執筆者: 隈本稔
目次
看護師の給料を時給に換算してみました
まず厚生労働省による、令和元年の賃金構造基本統計調査のデータをみると、看護師の平均年収および平均労働時間がわかります。そのデータを参考に、平均時給を計算してみました。
看護師の平均時給は2077円!
実際に看護師の平均時給を計算すると、2077円になりました。簡単に平均時給の計算方法を説明しておきます。 看護師の平均年収は482.9万円となっていましたが、これにはボーナス(賞与)が含まれています。
時給の計算には、ボーナスを含めないほうが実態をよく表しますので、ここから平均ボーナス額である81.6万円を引いたところ、401.3万円になります。ボーナス抜きの年収を月数の12で割ると1か月あたりの平均給与が算出でき、さらに月あたりの平均勤務時間である161(時間)で割ると、およその平均時給が計算できます。
つまり看護師の平均時給は、以下のようになります。
(4,013,000÷12)÷161(月あたり平均勤務時間)= 2,077
看護師の男女別時給で差がある?
次に、男女別に看護師のボーナス抜き平均年収から、同じように時給を計算してみると、
男性看護師の平均時給 2148円
女性看護師の平均時給 2070円
となりました。男性のほうが少しだけ高いことがわかりますが、大きく異なるわけではなさそうです。
看護師の時給は実際他職種に比べるとよいのか?
では、看護師の時給は他の職種と比べてどの程度なのでしょうか?
全職種と比較
まず全職種のボーナス抜き平均給与から、時給を計算してみました。
全職種の平均時給 1954円
これを看護師全体と比べると、 時給は看護師のほうが123円高く、看護師の時給は一般的な職業よりも高めであるといえます。
アルバイト看護師の時給事情は?
次に、看護師の勤務形態別に平均時給を紹介します。
アルバイト看護師の平均時給
パートやアルバイトの看護師は、通常は時給で給与を計算していますが、アルバイトの看護師の実平均時給の計算結果は以下のとおりです。
アルバイト看護師の平均時給 1789円
全看護師の平均時給(2077円)に比べると288円も安い結果となりました。これは、常勤の看護師のほうが時給が良いことを表しているといえます。
時給が高い看護師の働き方
看護師として自分の時給が安いと思っていても、実際に時給を上げることはなかなか簡単ではありません。ここでは、時給を上げるために挑戦できることをご紹介します。
時給の高い業務の求人を選ぶ
時給を上げるためには、時給が比較的高く設定されている業務の求人を選び、できれば正職員採用を目指しましょう。例えば訪問看護は首都圏であれば、時給2000円あたりから設定されていることが多く、アルバイトでは高額な部類に入るでしょう。
また 人間ドックの検査外来も、時給2000円以上の求人があります。ただいずれも看護師としての仕事以外に、介護の役割や書類整理の業務などが必要となることがありますので、自分の許容できる業務内容であるか、よく確認しておく必要があります。
働く地域を変える
特に看護師が不足している地域では、看護師の時給が高くなる傾向にあります。都市圏は、人口が多いこともあって慢性的に看護師が不足していますし、季節に応じて非常に多忙になる時もあります。そのようなエリアは、時給が高くなります。
例えば東京や大阪では、時給3000円を超える超高額求人がありますが、地方によっては最高でも2000円前後の求人しかないことがあります。 移動することが問題でなければ、ご自分のライフプランも考慮に入れ、時給の高い地域で働くことを検討するのもよいでしょう。
資格取得によりスキルアップする
時給を上げるだけでなく、看護師としての自分のスキルアップに役立つのが、プラスアルファとなる資格や能力を身につけることです。認定看護師や専門看護師など、 看護師として上位の資格を得るや保健師や助産師など、看護師の資格に付加される資格を得ることも一案です。いずれも時間がかかりますが、看護師関連の高位の資格を取得すれば、時給が上がるだけでなく、長期雇用も期待できるでしょう。
その他、例えば集中治療室や手術室など、看護師としての高いスキルが求められる分野で一定期間働くと、自分の能力が向上します。通常、急性期医療や手術室の勤務は、時給の高い案件が多くあります。例えば手術室だと、時給2500円近い求人もあります。
看護師の時給事情を把握し、職探しに生かす!
看護師の平均時給を計算し、他職種や雇用形態の違いで比較してみました。 看護師の時給にはさまざまな理由で違いがあり、選び方次第でより良い時給を手にすることが可能です。 ぜひ、ご紹介した情報を職探しに活用してみてください。
出典
厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査