更新日: 2021.07.07 住宅ローン
こんな人は借り換えちゃダメ! 住宅ローンの借り換え時の注意点とは?
何も知らないまま住宅ローンの借り換えをしてしまうと、かえって損をしてしまうかもしれません。借り換えで損をしないために、住宅ローン借り換え時の注意点や、借り換えに向かないケースをみていきましょう。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
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住宅ローン借り換えのメリットは?
住宅ローン借り換えの大きなメリットは、返済の負担を減らす、将来的なリスクに備えるなど、より現状の家計やライフプランに合った内容に調整できる、という点です。
以下で、主なメリットを詳しくみていきましょう。
月々/トータルの返済額を少なくできる
よくある住宅ローンの借り換えの仕組みとしては、現在借りている金融機関(A銀行)とは別の金融機関(B銀行)から、ローン残高相当額を借り入れ、A銀行のローンを返してしまうというものになります。
このとき、A銀行の金利よりもB銀行の金利の方が低ければその分、月々の返済額および総返済額が少なくなりお得になるため、住宅ローンの借り換えが頻繁に行われているのです。ただ、借り換えにあたってはB銀行において借り入れのための審査や諸費用が発生します。
似たようなものに住宅ローンの繰り上げ返済があります。繰り上げ返済では金融機関を変えずに返済期間だけ短縮するという点で借り換えと異なります。
返済期間を短縮・延長できる
低い金利で借り換えた分、返済期間を短縮したりボーナス返済をなくしたりといった調整をすることも可能です。また、一部の金融機関では返済期間の延長にも対応しており、月々の負担を減らして返済を続けることができます。
団体信用保険の補償を充実させることができる
住宅ローンに付帯する団体信用保険(団信)の内容は一般的に、返済期間中の変更ができません。しかし、借り換え時には新たな住宅ローンの団信に入り直すことになるため、改めて自分に合った内容を選び直すことができます。
以前の団信は、死亡や高度障害により返済不能になった場合のみ補償されるものがほとんどでした。しかし、時代とともに団信の補償は手厚くなってきており、ガンと診断された場合やケガや病気で働けなくなった場合など、さまざまな事情に対応した商品が登場しています。
借り換えのタイミングで新しい団信に入ることで、万が一の場合への備えを充実させることができるのです。
金利タイプを変更することができる
住宅ローンの借り換えにともない、金利タイプも改めて選び直すことができます。
たとえば金利上昇のリスクを避けたい場合は、変動金利から固定金利へ変更することで、リスクに備えられるでしょう。反対に、借り換え時点の負担をできるだけ減らしたいと考えている場合は、より金利が低い傾向にある変動金利での借り換えを検討することも可能です。
現状や将来のビジョンに合わせて金利タイプを選ぶことで、より安定的な返済が実現できます。
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住宅ローンを借り換えるときの注意点
住宅ローンの借り換えには多くのメリットがありますが、利用するときには注意しなければならないこともいくつかあります。
改めて審査に通る必要がある
住宅ローンの借り換え時には、新規借り入れ時と同じように、金融機関の審査に通る必要があります。新規借り入れ時には問題なく契約できた方でも、返済の延滞歴がある、収入が減ったなどの理由で借り換えの審査に落ちるケースは珍しくありません。
スムーズに審査を通過できない場合を見越して、借り換え先候補探しや申し込みは余裕を持って行うとよいでしょう。
保証料や登記費用などの負担が必要
住宅ローンの借り換え手続きでは、事務手数料や保証料、登記費用などの各種費用が発生します。金融機関や借り換えの内容にもよりますが、数万~数十万円かかるのが一般的です。
住宅ローンの借り換えに必要な主な費用は、次のようなものです。
- ★融資手数料
- ★保証料
- ★印紙税
- ★期限前完済手数料
- ★抵当権抹消登記・抵当権設定登記の登録免許税
- ★司法書士報酬
- ★火災保険料
など
「負担を減らすつもりで借り換えたのに、諸費用を足したら借り換え前よりも総額が多くなってしまった」という失敗をしないために、借り換えの試算をする際には、諸費用を含めて考える必要があります。
また、金融機関によって諸費用の金額が異なるほか、諸費用の一部を無料にしている金融機関もあります。できるだけ金額の低い借り換え先を意識して選べば、負担を抑えることも可能です。
住宅借入金等特別控除が適用されなくなる場合がある
もとの住宅ローンが住宅借入金等特別控除(いわゆる住宅ローン減税)の対象の場合、借り換えによって適用の要件を外れてしまう場合があります。
借り換え後の住宅ローンに住宅ローン減税が適用されるためには、新規住宅ローンの適用要件にくわえて、次の2点に当てはまっていなければなりません。
1.借り換えた住宅ローンが、もとの住宅ローンの返済に充てるものであると明らかであること
2.借り換えた住宅ローンの返済期間が10年以上であること
とくに、返済期間の短縮によって10年を切るような条件の借り換えを検討している場合は、減税の額と借り換えで軽減される額をよく比較してみる必要があるでしょう。
変動金利には金利上昇のリスクがある
多くの住宅ローン商品で、固定金利よりも変動金利の方が利率が低く設定されています。借り換えの目的を考えると、より利率の低い固定金利タイプを選択する方がいいと考える方も多いはずです。しかし、市場情勢に合わせて変化する変動金利には、将来的な上昇のリスクがあることを忘れてはなりません。
変動金利を選択する際には、金利上昇の可能性を念頭に置いて蓄えをしておくなどの備えをしておくといいでしょう。
住宅ローンの借り換えが向いてない人ってどんな人?
住宅ローンの借り換えは必ずしもした方がいいというわけではありません。次のような条件に当てはまる人は、安易に住宅ローンの借り換えを選択しない方がよいでしょう。
借り換え前後の金利差が低い方
住宅ローンの借り換えにおける大きなメリットとして金利差による総返済額の減少があります。
しかし、借り換えには諸費用が発生するため金利が多少下がったという程度ではあまり意味がないということもあり得ます。一般的には、借り換え前後の金利差が1%以上あれば、借り換えをする価値があるといえるでしょう。
もしそれ以下の金利差であれば一度借り換えについてシミュレーションをしてから検討するべきです。
住宅ローンの残存期間が短い方
金利差と同じように、残存期間も借り換えを検討するにあたり大切な要素です。
具体的には、住宅ローンの残存期間が残り10年を切っている場合は借り換えをせずに繰り上げ返済をした方がよいことも多いです。
ローン残高の大部分を返済し終わっている方
ローンの残高が1000万円を切ってしまっているような場合も、金利などの条件によっては借り換えによるメリットを受けられないこともあります。
マイホームを貸し出す方
住宅ローンはあくまでもマイホームのためのローンです。そのため、転勤や病気など一定の状態を除き、住宅ローンの利用中にマイホームを賃貸に出してしまうとそもそも住宅ローンの継続ができないということもあります。
もし、住宅ローンの返済中にマイホームを賃貸に出すという場合は事前に金融機関に相談するようにしてください。
働き方や収入などに変動があった方
住宅ローンの借り換えでは借換先となる金融機関にて再度審査が発生します。そのとき、独立や転職によって収入に大きな変動があったり、勤続年数が短くなっていたりすると審査に落とされてしまい、借り換えができないということもあります。
また、夫婦の収入を合算して住宅ローンを組んでいたような場合は要注意です。出産や育児で妻が仕事を辞めてしまっていると、従前のようには審査を通過できない可能性があります。
健康状態に変化があった方
住宅ローンの多くは、団信への加入を融資の条件としています。借り換えの場合も例外ではなく、付帯する団信に加入しなければ融資を受けられない金融機関がほとんどです。
借り換え時の健康状態が悪かったり新規借り入れ時と比べて既往歴に変化があった場合には、団信への加入ができない可能性があります。団信に加入できなければ、借り換え先の選択肢は非常に狭くなってしまいます。
また、団信に加入せずに借り換えができたとしても、契約者の死亡や病気で返済が難しくなったときには、家族に残額の返済がのしかかることになります。
住宅ローンの借り換えは慎重に検討すべき
住宅ローンは借り換えによって誰でもお得になるというものではありません。借り換えにあたっては諸費用や審査が発生することを前提にローンの残高や金利差など諸条件を総合して検討するべきです。
とはいえ、住宅ローンの借り換えは決して難しいものではありません。最初にローンを組んだときの経験を基に落ち着いて検討すれば誰でも適切な判断ができるはずです。
住宅ローンの借り換えをしたいと考えるようになったときは、まず落ち着いて現状を整理し、十分にシミュレーションを行ってから借り換えをするようにしてください。
出典
りそな銀行 りそな借りかえローン
※2021/1/18 内容を一部修正させていただきました。
執筆者:柘植輝
行政書士
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