証人には代わりにお金を返すという責任だけでなく、以下にあげる3つの権利が与えられています。
 
1.催告の抗弁権
検索の抗弁権とは、保証人となった人が債権者(お金を貸した人)に、「主債務者(お金を借りた人)には取り立てることができる財産があるから、まずそちらから先に請求してください」と自分への請求を拒むことができる権利のことです。
 
ただこの権利は、債務者が破産していたり、行方不明になっていたりするような場合は主張できません。
 
2.検索の抗弁権
保証人が返済の依頼を受けた際、「債務者(お金を借りた人)が財産を持っていることを証明するので、そこから取り立ててほしい」という権利のことを言います。
 
つまり、債務者にお金があると証明することで、まずはその財産を差し押さえしないと保証人に対して弁済を求めない、ということになります。
 
3.分別の利益
「保証人が複数いる場合、保証人1人あたりの保証額は、全保証人の数で割った額が上限になる」というものです。具体的にいえば、もし1000万円の借金がある債務者に対し、10人の保証人がいたとします。
 
その場合、1000万円を10で割った100万円が、1人の保証人が負わなければならない保証額の上限になるということです。保証人にはこのような権利が認められています。
 
■連帯保証人
連帯保証人は、保証人が持つ、上記1・2の2つの抗弁権を持ちません。連帯保証人は、もしも貸主が借主の債務に対し、連帯保証人にその債務を請求してきた場合、即座にその請求に応じる必要があるのです。
 
また、3の「分別の利益」も連帯保証人には適用されません。連帯保証人は、保証人と比較すると、非常に重い責任を負うことになります。
 
■連帯債務者
連帯債務者とは、金融機関等の債権者に対して借り入れをする人(債務者)が複数おり、同じ内容の住宅ローン(債権)を一緒に返済する人のことを言います。この複数の債務者には、それぞれ独立した返済義務が発生します。
 
連帯債務では、一方が債務を完了するともう一方の債務も完了します。また、債権者は連帯債務者に対して、どのように返済を請求しても良いとされています。
 
例えば、夫婦で借り入れした場合、金融機関等は
(1)夫に対してだけ全額の返済を求める
(2)夫・妻ともに全額の返済、あるいはそれぞれに半額の返済を請求したりする
といったことも可能になるのです。

住宅ローンを借りる際、例外として連帯保証人や連帯債務者が必要となるケース

住宅ローンでは原則として保証人が不要ですが、以下のケースに当てはまる場合は、連帯保証人や連帯債務者が必要です。
 
1.収入合算により住宅ローンを組む場合
収入合算とは、本人の収入に配偶者や親などの収入を合算した金額をもとに1本のローンを組む方法をいいます。収入合算で住宅ローンを契約する場合、収入合算の対象となった配偶者もしくは親が連帯保証人となります。
 
2.ペアローンを組む場合
ペアローンとは、同一物件に対して、本人と一定の条件を満たす配偶者や親が自分の収入を基準に各自住宅ローンを組む方法をいい、ローンは1本ではなく2本です。本人と配偶者もしくは親のそれぞれが債務者となり、互いに連帯保証人となります。
 
3.団体信用生命保険に加入しない、もしくはできない場合
団体信用生命保険は、住宅ローンの返済中に債務者に万一のことがあった場合にローンが免除される保険で、多くの金融機関で団体信用生命保険に加入することが融資条件の1つとなっています。
 
したがって、団体信用生命保険に加入しない、あるいは健康上の理由で加入できない人が住宅ローンを利用する場合、法定相続人などを連帯保証人とすることが条件となる場合があります。
 
4.共有名義で住宅を購入する場合
例えば、土地や建物を共有名義で購入した場合や、親の土地に子がローンを組んで家を建てる場合などであれば、ローン名義人以外の共有者は担保提供者となります。
 
この担保提供者のことを物上保証人という言い方をする場合もあります。そしてこのようなケースであれば、担保提供者が連帯保証人になることを条件としている金融機関が多いです。
 
5.住宅ローンの融資審査結果により、連帯保証人が必要と判断された場合
住宅ローンを申し込んだ金融機関の審査結果により、「連帯保証人が必要」と判断された場合は、連帯保証人を立てなければいけません。

連帯保証人・連帯債務者のリスク

連帯保証人は、金融機関が貸し倒れリスクを回避するために立てるものです。したがって、住宅ローンで通常必要のない連帯保証人を立てるよう求められるということは、その住宅ローンを返済できなくなるリスクが高いと思われているということです。
 
例えば、収入合算やペアローンは、本来1人の収入では買うことが難しい住宅を購入するための手段ということができ、余裕のある住宅購入とはいえません。もし、収入の減少などで計画が狂ってしまえば、せっかく手に入れたマイホームを手放さざるを得なくなるかもしれません。
 
また、連帯保証人は立てて終わりというわけではありません。連帯保証人が必要となるような住宅ローンの返済計画自体に無理はないのか、よく考えて住宅ローンを申し込む必要があるといえるでしょう。

Q&A

Q.離婚した場合、連帯保証人はどうなりますか?
A.離婚と連帯保証人の解除はまったく別の問題ですので、連帯保証人を外れることはできません。
 
ただし、「別の連帯保証人を立てる」もしくは「別の金融機関で住宅ローンを組み直す」などの方法で連帯保証人を外すことは可能です。どちらにしても、相手の方としっかり話し合い今後について決めるようにしましょう。

まとめ

繰り返しになりますが、住宅ローンは原則として保証人は必要ありません。そのため、もしも保証人が必要とされるなら、そのローンには少し無理があると考えたほうが良いでしょう。
 
ペアローンや収入合算で、連帯保証人を用意してローンを組むというのは、確かに有力な手段ではありますが、そこまでしてすぐに家がほしいのか、もう一度よく考えてみましょう。
 
また、連帯保証人は大きな義務を負いますので、安易に連帯保証人になるのも考えものです。住宅ローンに限らず、人生のどの場面においても、安易に保証人を受けることはせず、よく確認することが大切です。
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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