執筆者: 横島孝之
看護師は人々の健康を守る上でなくてはならない存在です。しかし、離職率が高い職業であることもまた事実です。現在、看護師は人手不足とはいえ、転職活動への対策をしっかりとしなくては転職を成功させるのは難しいです。
それでは、実際に看護師が転職を希望する時、どのような準備をしたらよいのでしょうか。看護師の転職活動を成功させるために、準備をするポイントを解説します。
転職するための目標を設定する
転職活動をする上で、「何のために転職するのか」という目的意識をもつことが非常に大切です。それは、「どのような看護師になりたいのか」という未来像とつながります。やみくもに転職活動を行うのではなく、自身で設定した目標に基づいてしっかりと計画を立てるようにしましょう。
転職活動の流れを理解する
まず、転職活動全体の流れを確認しましょう。おおまかに、事前準備をする、情報収集する、看護師の転職サイトに登録する、応募書類の準備をする、面接を受ける、内定をもらう、退職の手続きをする、の順に進行していきます。
面接は1回で終了する場合が多いですが、一次面接から三次面接まである場合もあります。それなりの対策を考えることが重要です。-
自己分析をする
転職活動を行う上では、自分自身を知ることが大切です。「自分自身は何を達成したいのか」「転職を通して、何を得ようとしているのか」「自分がしたいこと、あるいはしたくないことは何か」など多面的に自分自身について考えましょう。
この作業を行うことで、履歴書の志望動機や自己PRの欄が書きやすくなります。また、面接で質問された時にも戸惑わなくなるでしょう。「今の職場を辞める理由」「看護師として実現していきたいこと」は面接で尋ねられることが多いので、準備しておきましょう。
どのようなライフスタイルを送りたいのかを考える
看護師としての自分が今後、どのような人生を送っていきたいのかを考えることは大切です。看護師と言っても、働き方は多種多様。自分自身の現状や目指すライフスタイルによって、選択するべき雇用形態・勤務体制や職場環境が異なります。
例えば、高齢者医療に貢献したい、かつ長く働きたいと考えている人の場合、高齢者施設や大学病院などに勤務するのが適切です。また、結婚や育児を経験して、家庭を重視したいと考える人の場合、夜勤のある病棟よりも個人のクリニックや健診センターなどに転職する方が自分自身の希望するライフスタイルに近いでしょう。
60歳以上の方で定年を迎えた方も看護師として働くチャンスはあります。病院や施設などで「プラチナナース」として、これまでの看護経験を活かせる職場もあります。募集要項などで調べてみるとよいでしょう。
転職活動のスケジュールを立てる
転職活動を計画的かつ効率的に進めていくために、転職先に内定が決まり、今の職場に退職届を出す最終段階から逆算して、スケジュールを立てるようにしましょう。つまり、いつから新しい職場で仕事をしたいのかという点を考えて、スケジュールを立てるとよいでしょう。
転職する時期や活動期間を決める
転職する時期によって、求人の数は変わってきます。一般企業と同じように、賞与が出るのが6月と12月。賞与を支給されてから退職する人がいますので、1月・7月は離職者が増加して求人も増える傾向にあります。転職活動を始めるにはねらい目ではあります。
また、4月や10月は異動のシーズンです。この時期に新しい職場で働くように調整して、転職活動を行うのもよいでしょう。それから、転職活動期間ですが、約3ヶ月を目安にしましょう。
1つの職場を見つけ、応募してから面接を受けて内定を得るまでにも、約1ヶ月は要します。採用されたからと言って、即座に今の仕事を退職するわけにもいきません。やはり、退職の1ヶ月か2ヶ月前くらいの期間に余裕をもって取り組むのがよいです。
希望条件と優先順位を明確にする
転職活動を効率的に進めるために、自分が希望する条件をピックアップしてみましょう。看護師は他の業種に比べて人手不足なため、転職しやすい業種ではあります。しかし、転職を希望しているということは、何らかの問題や悩みがあるからこそではないでしょうか。
仮に、今の環境を逃れたい一心のみで転職活動を行い、合格した職場で勤務することになったとします。最悪の場合、また同じ理由で退職する可能性があります。そのようなことを避けるためにも、何を優先するのかをしっかりと考えましょう。
例えば、退職する理由として挙げられるのは、結婚、子育て、人間関係、給与、勤務時間やシフトの問題、仕事の内容、健康上の問題などです。これらのうち、これだけは外せないと思うものを挙げてみましょう。ただし、完璧な職場はありませんから、8割ほど満たしていればよいと考えて、優先順位を決めるのがポイントです。
求人の情報収集をする
優先順位を決めたら、実際に求人の情報収集をしていきましょう。ハローワーク、ナースセンター、求人情報サイトを活用するとよいです。気になる施設や病院を見つけたら、資料請求をしてみましょう。パンフレットなどから、その職場の特徴が分かります。応募を決める前にしっかりと情報を確認することが大切です。
施設見学には参加する
施設見学ができる場合には、必ず参加しましょう。さまざまな疑問や不安な点について、採用担当者や実際にその施設で働いている職員に質問することができます。また、職場の第一印象や、医療従事者間のコミュニケーションの様子や患者に対する態度などから、その職場の雰囲気や理念を自分なりに感じ取るようにすることが大切です。
転職活動で受ける企業や病院の研究をする
転職活動をする際に、自分が受ける企業や病院について知っておくことが重要です。看護師と一口に言っても、企業内診療所、病院、高齢者施設、リハビリテーション専門病院、個人クリニックなど働く環境によって、雰囲気も求められるスキルも異なるからです。
希望する職場の理念や特徴と照らし合わせて、自分自身の適性やスキルを活かせる職場なのかどうかをしっかりと確認しましょう。
応募書類の作成や面接の準備をする
書類審査を突破するためにも、きちんとした応募書類を用意しましょう。インターネット上の応募フォームに記入する場合もありますが、そうでない場合にはきちんと手書きで書類に記入します。
一般的に、履歴書と職務経歴書の提出が求められます。写真は必ずスーツを着用しているものを貼りましょう。職務経歴は具体的にこれまで経験してきたことを記載します。
特に、自己PRや志望動機は面接でよく尋ねられる項目です。その職場で働きたい理由が面接官に伝わるように書くとよいでしょう。面接は個人面接のほかに、グループ面接を行う場合もあります。しっかりと対応できるように、イメージトレーニングを繰り返し、落ち着いて臨むようにしてください。
退職の準備をする
退職については上司に報告しなければなりません。民法では「2週間以上前に退職を申し出ればよい」という規定がありますが、実際には余裕をもって1~2ヶ月前には伝えるようにしましょう。
上司と相談して、退職日を決めたら、退職届を提出します。その後、同僚へ報告し、仕事の引き継ぎなどを行うことになります。後任の人への引き継ぎは退職する1~2週間前までには終えるようにしたいものです。
なお、退職する際に健康保険被保険証やユニフォームなどを返却します。職場から受け取らなければならない公的な書類もありますので、人事部に確認するようにしましょう。
看護師の転職活動に不可欠なのは事前準備
今回は看護師の転職活動に必要な事前準備について、ポイントを解説してきました。転職活動を行う上で最も大切なことは、「どんなライフスタイルを目指すのか」「どのような看護師になりたいのか」という自分なりの生き方を明確にすることです。
ポイントを押さえてしっかりと準備をして、希望する職場に転職できるように頑張りましょう。
参考情報
(日本看護協会)
(都道府県ナースセンター 1 )
(都道府県ナースセンター 1 )
監修:横島孝之
・人事マネージャー、2級FP技能士、キャリアコンサルタント
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